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概要

シンシアNo8

医療最前線の検体検査室に送られてくる。そしてまず、採血管のバーコードを読み取って血液検査ラインと凝固系検査ラインに振り分けられる。血液検査ラインでは、採血管が検査目的別に搬送ラインを進み、自動的に検査される。異常が検知されると顕微鏡検査のためのスライドガラスが自動的につくられ、技師が精密に検査するシステムとなっている。遠心機を通して行う凝固系検査ラインは、キャパシティが大きいうえシミュレーションしながら効率よく検査できるという特長を備えている。こうした先進の血液検査システムが、“1時間以内に検査結果を出す”ことを可能としているのである。さらに、検査の進捗状況を大型モニターに表示して“見える化”を図っていることも特筆される。徹底した進捗管理も、検体検査室ならではの優れた点である。国際レベルの高度な検査データ免疫・生化学検査ラインも検体検査室の目玉の一つである。自動分析装置や検体搬送システムで構成されたラインでは、血液中の成分や各臓器の機能を効率的に測定・検査できるのが特長だ。検体検査室の一角には、“ラボラトリー・インフォメーション”と呼ばれるコーナーが設置されている。ここは各診療科からの問い合わせ窓口であり、2人の技師が常駐している。「問い合わせは1か月に2,000件くらいあります。内容的には検査の追加依頼が多いですね」と三浦技師長。そうした依頼にもすばやく対応できるよう、検査後に残った血液や尿などの検体は一定期間、保管しているとのことだ。検体検査室は、臨床検査室に特化した国際規格「ISO15189」を取得していることも特徴の一つである。これにより、提供している検査データは国際的な臨床治験でも利用できることを意味している。また、遺伝子関連・移植関連の検査も推進しており、日本臓器移植ネットワークの指定施設にもなっている。さらに、試薬メーカーや分析機器メーカーなどとともに、臨床研究にも積極的に取り組んでいることも見逃せない。「現在、研究テーマは約20項目を数えます。最近の研究成果としては、膵臓に含まれる消化酵素の一つであるリパーゼの新しい試薬を、メーカーと共同で開発したことがあげられます」と三浦技師長は胸を張る。生理検査でも群を抜く実績を誇る一方、生理検査部門も充実した体制と優れた実績を誇っている。とりわけ腹部超音波検査では、12台もの専用診断装置を備え、年間3万件超にのぼる検査を実施している。これは、大学病院の中では断トツの実績である。心臓超音波検査でも、年間検査件数は約1万5,000件とトップクラスである。また、心電図検査も年間9万件超と群を抜く実績を誇っているほか、内視鏡検査にも力を入れており、その検査件数は年間約1万5,000件を数える。最後に三浦技師長は、「我々検査部がやってはならないこと、それが検体の取り違えです。当院の採血室では、バーコードによってシステマチックにチェックしているほか、採血時には必ず患者さんにお名前をいっていただいて本人確認をしています。こうしたダブルチェックにより、総合外来センターがオープンした2003年以降、検体の取り違えは一度も起きていません」と、医療安全について言及してくれた。検査の進捗状況を表示する大型モニター。中央病棟地下1階にある微生物検査室。腹部超音波検査は断トツの実績を誇る。診療科からの問い合わせ窓口、ラボラトリー・インフォメーション。群を抜く実績の心電図検査。内視鏡検査にも力を入れている。Sincere|No.8-2017 09