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概要

シンシア No.7

ふれあいレポート高校生臨床体験高校生の後藤万里奈さんと飯塚淳平医師。飯塚医師の説明に聞き入る後藤さん。手術支援ロボット・ダビンチによるがんの手術に感嘆医師を目指す気持ちがさらに増幅「手術室に入ったのは初めてで、しかもロボットによる手術を見学できてとても有意義な経験をしました。中学生のときから医師になりたいと思っていましたが、その気持ちが一層強くなりました」こう語るのは、東京都立西高等学校2年生の後藤万里奈さん。昨年8月、東京女子医科大学病院泌尿器科で、飯塚淳平医師に付き添って臨床業務を体験したときの感想である。都立西高校では、夏休みや春休み期間に“ジョブシャドウイング”という職業体験の機会を生徒に提供している。生徒の職業観や勤労観を育み、進路選択に資することを目的に生徒が職場へ出向き、そこで働く人に1日同行するというものだ。女子医大病院泌尿器科がその趣旨に賛同し、後藤さんを受け入れたのである。臨床体験当日、後藤さんは午前7時に医局を訪れ、7時半からのカンファレンスに参加。朝早く、しかも英語で行われるカンファレンスに少々戸惑いがちだったが、「朝早い分、夕方は早めに切り上げることができます。英語でカンファレンスを行っているのは、当院が世界的な腎移植施設であり、海外から留学生や見学者が訪れるからです」という飯塚医師の説明に納得顔だった。手術に対するイメージが変わるその後、入院患者さんについてのグループカンファレンスと回診に臨み、9時半過ぎに手術着に着替えて手術支援ロボット・ダビンチが設置されている手術室へ。そこで前立腺がん患者さんの手術を見学した。ロボットアームを遠隔操作しながら患部を切除していく手術に、後藤さんは興味津々。モニターに映し出される患部の画像を目にしても動じることなく、真剣な表情で手術の様子を見つめていた。飯塚医師は、「医学生の中には、気分が悪くなって手術室を出ていく人もいますが、後藤さんは肝が据わっています。外科医に向いていますね」と評した。手術はリンパ節の切除も行ったため午後1時までかかった。昼食のあと小児泌尿科の外来を見学し、再び手術室でダビンチによる2件目の前立腺がん手術に立ち会った。「ダビンチを目の当たりにして手術に対するイメージが変わりました。先生方の集中力はすごいですね」と後藤さん。飯塚医師は、「ダビンチは座って手術ができますから、女性にとってもいいツールです。女性外科医が増えてくることを期待しています」という。そして、「機会があればまた高校生の臨床体験を受け入れたいですね」と語ってくれた。グループカンファレンスに参加。真剣な表情でモニターを見つめる。ダビンチのコンソールをのぞき込む。22 Sincere|No.7-2017