ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

シンシア No.7

PSG解析室で検査入院している人の睡眠状態をチェック。睡眠科の常勤医師(左から関口治樹、鈴木真由美、松井健太郎の各氏)。なくなるたびに脳が覚醒するので、8時間眠っても熟睡感が欠如したり、昼間の眠気などの症状が出てきます」と、そのメカニズムを説明する。そして、「働き盛りの人にとって、疲れから朝起きられず出勤時間に間に合わなかったり、日中に居眠りをしたりすれば事故を起こしたり勤務に支障をきたします。睡眠時無呼吸症候群が恐ろしいのはそれだけではありません。症状の重い40~60代の人は、10年以内に脳梗塞や心筋梗塞で死亡する確率が4割にも達するのです」と、鈴木医師は警鐘を鳴らす。睡眠時無呼吸症候群が疑われる人には、その診断のために睡眠ポリグラフィー検査(PSG)が行われる。これは頭や顔、体、足、指先などにセンサーを装着した状態で一泊入院してもらい、睡眠時の脳波、呼吸、心電図、酸素飽和度、いびきなどを記録するもので、そのデータを解析して確定診断を行う。その結果、一定基準以上の中等症・重症睡眠時無呼吸症候群と判定された患者さんには、就寝時に鼻マスクから空気を送り込み、睡眠中の気道を確保して無呼吸を防ぐCPAP(シーパップ)療法が施される。送り込む空気圧は人によって異なるため、適切な圧力を設定するための検査入院(1泊)も用意されている。一方、比較的症状の軽い患者さんにはマウスピース療法が採用される。これは就寝時にマウスピースを装着し、下顎を前に出して気道を広げる治療法で、歯科口腔外科と連携して個々の患者さんに適したマウスピースを製作している。引きこもりや不登校に潜む過眠症夜間に十分眠っているのに、日中何度も眠気に襲われる。そのため、学校や会社に遅刻したり、授業中や会議中に居眠りを繰り返し、先生や上司から叱責されて落ち込んだり悩んだりし、社会生活に支障をきたすようになる。こうした過眠症の代表的な疾患がナルコレプシーである。日中に突然、睡魔に襲われて眠り込んでしまい、目覚めたあとは何事もなかったように元の状態に戻るが、しばらくするとまた睡眠発作に見舞われるというのが特徴だ。また、笑ったり驚いたり怒ったりしたときに、感情の動きが引き金となって急に体の力が抜ける“情動脱力発作”が見られたり、“入眠時幻覚”や“睡眠麻痺(いわゆる金縛り)”が頻繁に起こったりする。“入眠時幻覚”とは、寝入りばなに鮮明で現実的な夢を見る状態である。睡眠にはレム睡眠(筋肉が弛緩し夢を見る睡眠)とノンレム睡眠(脳を休める睡眠)があり、睡眠中に両者の睡眠が交互に訪れる。ナルコレプシーではレム睡眠に異常が見られ、“情動脱力発作”や“入眠時幻覚”、“睡眠麻痺”の症状が引き起こされる。鈴木医師による外来での診察場面。鼻から空気を送り込むCPAP(シーパップ)の装着指導をするスタッフ。Sincere|No.7-2017 19