ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

sincere no05

TBLの授業のプロセス1ディスプレイに問題が表示される。2教科書やノートを見ずに個人回答を行う。3個人回答後、チームで討論を行ってチーム回答を決める。4回答結果がディスプレイに表示される(左の円グラフが個人回答、右がチーム回答)。5チームの代表者が回答理由などについて説明。6教員が解答を明らかにし、解説を行う。5つの選択肢がディスプレイに表示されると、室内には「えーっ?」と大きなどよめきが起こった。学生が送信機のAのボタンを選択すると、教員のパソコンにはその回答が青で示される。同様にBは緑、Cは黄、Dはオレンジ、Eは赤で表示される。さすがにA(小泉純一郎)の回答はなかったが、正解のBのほか、C、D、Eとの回答も散見された。診断しているような臨場感があるいよいよ本番開始。「腹痛の神経生理について正しいのはどれか」という問題が出された。問題は事前に知らされていた学習項目に即した内容で、いかに予習してきたかが問われる。各自が2分以内に送信機で回答。この間、何も見てはいけない。回答後、ディスプレイを下げてデスクをフラットにし、チームごとに学生が向かい合って討論を開始。このときは教科書のほかノートや資料を見てもよい。20分間の討論を経て、チームとしての回答が出された。個人回答ではE(赤)が最も多かったものの、A、B、C、Dの選択もあり、回答はバラけていた。が、チーム回答では15チームがEを、1チームがDを選択し、A、B、Cを選択したチームはなかった。討論によって意見が収れんしていったことが分かる。その後、数チームの代表者が回答理由などについて意見を述べ合い、最後に教員が解答(E)を明らかにし、その解説を行った。TBLはこのように、個人テスト・回答→チーム討論・回答→チーム間討論→解答・解説という流れを繰り返しながら進められる。学生たちは症例に関する問題を、個人だけでなくチーム内、チーム間で解決するとともに、教員の解説によってさらに理解を深めていく。5年次からの臨床実習前にTBLで臨床推論学習を行うことは、極めて有効だといえよう。この日のTBLの進行役を務めた消化器内視鏡科の中村真一教授は、「レスポンスアナライザーによるTBLはスピード感があり、短時間に適切な判断をしなければならない医師を育成するのに適した教育法です」と、TBLの有用性を語る。学生たちはTBLを、「適度な緊張感とテンポがよい」、「討論後すぐに解説があるので理解が深まる」、「実際に診断しているような臨場感がある」などと評している。女子医大では2013年から、1年次の授業でも生理学学習の一環としてTBLを導入していることが特筆される。学び方を学ぶ「テュートリアル」TBLは問題解決力を養うための実践的な学習法といえるが、女子医大における問題解決力開発の歴史は、全国の医1年次の学生にもTBLの授業が行われている。チーム討論ではメンバーがより接近して資料をのぞき込むシーンも。14 Sincere|No.5-2016