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概要

sincere no04

遺伝子医療センター所長の齋藤加代子教授。■遺伝カウンセリング対象疾患(2013年)皮膚2%糖尿病2%血液2%循環器■その他2%奇形症候群3%家族性腫瘍6%n=829筋ジストロフィー■その他骨・結合組織疾患眼科疾患耳鼻科疾患腎・尿路疾患代謝疾患内分泌疾患染色体疾患8%神経・筋36%妊娠関連38%脊髄性筋萎縮症筋強直性ジストロフィー脊髄小脳変性症球脊髄性筋萎縮症神経線維腫症大脳白質変性症先天性ミオパチー末梢神経障害広汎性発達障害脳血管障害てんかんでき、精神的なゆとりも生まれました。何よりの収穫は、主人の思いやりの深さを知り、夫婦の絆が深まったことです」と語っている。日本の遺伝子医療専門施設の先駆けとなった遺伝子医療センター2003年、ヒトゲノムの全DNAが確定し、遺伝性疾患の診断と治療に明るい光が差し込んだ。その翌年、女子医大は日本で初めての「遺伝子医療センター」を誕生させた。センター開設に至る経緯や役割、目的などについて、所長の齋藤加代子教授に伺った。「私はもともと小児科医で、脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーなど、遺伝性疾患の患者さんを診てきました。こうした病気の診断に以前から遺伝子検査を行ってきましたが、産婦人科をはじめ他の診療科からも、遺伝性疾患やがんなどに関する遺伝子検査の依頼や相談が年を追って増えてきました。そこで、全診療領域を横断的に診察する遺伝子医療センターをつくり、患者さんの治療とご家族の心のケアまでを包括的に行う新しい医療を実践しようということになりました」スタート初年(2004年)の遺伝子医療センターの受診患者数は新患・再診合わせて500人弱だったが、2014年には2,700人強へと増大している。ゲノム創薬や遺伝子治療が注目されつつある中で、遺伝子医療センターへの期待も大きく高まってきているのだ。ところで、日本人の死因第1位は30年以上、がんが占めている。よく“がん家系”というが、親から子へ遺伝する家族性がんは、がん全体の5~10%程度にすぎない。だが、乳がん、卵巣がん、大腸がん、皮膚がんなどの家族性がんは、50%の確率で遺伝する。アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーさんは、2013年に乳がん予防の目的で両乳房の切除手術を行い、今年になって卵巣がん予防のため卵巣と卵管の摘出手術も受けて大きな話題を呼んだ。彼女は遺伝子検査で家族性乳がん・卵巣がん症候群であることが分かっていたため、大胆な結論が下せたのだ。だが、日本とアメリカでは医療事情が違う。日本では大多数の人々にとって、遺伝の問題は難しくて分からないことの多い領域だ。分からないから不安や悩みがさらに増す。遺伝の問題で悩む人々は、そんな悪循環に陥っているのではないだろうか。遺伝子医療センターがめざしたのは、そうした不安や悩みを抱えた人たちに、遺伝に関する正しい知識や情報、対応策や治療法を示し、遺伝子検査などに対して自己決断ができるようサポートし、その後の治療や精神的なケアまでを一貫して行う「遺伝カウンセリング」を創設することであった。臨床心理士や認定遺伝カウンセラーなどによるチーム力で対応遺伝カウンセリングでは、臨床遺伝専門医、臨床心理士、認定遺伝カウンセ■遺伝カウンセリングの流れ予約受付初回遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医・臨床心理士・認定遺伝カウンセラーによる第1回目の遺伝カウンセリング。患者さん・ご家族のお悩みやご要望のほか、病歴・家族歴などをお聞きします。スタッフカンファレンス遺伝子医療センターのスタッフが症例を討議し、遺伝子検査の妥当性や今後の方針について検討します。遺伝カウンセリング検討結果をもとに遺伝カウンセリングを行います。今後の方針について選択肢を提示し、意思決定していただくためのサポートをします。フォローアップ遺伝子検査遺伝子検査を受けられる場合は採血をし、遺伝子検査を行います。Sincere|No.4-2015 07