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概要

sincere no04

医療研究最先端新しい医療分野“遺伝カウンセリング”で最先端をひた走る「遺伝子医療センター」東京女子医科大学は2004年、全国の医療機関に先駆けて「遺伝子医療センター」を開設した。遺伝性疾患には難病が多く、受診患者さんやそのご家族の精神的負担は計り知れない。そこで女子医大では、医療と心理の両面からサポートする遺伝カウンセリング体制を構築。一人ひとりの体と心に寄り添った“オーダーメイド医療”を推進している。■遺伝子医療センター受診患者数の推移3,000(人)2,500■新患■再診2,0001,5001,00050002004 05 06 07 08 09 10 11 12 13 2014(年)遺伝カウンセリングシーン。専門医、臨床心理士、認定遺伝カウンセラーが対応する。遺伝子検査を受けたことにより家族の絆が深まった!遺伝性疾患で難病の一つとされる病気に、ハンチントン病がある。この病気は大脳の神経細胞が変性し、意志に反して体が動く舞踏運動や認知症などの症状が現れ、40歳前後に発症することが多いとされる。母と兄がハンチントン病であったY子さんは年とともに不安がつのり、まだ30代だった10年前に遺伝子検査で発症の可能性を確かめようと、東京女子医科大学附属遺伝子医療センターを訪れた。遺伝子医療センターでは遺伝子検査による発症前診断に当たり、「遺伝カウンセリング」を実施している。遺伝子検査で変異が見つかった場合、想像しているよりも精神的動揺が大きくなる人がまれではないからだ。そのときに必要なのが家族の支えである。そこで、Y子さんの遺伝カウンセリングにはご主人にも参加してもらうことになった。初回の遺伝カウンセリングでは遺伝子変異が見つかった場合を想定し、Y子さんをどのように支えていくか、生活面の変化にどう対応していくか、などについて話し合われた。そしてご主人には、今後の人生設計をシミュレーションしたレポートの提出をお願いした。提出されたレポートは、自分が介護の勉強をしてY子さんを全面的に支えていくという決意に満ちており、家のバリアフリー化など具体的な生活プランにまで踏み込んだ感動的なものだった。そこで、遺伝子検査による「発症前診断」を学内の倫理委員会に諮問し、検査が行われた。結果は、遺伝子変異を示す「陽性」。Y子さんは「予想していたとはいえ、2週間ほど落ち込んだ」そうだ。しかし、ご主人が最新の治療法などをインターネットで情報収集し、それを夫婦で共有するうちに「現実を受け入れ、前向きになれた」という。その後、Y子さんは定期的に通院しているが、現在まで発症には至っていない。「遺伝子検査を受けたことで心の準備が06 Sincere|No.4-2015