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概要

sincere no04

■腎移植件数の推移腎移植術2010年2011年2012年2013年2014年生体腎移植術8681867993献体腎移植術881064自家腎移植術2322腎摘出術(ドナー)8681867993完了したのは午後1時前だった。腎臓摘出から移植までに要した時間はざっと3時間半。想像していたよりもはるかに短いものだった。腎移植は、末期腎不全の唯一の根本治療法といえるものだ。親や兄弟姉妹などの血縁者、配偶者から腎臓の提供を受けて移植するのが生体腎移植である。腎臓は1人に2つあり、1つになっても機能には問題がないため、1つを摘出して患者さんへ移植することが可能なのだ。一方、脳死または心肺停止となった人から腎臓の提供を受けて移植するのが献体腎移植である。さらに、腫瘍や結石などの病変を持つ腎臓を体外に取り出し、再建して再び体内に戻す自家腎移植もあるが、この移植例はそれほど多くはない。現在、我が国には約31万人の腎不全患者さんが透析療法を受けている。このうち、腎移植を受けたいと願っている患者さんは1万数千人を数える。だが、実際の腎移植件数は年間約1,600件。透析患者さんのおよそ200人に1人という割合だ。また、このうち献体腎移植の件数はわずか200件にすぎない。臓器の提供があまりにも少ないからだ。腎臓病総合医療センター泌尿器科の田邉一成教授(女子医大病院・病院長)は次のように話す。「アメリカでは生体・献体合わせて年間約1万7,000件の腎移植が行われています。日本はアメリカの3分の1の人口ですから、その比率でいけば年間5,000件の腎移植があってもいいはずです。仮に献体ドナーが1,000人出れば、移植できる腎臓が2,000個になりますから、生体と合わせて年間3,500人くらいの患者さんが腎移植を受けることができる計算になります」。女子医大病院が最初に腎移植を行ったのは、今から44年泌尿器科の田邉一成教授(女子医大病院・病院長)。前の1971年である。その後、東間紘教授が腎移植術の確固とした基盤を築き、2006年からそれを受け継いだ田邉教授がさらに進化・発展させ、女子医大病院を世界有数の腎移植施設として広く知らしめるに至っている。「我々は年間約100件の腎移植手術を行っていますが、我が国の病院の中ではもちろんトップです。また、治療成績を表す10年生着率は95%で、世界でも断トツです」と田邉教授は胸を張る。さらに、血液不適合移植に先鞭をつけたのも女子医大病院である。主に夫婦間で行われる血液不適合移植は、腎移植全体の約3割を占めるが、その生着率も90%超と高く、症例数・治療成績とも世界を大きくリードしている。こうしたことから、泌尿器科には世界各国から研修や見学のために訪れる医療スタッフが引きも切らない。このため、科内のカンファレンスは英語で行っており、外国人からは大いに感謝されているとのことだ。腎がん群を抜く手術件数で他の病院を大きくリード女子医大病院は“腎がんに強い病院”としても知られる。腎がんの手術件数は年間約270件にのぼるが、この数字は■腎がん手術件数の推移300(件)225■全症例■全摘■部分切除15075英語で行われているカンファレンス。02010年2011年2012年2013年2014年Sincere|No.4-2015 15