ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

シンシア 2014.No.2

医療研究最先端浸潤性脳腫瘍の良好な術後生存率を達成!進化を続ける「インテリジェント手術室」脳内に発生する脳腫瘍の中で最も症例の多い神経膠腫。浸潤性の悪性神経膠腫の術後5年生存率は、長らく低い水準にとどまっていた。東京女子医科大学は、脳腫瘍手術に初めて国産の医療技術を結集した「インテリジェント手術室」を導入。良好な術後生存率と患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)維持の両立に、目覚ましい貢献を果たしている。悪性神経膠腫の手術から13年結婚、出産、職場復帰も果たす2000年12月、街にジングルベルが流れる師走の午後、A子さん(当時34歳)は東京女子医科大学病院に緊急搬送された。病名は、脳腫瘍の約3割を占めるとされる神経膠腫。病状はグレード1から4までの悪性段階のうち、中悪性とされるグレード3。すぐに手術が必要な状態で、その年に開設されたばかりの「インテリジェント手術室」に運ばれた。昼から始まった準緊急手術は、病変が周辺に大きく複雑に広がっていたことから、摘出に時間を要し、深夜にまでおよんだ。執刀医が腫瘍をほぼ摘出し、これ以上の摘出は難しいと思い始めていたとき、モニター画面を見ていた看護師から声が飛んだ。「先生、腫瘍がまだ少し残っています。もうひと頑張りしましょう」手術中に撮影されたMRI画像に、かすかな病変が認められたのだ。その声でスタッフ全員に再びスイッチが入った。術中MRI画像をもとに可能な限り腫瘍を磁場の領域が狭い「術中MRI装置」を導入したインテリジェント手術室での手術の模様。06 Sincere|No.2-2014