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概要

シンシア 2014.No.2

看護師長(手前)と看護主任(左)を交えた最終カンファレンス。患者さんへ手づくりの感謝カードを手渡す。内カンファレンスを行う。こうして2週間、実習が続く。脳神経外科病棟で実習に臨んだ5人は、日が経つにつれて当初の重々しい気分から抜け出し、はつらつとケアに取り組むようになった。5日目朝のカンファレンスの一端を紹介しよう。K.M.けいれんを起こしたあとの患者さんにバイタルサイン(体温、血圧、脈拍、呼吸などの情報)を取りにいったら、つらそうに眠っていました。どうしようかと考えましたが、声をおかけしてバイタルサインを取ることにしました。すると、けいれんを起こしたときの不安な気持ちも話してくださいました。教員患者さんの具合が悪そうだったので、バイタルサインを取らなかったというケースがありました。ご家族ならそっとしておいてあげようと思うかもしれませんが、具合が悪そうだからこそバイタルサインを取らなければなりません。患者さんの状態を把握するためにバイタルサインを取ったことは適切な判断でした。患者さんの気持ちも引き出せてよかったですね。K.K.患者さんは午前中から微熱があり、「首が痛い」とおっしゃったので、体温を測ることを優先させ、予定していた足浴プランの実行を中止しました。その後、体温はさらに上昇しました。このことから、患者さんにはそのときに必要なケアを行うことが最善の策だと思いました。教員患者さんは翌日、「私の熱が上がることをKさんが予測したんですよ」と報告してくださいました。患者さんの状態に応じて、ケアプランの中止や変更をする判断の大切さを学びましたね。気配りが患者さんの心を開くさて、病棟実習最終日。午後2時過ぎから、大熊看護師長と中川則子看護主任を交えて最終カンファレンスが始まった。実習を通して学んだことを学生が1人ずつ発表し、師長と主任がコメントしていくという形で進められた。R.H.患者さんは最初、表情を表に出されませんでした。どうしたらいいか考えながら接しているうちに、「リハビリのおかげで良くなったよ」とか、車椅子を押してあげると「ありがとう」といってくださるようになりました。大熊Hさんが受け持った患者さんは、障害が残ることを覚悟のうえで手術を受けられましたが、それが現実となってかなりショックだったと思います。リハビリをしていく過程で感情を出せるようになったのは、Hさんのちょっとした気配りがあったからだと思います。患者さんが思わず本音をもらすW.U.患者さんがリハビリをこなされたとき、「すごいじゃないですか」といったらすごく喜んでくださいました。また頑張ろうという気持ちになっていただけて、“言葉かけ”もケアの一つであることを学びました。中川Uさんが受け持った患者さんは、意識障害があるため信頼関係を築くのが大変だったと思います。さりげない“言葉かけ”によってリハビリに自信を持っていただけて、私たちも喜んでいます。K.K.患者さんから「余命を知ってひそかに泣くときもある」と聞かされて言葉が出ませんでした。どういう気持ちで話されたのかを考え、それをどう受け止めるかによって患者さんとの関係も変わってくると思いました。大熊まさに、相手が学生だからこそ患者さんが本音をもらされた典型的なケースだと思います。患者さんとの距離が縮まっていい信頼関係ができましたね。S.K.患者さんは、少々痛くてもナースコールをされず、苦しみを自分で背負ってしまわれるタイプでした。それをどうやって引き出して楽にしてあげられるかも、看護技術だと思いました。中川そのような患者さんには、こちらから歩み寄っていくことが大事です。そして、“気づき”が苦痛を和らげてあげるポイントとなります。カンファレンスを終えた後、学生たちはそれぞれ受け持った患者さんの病室を訪れ、手づくりの感謝カードを手渡した。お互いに涙ぐむシーンも見られ、中身の濃い実習だったことを物語っていた。Sincere|No.2-2014 19