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概要

シンシア 2014.No.1

れたと思います。また女性医師としてやっていくなら、やはり女子医大で学ぶしかないと確信させられたのも解剖実習でした。緩和医療の中から生じた疑問女子医大を卒業後、医師となった私はがん患者を受け持つ機会が多く、何度も看取りを経験しました。そこで、がん医療の第一線を学ぶべく国立がんセンターへ通いました。そこで見えてきたのは、「Cure(治療)」はあっても「Care(ケア)」がないということでした。また、女性として妊娠・出産を考えながら自分の立ち位置をどこに置いて学んでいけばいいのかと思い悩むことがありました。そうしたときに患者様から求められたのが、女性としての細やかな心遣いでした。ドクターではあるものの、ある場面では娘となり、妻となり、母となる。多くの顔を持ちながら患者様に接することができるのが自分だと分かったのです。それを患者様から教えていただき、それが自分の持ち味なのだと思い、緩和医療の世界に飛び込みました。そして、ドクターとしての軸足はずらすことなく、看護師をはじめとする医療スタッフとの連携によって看取りを行うマネージャー的な役割を目指すべきだと考えるようになりました。そうした中で、患者様が苦しんでいるのになぜ看護師はドクターを呼ぶことしかできないのか、薬を出すことができないのか、といった疑問を持ちはじめました。法律がそうなっているとはいえ、現場にそぐわないのであれば政策自体が間違っているのではないか。そう思って、今度は政策決定までのプロセスを学ぶべく九州大学大学院で医療経営・管理学を専攻しました。視野が狭くては医療政策を語れないそのときにたまたま、新聞で構造改革特区評価委員を公募していることを知り、「医療政策改革論」という論文とともに応募したところ、委員に選出されたのです。委員会ではまず、お役所言葉に慣れるのが大変でした。それだけで2~3年を要したほどです。特区制度は規制改革や地方分権への足がかりとなります。その必要性を訴えても、所管省庁の人たちの「前例がないから」という言葉で退けられてしまう。前例がないからこそ改革すべきなのに、固定概念がガチガチで現実に即した新しいものをつくり出そうという改革マインドがない。それが驚きでした。委員は7年間務めましたが、後半の4医療提供体制をどのように変革していく年間は専用の机を設けたらどうかといわかが私の仕事だと思っています。そのたれるほど特区室に通い詰めました。そして、めには、厚労省と議論しながら、実行厚労省だけでなく文科省や経産省の案可能な政策を提供するというスタンスで、件など、それまで自分が見聞きしなかっ医療制度の整備に着手していきたいとたことも勉強することによって、いかに自考えています。今までいろいろなチャンス分の視野が狭かったかということに気付をいただき、そこで得たものを生かしなかされました。医療政策を議論するには、がら、私にしかできない政策を提案して単に医療という切り口からだけではなく、いければ本望です。経済や財政、グローバル化した社会の日本は世界一の健康長寿国です。こことも分からなければ何も語れないというれは国民一人ひとりの教育レベルの高さことを痛感しました。も関係していると思います。また、日本の医療レベルがまだ低かった時代に、日医療の産業化を図り世界へ発信本人の手によって内視鏡が開発されましもう一つ気付かされたことがあります。た。そういうスピリットが日本人にはありまある案件を議論しているとき、「いくら熱すので、医療現場のニーズに合ったも心に議論しても、内閣や国会に提出しのを創意工夫の中からもっともっとつくりていく過程でつぶすこともできる」といっ出せるのではないでしょうか。そして医たニュアンスのことを官僚からいわれたの療を産業化し、世界に発信していくべきです。結局、国会で1票を投じるというだと思います。行為ができる立場でなければ、政策を日本の医療は海外との交流が乏しい変えることはできないということを教えられためガラパゴス化してしまい、検査づけ・たわけです。それが政治家を目指すきっ薬剤づけの中で失ったものも少なくありかけとなりました。医療現場で感じた疑ません。その反面、貴重なデータも多く問を解決しようといろいろな道を歩んでき抱えているはずです。それらの中には、たら、永田町にたどり着いていたというこ長寿国・超高齢化先進国として世界にとです。売り出していけるものが必ずあるはずで社会保障制度改革を推進せざるをえす。そのデータベースを構築していくうない状況となり、厚労省も医療法の改えでも、政治の果たす役割は大きいと正に取り組む姿勢を見せている中で、思っています。薬師寺みちよ(本名:齋藤道代)しゅうゆうかん1964年生まれ。83年福岡県立修猷館高校卒業、89年東京女子医科大学医学部卒業、医師免許取得。96年医学博士号取得。2005年九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻(専門職大学院)卒業、医療経営・管理学修士号取得。2003年から2010年まで内閣官房構造改革特別区推進本部評価委員、2005年からNPO法人からだとこころの発見塾理事を務める。2013年参議院議員。Sincere|No.1-2014 05