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概要

シンシア 2014.No.1

吉岡俊正理事長笠貫宏学長ンターなどの臓器別センターを日本で初めて設置し、それぞれの病気を専門的に研究し治療法を確立してきたのも女子医大です。しかし、医療に求められる内容は時代とともに変わります。今日では単なる治療だけでなく、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を重視した全人的医療が求められるようになりました。女子医大では専門別に分化した医療を再統合し、精神的ケアも含めた患者さん本位の医療はどうあるべきかといった革新的な研究や教育プログラムの開発を新たな目標に掲げています。笠貫先進的かつ全人的医療を融合する研究は、日本の医科大学では初めての挑戦といえます。先進医療の分野で、女子医大はいくつもの輝かしい成果を収めてきました。かつての心臓病の世界しげる的権威であった榊原仟先生の時代から、いまをときめく細胞シート工学の岡野光夫先生まで、研究を指導する著名な先生のもとに全国から優秀な医師・研究者が集まってきました。そして、いつしか学閥のない自由闊達な雰囲気とチャレンジ精神旺盛な気風が生まれました。そうしたエネルギーが、女子医発の先進的かつ全人的医療の創造に結びつくものと大いに期待しています。グローバルスタンダードを満たした高水準の医学教育を推進吉岡医科大学のグローバル化は必然的な流れです。日本では、医療は国内完結型で行われていますが、世界を見渡すと一国の医師・看護師の10~30%が外国の医科大学出身者であることが珍しくありません。こうした時代になると、医師たちが出身国の医科大学でどのような教育を受けてきたかがまず問われます。女子医大では、2012年10月、医学部の教育プログラムが国際的な基準を満たしているかどうかの審査を、日本で初めて国際外部評価団に依頼し受審しました。その結果、「世界医学教育連盟のグローバルスタンダードを満たしている」との評価を得ました。笠貫研究面での国際化は、もはや日常茶飯事です。女子医大では、ノーベル医学・生理学賞の選考委員会が設置されているスウェーデンのカロリンスカ研究所と食道再生の臨床研究を、アメリカのユタ大学とはがん細胞シートの臨床研究を行うなど、枚挙にいとまがないほど国際交流が進んでいます。グローバルスタンダードに準拠した医学教育の実践は、女子医大卒業生の海外での医療活動を保証するものであり、医師としての自信につながるに違いありません。吉岡こうした女子医大の活動や業績をグローバルに発信していくことは、今後ますます重要になるでしょう。もちろん、日本の身近な方々にも女子医大のことをもっと知っていただけるよう努力しなければなりません。これからは小誌『Sincere』を通じてさまざまな情報をお届けしていきたいと考えています。笠貫これまで医学や医療の最新知識は医療人が独占し、一般の方々に伝わることはほとんどありませんでした。インフォームド・コンセント(医師が患者に対して治療内容などを十分に伝え、理解と同意を得ること)が当たり前になりましたが、それだけでは不十分です。双方向性のコミュニケーションをつくるため『Sincere』がその役割を果たせたらと思っています。Sincere|No.1-2014 21