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概要

シンシア 2014.No.1

特別対談吉岡俊正東京女子医科大学理事長笠貫宏東京女子医科大学学長国際的な女性医療人の育成と先進の研究・医療体制で社会に貢献しています110年以上の伝統と実績を有する東京女子医科大学。我が国唯一、世界的にもユニークな女子医大とはどのような大学なのか。その歴史や理念、建学の精神、教育・研究・医療への思いなどを、理事長と学長が語る。リーダーとなりうる女性医師の育成を使命として吉岡東京女子医科大学は、1900(明治33)年に吉岡彌生先生によって創立された東京女医学校を母体としています。彌生先生は、女性の職業人を育成することが女性の社会的地位の向上につながると考え、自身が医師であったことから医療が女性に適した職業であると確信し、女性医師の育成に心血を注ぎました。私たちは彌生先生の信念である「至誠と愛(極めて誠実であることと慈しむ心)」を理念とし、国際水準の教育と先進医療分野での特色ある研究体制を築くとともに、質の高い医療を提供してきました。笠貫彌生先生が東京女医学校を創立された当時は、女性が教育を受けること自体が困難な時代でした。それがいまでは、医師国家試験合格者に占める女性の割合が30%を超えるまでになりました。しかし、女性医師がどれだけ指導的立場にあるかといえば、臨床、教育、研究、行政など、どの分野をとっても決して多いとはいえません。社会的地位の向上という点では、彌生先生の時代を第一ステップとすると、これからが第二ステップといえます。リーダーとなる女性医師を育てることは、女子医大の大きな使命でもあります。女性医療人が活躍できる環境づくりを支援吉岡医療の分野で女性が果たす役割は大きくなるばかりです。特に小児科医や産婦人科医は、女性の特性を生かせることから、女性医師の割合が多い領域です。むろん、看護師はいまでも女性が大多数を占めています。今後はこれまで以上に、より広い分野で女性医療人が求められ、進出していくに違いありません。求められる分野へ、それにふさわしい知識とスキルをもった女性医療人を送り出すこと。それができるのも、日本で唯一の女子医大である本学だからこそといえるでしょう。笠貫女性の医療人が増えているのに、彼女たちの働く環境が整っているかといえば、残念ながらそうとはいえません。女子医大では、女性医療人が活躍でき、女性リーダーが育つ環境づくりを応援しようと、学内に男女共同参画推進局を設け、女性医師や看護師への支援を行っています。結婚、妊娠、育児、子育て、さらには職場復帰する際の再教育など、必要とされる支援は多方面にわたります。女子医大のこうした取り組みが、日本の女性医療人支援のモデルケースになればと考えています。患者さん本位の全人的医療を創造吉岡日本の医療の発展に、女子医大は確かな足跡を残してきました。例えば、日本心臓血圧研究所(のちの心臓病センター)、消化器病センター、脳神経セ20 Sincere|No.1-2014