令和6年度 東京女子医科大学病院 病院情報の公表

●「病院情報の公表」 について
 DPCデータ(※)を用いて、厚生労働省が定める集計条件に基づいた指標を作成し、公表を行っています。
 
  ※DPC(診断群分類)とは、「Diagnosis Procedure Combination」の略であり、
   入院される患者さんの診断病名と治療方法の組合せによって決定される分類です。
   その分類に基づいた診療データ全般をDPCデータと呼びます。
 
 ・令和6年度(2024.6.1~2025.5.31)中に、当院を退院した患者さんを集計対象としています。
 ・医科(歯科以外)で保険診療された患者さんが対象で、労災、公害、自賠責、自費での診療データは含まれません。
 ・入院後24時間以内、または生後1週間以内に亡くなられた患者さんは集計対象外です。
 ・臓器移植を受けた患者さん、または提供者(ドナー)の方は集計対象外です。
 ・集計の結果、人数が10人未満となった項目は、数字の代わりに 「-」(ハイフン)を表示しています。

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,071 554 745 1,122 1,629 2,745 3,096 4,037 2,090 304
●「年齢階級別退院患者数」 について
 退院した患者さんの人数を年齢階級別(10歳刻み)で集計しています。年齢は入院日時点での満年齢です。
 
【解説】
 当院では幅広い年齢層の患者さんに入院医療を提供していますが、特に症状が重くなりやすい60歳以上の患者さんが過半数を占めています。また、NICU(新生児集中治療施設)、GCU(回復期病床)を有する総合周産期センターでもあるため、10歳未満の患者さんが比較的多いことも特徴です。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
●「診断群分類別患者数等」 について
 診療科別に、診断群分類別患者数等を集計しています(人数の多い順に5つまで ・ 10件未満は 「-」を表示)。
 
 「DPCコード」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁のコード(番号)です。
 「DPC名称」 … 「DPCコード」に対応する名称です。診断病名や、治療方法等で構成されています。
 「平均在院日数(自院)」 … 当院で入院していた日数(在院日数)の平均値です
                   (入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります)。
 「平均在院日数(全国)」 … 厚生労働省より公表された、全国のDPC対象病院の平均在院日数です。 
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です(転院患者数/各DPCコード別の全退院患者数)。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 Bあり 32 15.16 12.23 0.00% 75.91
130010xx97x9xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2 9あり 21 32.90 34.69 4.76% 69.29
130030xx97xB0x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 Bあり 定義副傷病 なし 16 28.94 27.85 0.00% 74.69
130040xx99x5xx 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし 手術・処置等2 5あり 13 10.62 14.69 0.00% 65.38
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 12 7.50 8.65 0.00% 71.17
 R6年度の血液内科の入院では、悪性リンパ腫での入院が最も多くなっています。最新の治療法を導入しており、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対しては、新しい抗体薬であるポラツズマブ ベドチンを積極的に使用しています。また、T細胞性リンパ腫に対しては、ブレンキシマブ ベドチンを用いることにより、体への負担が少なくかつ治療効果を得られることを目指しています。
 非ホジキンリンパ腫に続いて多い疾患は急性骨髄性白血病です。高齢者や、当院では腎移植後などの合併症を持たれている方も多いので、ベネトクラクス+アザシチジンという体への負担が少ない治療法を選んでいます。
 多発性骨髄腫も多く診療しており、ダラツムマブ、イサツキシマブなどの抗体薬を中心に、患者さんの病状やご年齢に合わせた治療を行っております。
 入院期間があまり長期にならないよう留意しつつ、患者さんに長く当院に通っていただけるよう工夫しています。
糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり 90 10.94 13.77 1.11% 69.36
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 なし 30 9.37 10.46 0.00% 63.60
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 8.12 13.07 0.00% 46.54
10006xxxxxx0xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 なし 8.33
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 13.75
 糖尿病・代謝内科で最も多い疾患は2型糖尿病であり、主に血糖コントロールや慢性合併症の精査、治療のために入院していただいています。血糖コントロール目的に入院された場合には、管理栄養士による個別食事指導や、インストラクターによる運動指導を行うとともに、個々の患者さんに最適な薬物療法(経口血糖降下薬およびインスリンなどの注射薬)を選択します。合併症の精査では、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害に加え、神経精神科疾患、歯科・口腔外科疾患、消化器疾患、産婦人科疾患などにも十分配慮して検査を行っています。
 1型および2型糖尿病に共通する高血糖緊急症として糖尿病ケトアシドーシス(DKA)があり、インスリン作用の欠乏により生じる高度の代謝失調状態です。 1型糖尿病の発症、インスリンの自己中断、感染症などシックデイによる相対的なインスリン不足など原因はさまざまですが、いずれの場合においても、高ケトン体血症が原因でアシドーシス、脱水を引き起こすことが本態です。 重症では昏睡状態となるため、入院の上補液とインスリン投与を行い、脱水、高浸透圧、アシドーシスを補正します。 また誘因となった基礎疾患の診断、治療も並行して行い、再発予防に努めています。
 当科では特に糖尿病性腎症の診断、治療に力を入れており、その結果、腎症による末期腎不全患者さんの入院も多くなっています。年間あたり数十名の糖尿病性腎症患者さんが、入院のうえで透析療法を開始しています。透析療法は、血液透析と腹膜透析のいずれにも対応しています。 さらに当科には、全国から多くの1型糖尿病患者さんが受診されており、血糖コントロールの目的や、さらには1型糖尿病の根治療法である膵臓移植の目的で入院される患者さんもいらっしゃいます。最近では、連続糖濃度測定装置(CGMS)を用いた24時間の血糖連続的測定や、連続皮下インスリン持続注入法(CSII)、さらにはパーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプ療法の導入なども、入院の上で対応しています。また膵臓移植後の適応判定や移植後の管理も当科が主体となって行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 重症度等 片眼 429 2.33 2.49 0.00% 73.91
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 62 4.13 5.47 0.00% 66.26
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 重症度等 片眼 55 4.13 7.53 0.00% 52.95
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 重症度等 片眼 35 3.66 4.83 0.00% 64.91
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 19 4.05 5.58 0.00% 61.53
 当院では、白内障、網膜硝子体疾患、緑内障、角結膜疾患、眼形成、斜視など、多岐にわたる眼科手術に対応しております。特に、白内障や硝子体手術を必要とする網膜硝子体疾患において、多くの症例実績があります。
 白内障手術は、患者様のご希望に応じて日帰りでも行うことが可能です。ただし、白内障が進行している場合、片眼の視機能が著しく低下している場合、または全身の基礎疾患により合併症のリスクが高い場合には、安全のため入院での手術をお願いしております。
 網膜硝子体疾患に対する硝子体手術では、術後の経過観察を重視し、基本的には入院での手術を推奨しています。さらに、網膜剥離や眼内炎、外傷など、迅速な対応が求められる緊急手術にも、大学病院として体制を整え、速やかに対応しております。
 当院は大学病院として、専門性の高い医療と最新の研究成果に基づいた治療を提供し、患者様にとって安全で確実な手術を行うことを目指しています。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 51 5.92 7.35 0.00% 31.41
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 50 4.38 5.84 0.00% 56.10
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 44 6.02 6.68 0.00% 54.39
03001xxx99x3xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 3あり 18 22.50 26.52 0.00% 62.39
030340xxxxxxxx 血管運動性鼻炎、アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー> 14 4.07 5.12 0.00% 42.57
 最も患者数が多いのは「扁桃やアデノイドの慢性疾患」です。習慣性扁桃炎やアデノイド肥大による鼻閉・いびき・睡眠時無呼吸の患者さんが多く、IgA腎症をはじめとする病巣感染症に対しても扁桃摘出術が行われています。
 次いで「慢性副鼻腔炎」の患者さんが多く、薬物療法で改善が難しい例や、副鼻腔真菌症・好酸球性副鼻腔炎といった特殊な病態も含まれます。重症アレルギー性鼻炎や喘息を合併する患者さんについては、呼吸器内科との連携治療が特徴です。
 さらに、耳下腺・甲状腺周囲などの良性腫瘍から頭頸部悪性腫瘍まで幅広く対応しています。特に進行例や合併症のある患者さんについては、耳鼻いんこう科だけでなく放射線科・腫瘍科・形成外科などとの多職種連携で治療を行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 72 11.17 12.98 1.39% 62.57
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 46 7.35 9.33 0.00% 65.41
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 22 4.82 3.77 0.00% 55.36
080100xxxx0x0x 薬疹、中毒疹 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 15 8.40 10.13 0.00% 53.53
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 14 5.86 6.92 0.00% 69.93
 膿皮症として分類される疾患の中で多いものに、蜂窩織炎があります。糖尿病を合併している患者さんも多く、適切かつ十分な抗生物質による治療が必要です。
 帯状疱疹は健康な方でも発病しますが、高齢者、免疫抑制患者さんなどでしばしば見られ、重症化するケースもあります。このような患者さんでは、皮膚症状が軽快した後に、後遺症としての神経痛を残すこともあり、入院して十分な管理のもとに治療しています。
 皮膚良性腫瘍として、ほくろ、上皮系腫瘍、血管腫などがあり、小型なものは外来手術を行っています。
 薬疹は摂取した薬剤やその代謝物にて誘発される皮膚・粘膜の発疹です。原因となる薬剤を中止もしくは変更し、症状が重篤な場合は全身治療を必要とします。必要時は精査のため薬剤誘発性リンパ球刺激試験、内服テストなどを行っています。
 黒色腫以外にも、基底細胞癌、有棘細胞癌など皮膚に生じる悪性腫瘍は多種あり、治療として病変をきちんと取り除く手術が必要となります。
睡眠科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 178 2.00 2.02 0.00% 54.54
010300xxxxxxxx 睡眠障害 36 2.00 3.96 0.00% 29.06
030250xx990xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 なし 2.92
 睡眠科の入院は、睡眠障害の診断をつけるために必須である睡眠ポリグラフ(PSG)検査を受けるための1泊2日の入院です。臨床検査技師が当直し、安全に配慮し、検査精度の向上に努めています。診断および、治療目的の入院があります。
【睡眠時無呼吸症候群】 いびき、無呼吸、昼間の眠気、不眠、夜間頻尿などを主訴とする疾患で、脳梗塞、心筋梗塞の原因となります。治療は、持続的陽圧呼吸療法(CPAP)や口腔内装置(OA)を睡眠中に装着することにより、閉塞した気道を確保できるようにします。
 ① CPAP加療のため、処方圧やマスク調整のためPSGを施行しながらCPAPを最適に使用できるようにします。
 ② OAを装着した状態でPSG検査を施行し、OAが有効であるかを検査します。
【レム睡眠行動障害】 悪夢を見て、その夢と同じ行為をしてしまう疾患です。認知症やパーキンソン病の部分症状や前駆症状であることが知られています。診断のためビデオPSG検査が有益です。治療は生活指導と薬物療法で、その薬効評価のため検査入院します。
【過眠症 ナルコレプシーなど】 昼間、覚醒しなければならない状況で、覚醒を維持することが困難な疾患です。夜間睡眠妨害因子がないかを診断するためのPSG検査、翌日は朝から夕方まで2時間おきに眠るよう指示して、眠りにつくまでの時間や、REM睡眠が出現するかを検査するMSLTを行い、診断します。
【下肢静止不能症候群、不眠症など】 足がむずむずして眠れない、睡眠中、足の違和感のために中途覚醒してしまうなどの症状による睡眠障害(2次性不眠症)で、PSGにて診断します。治療は生活指導と薬物療法で、その薬効評価のため検査入院をします。また、睡眠誤認といって、本人は頑固な不眠を訴えますが、客観的に検査すると脳波上ではよく眠れている場合がありますそれらの原因を検査するための入院となります。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 46 16.46 16.89 39.13% 72.50
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 25 10.40 16.94 8.00% 67.72
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 23 12.65 15.45 4.35% 59.65
010160xx99x10x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 19 13.00 18.98 15.79% 70.42
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 16.19 17.95 12.50% 71.19
 2024年度における脳神経内科の入院患者数が多い診断群は、脳梗塞、免疫介在性・炎症性ニューロパチー、パーキンソン病、多発性硬化症でした。 脳梗塞は複数の診断群に分かれ、そのうち2群のみリストアップされています。入院患者総数は、脳組織の一部が元に戻らない状態となってしまう「脳梗塞」と、脳血流の一時的な低下で神経症状を来たす「一過性脳虚血性発作」を含めると200名弱と最多でした。脳神経内科領域の代表的な緊急疾患で、当科は救命科・脳神経外科と連携して脳卒中救急体制を構築し、血栓溶解療法や血管内治療などの血行再建治療を行っています。適切な内科的急性期治療[点滴・内服薬(抗血小板薬:いわゆる血液循環をスムーズにする薬)や合併症の治療]、再発予防のための各種検査[頭部MRI・MRA、頸動脈エコー、脳血流SPECT検査(核医学の技術で脳血流を測定する)、経食道超音波検査(胃カメラのような装置で心臓の裏側や大動脈を身体の中から観察する)、経頭蓋超音波ドップラー検査(頭蓋骨の間から頭蓋内の血流を観察する)および長時間心電図監視検査など]を行い、原因の究明、適切な治療方針の選択・治療成績の向上に心がけています。なるべく短期間で自宅退院または回復期リハビリテーションが開始できるように医療連携を行っています。治験への参加や臨床研究などを通してさらなる予後改善を目標に診療にあたっています。
 免疫介在性・炎症性ニューロパチーは、本来外部からの攻撃を防御するはずの免疫システムが、自己に対して間違って働いてしまう自己免疫性疾患の一種で、末梢神経が障害され(ニューロパチー)、手足の感覚障害、筋力低下などが出現します。副腎皮質ステロイドや免疫グロブリン大量(IVIg)療法といった治療を行いますが、繰り返し入院治療を要する場合があります。
 パーキンソン病は歩きにくい、手がふるえる、動作が緩慢になるといった症状が出現する脳の変性疾患の一種です、近年では効果的な薬が複数開発され、治療効果が期待できます。
 多発性硬化症は、大脳や脊髄の中枢神経に病変が生じる自己免疫性疾患の一種です。経過は様々ですが、副腎皮質ステロイドやその他の免疫反応を調節する新規治療薬を含めて積極的な治療を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010280xxxxx0xx ジストニー、筋無力症 手術・処置等2 なし 90 14.98 10.88 0.00% 40.53
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 52 2.17 2.86 0.00% 64.35
010070xx01x2xx 脳血管障害 脳血管内手術等 手術・処置等2 2あり 48 16.60 17.84 6.25% 40.13
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 47 11.68 18.68 29.79% 50.87
010180xx97xxxx 不随意運動 その他の手術あり 39 7.28 10.09 0.00% 56.69
 局所ジストニアには、字を書くときに手がこわばる書痙、楽器を演奏するときに指や手首が曲がったり、伸びたり、こわばったりする音楽家ジストニアなどがあります。このような手に発症するジストニアは、繰り返し同じ動作を長期間行いつづけることで発症します。音楽家(あらゆる楽器で発症します)以外には、美容師、大工、漫画家、歯医者、時計修理士など多種多様です。これらのジストニアは、一般的にボツリヌス毒素(BOTOX)や内服治療が行われますが、当科では、約15年前より視床に凝固巣を作成することで症状が劇的に改善することを明らかにしました。当施設では、手術による熱凝固や電気刺激、低侵襲なガンマナイフや集束超音波など、あらゆる方法により、視床に凝固巣を作成できます。
 脳腫瘍の中で神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術による最大限の脳腫瘍摘出と、覚醒下手術での最小限の術後神経症状の両立、標準的な放射線化学療法に加え、新規治療開発も行っています。近年、神経膠腫に関して、より高い摘出率をめざす方針が標準的になってきています。手術後は、詳細な腫瘍の種類の診断(病理診断)に加え、遺伝子異常を解析し(遺伝子診断)、それらの結果を総合的に診断して、標準的な放射線・化学療法を施行します。さらに、標準的な治療方法で治療結果(治療開始日から再発までの期間や生存可能な期間)が不十分と思われる悪性神経膠腫の場合は、臨床研究や治験などの新規治療法が選択できる体制をとり、幅広い治療オプションを持つことができます。良性腫瘍に分類される髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍なども多数の手術を行っており、術中モニタリングやナビゲーションシステム、神経内視鏡を駆使し、安全で最大限の摘出を実施しています。モニタリングとは全身麻酔下でも患者さんの神経機能を検査できるシステムで、腫瘍の部位や大きさに基づいて種々のモニタリングを組み合わせて安全な手術を実現しています。小児脳腫瘍(術後放射線療法、化学療法)も治療体制が確立されております。
 脳動脈瘤とは、脳動脈の血管壁が瘤状に膨らむ状態です。未破裂の状態では多くは無症状です。破裂するとくも膜下出血という重症な脳卒中になります。破裂率は部位や大きさによって異なります。ガイドライン上治療を検討するのは、①5mm以上の動脈瘤、②5mm未満で、A)症状のある例、B)破裂しやすい部位、C)不整形、などの特徴を有する場合です。脳動脈瘤の治療実績は年間約150~200例で、未破裂脳動脈瘤や巨大脳動脈瘤が約80%を占めております。治療法は、開頭手術と血管内手術が両方選択可能です。手術室でのカテーテル治療が可能なハイブリッド手術室を備えており、より安全性の高い治療の選択が可能です。脳梗塞の原因となる内頚動脈狭窄の血栓内膜剥離術やステント留置術、もやもや病に対する血行再建術や、脳動靜脈奇形の血管内塞栓術および摘出術も多数行っております。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 31 2.35 3.58 9.68% 30.58
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 20.78
180010x0xxx3xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 3あり 30.29
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2 なし 2.63
180010x0xxx4xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 4あり 37.05
【薬物中毒(その他の中毒)】
 救急科で一番多かったのは、お薬やアルコールなどを一度に多く摂取してしまう「薬物中毒」です。手術が必要になることはなく、点滴や体内の状態を整える治療を中心に行います。多くの方は数日で回復され、平均2日ほどで退院されています。
【誤嚥性肺炎】
 食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまい、肺に炎症が起こる病気です。高齢の方に多くみられ、発熱や咳、呼吸のしづらさを伴うことがあります。抗菌薬による点滴やリハビリを行い、しっかりと回復できるように支援しています。平均して3週間前後の入院となることが多いです。
【敗血症】
 体の中の感染が血流にのって全身に広がり、強い炎症反応を起こす病気です。命に関わることもあるため、集中治療室での管理や抗菌薬の点滴、血圧を保つための治療などが必要になります。入院期間はおおむね1か月程度と長くなりますが、医師・看護師をはじめ多職種のスタッフが協力して治療とケアにあたっています。
【外傷・損傷(詳細不明の損傷など)】
 転倒やぶつかったことによる打撲やけがなどが含まれます。軽症で手術を必要としない場合が多く、入院期間も短めです。数日で退院される方がほとんどで、安心して日常生活に戻っていただけます。
化学療法・緩和ケア科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
06007xxx9909xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり 11 3.09 3.19 0.00% 64.45
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等2 2あり 19.51
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 8.61
060040xx99xAxx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 Aあり 3.21
03001xxx99x70x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病 なし 6.52
 がん薬物療法やがんゲノム、さらには開発中のがん治療に関する知識を有する専門医が診療を担当しています。特定の臓器にとらわれず、消化器がんや肺がん、乳がんなどの比較的多く見られる疾患から、肉腫や原発不明がん、多臓器にわたるがんなど、様々な悪性腫瘍の治療を行っています。がん薬物療法の適応の判断や最適な治療の選択肢について患者さんに提案しています。大学病院の診療科間の垣根を取り払いがんの横断的診療を行うことが腫瘍内科の特徴です。がん専門施設から着任した専門医が中心となり、がん薬物療法を行なっています。また、地域の医療機関と連携し、終末期療養を選択できるように、がん治療の早期段階から、アドバンスドケアプランニング(ACP)を多職種で実施し、患者さんやご家族の意向を尊重した治療を心がけています。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 44 3.16 2.73 0.00% 3.86
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 41 3.00 2.96 0.00% 2.49
11022xxx01xxxx 男性生殖器疾患 精索捻転手術等 35 3.11 3.53 0.00% 6.26
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 定義副傷病 なし 15 3.00 6.85 0.00% 1.67
140580xx02xxxx 先天性下部尿路疾患 尿道形成手術等 8.84
【鼠径ヘルニア】
  鼠径ヘルニアは、お腹の中の臓器(腸管や卵巣など)が鼠径部(足のつけ根)に脱出してしまう病気です。放置しておくと「嵌頓(かんとん)」といって、脱出臓器がお腹に戻れなくなることがあり、これは血流障害で脱出臓器が壊死してしまう危険な状態です。そのため、診断がついたら早めに手術を計画することが一般的です。 
【停留精巣】
 精巣は胎⽣期にお腹に発⽣し、出⽣までに陰嚢内に下降します。狭義の停留精巣は、この下降経路の途中で精巣が⽌まってしまい、陰嚢まで下降していない状態を指します。広義の停留精巣には、一度陰嚢内まで下降したものの、固定が不十分で動いてしまう遊走精巣も含まれます。狭義の停留精巣は、不妊や癌化との関係が報告されています。
【急性陰嚢症】
 急激な陰嚢痛をきたす疾患として精索捻転、精巣垂捻転、精巣上体炎があり、この3疾患をまとめて急性陰嚢症と呼びます。精索捻転は、発症後6時間以内に手術を行わないと精巣が壊死する可能性が高く、緊急手術が必要です。一方、精巣垂捻転と精巣上体炎では精巣が壊死することはありませんが、3疾患の鑑別は容易ではありません。
【臍ヘルニア】
 臍ヘルニアは、お腹の中から臍に腸が脱出する病気です。臍は通常、生後1歳半までの間に筋膜の穴が閉じ、皮膚が陥凹することで形成されますが、筋膜の穴が閉じる前に腸が脱出するようになると、穴が塞がる速度が遅くなり、塞がるまでの間は腸が脱出します。全ての新生児に起きる可能性がありますが、自然に治ることが多い疾患です。
【尿道下裂】
 尿道下裂は、尿道が正常に作られておらず、オシッコが亀頭先端以外の場所から出てしまう病気です。オシッコが出る外尿道口の場所により、軽症から重症までの分類があります。重症例では生下時より亀頭が露出し、陰茎の高度な屈曲も伴います。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 141 19.52 21.38 9.22% 72.30
070470xx02xxxx 関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 94 15.23 18.46 6.38% 65.68
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 80 19.10 18.76 5.00% 65.00
070230xx02xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 骨穿孔術等 60 19.52 24.44 1.67% 56.50
070470xx01xxxx 関節リウマチ 人工関節再置換術等 55 19.09 21.28 5.45% 67.22
 膝関節症と股関節症はともに関節の変形による歩行時の痛みでお困りの患者さんで、人工関節置換術や骨切り術を行うことで痛みが緩和され、楽に歩くことやスポーツなどの余暇を楽しむことが出来るようになります。
 関節リウマチによる手足の変形も手術によって治すことができ、痛みがとれ、見た目も良くなり、生活の質の向上につながります。
 また、スポーツなどで膝の靱帯や半月板を損傷した患者さんには関節鏡という内視鏡を用いた靱帯形成術を行います。小さな傷で断裂した靱帯を治療することができ、好きなスポーツに復帰できるようになります。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx011xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 あり 32 13.47 14.76 0.00% 51.00
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1 なし 26 3.92 4.65 0.00% 47.77
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 16 2.00 2.74 0.00% 70.94
160200xx030xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1 なし 13 3.00 3.31 0.00% 32.46
080180xx99xxxx 母斑、母斑症 手術なし 12 2.92 3.15 0.00% 4.17
 形成外科は体表外科であり、体表の腫瘍・外傷・先天異常疾患などに対する外科です。また、組織欠損に対して機能的・整容的な再建手術も行っています。
 当院形成外科で最も多い症例は、乳がん術後の組織欠損に対する遊離皮弁移植術による乳房再建手術です。
乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 102 5.31 5.50 0.00% 59.54
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 なし 92 9.15 9.77 0.00% 62.13
090010xx99x9xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 9あり 32 2.59 4.83 0.00% 64.53
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 17 4.41 3.94 0.00% 46.24
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 6.48
 乳腺外科では、大半が乳がんの手術となっております。良性腫瘍の手術の中には予防的削除も含まれます。安全で安心な医療を提供することを第一の目標として治療に取り組んでおります。
内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術・処置等1 なし 79 8.01 7.90 0.00% 50.77
100220xx01xxxx 原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術 副甲状腺(上皮小体)摘出術等 45 8.69 7.25 4.44% 61.11
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 手術あり 手術・処置等2 なし 41 6.51 7.05 0.00% 54.59
100140xx97xxxx 甲状腺機能亢進症 手術あり 17 7.47 8.77 0.00% 45.12
100020xx99x00x 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 14 3.07 8.21 0.00% 67.14
 甲状腺の手術では、癌の手術が最も多いですが、良性腫瘍やバセドウ病の手術も行っています。甲状腺癌に対しては薬物治療も行っています。副甲状腺の手術症例数も多数行っています。
 すべての分野において、安全で安心な医療を提供することを第一の目標として、治療に取り組んでいます。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 291 4.85 4.47 0.34% 63.52
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 156 6.06 9.59 0.00% 70.98
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 131 3.69 4.18 0.00% 67.55
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 重症度等 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 111 13.85 17.33 4.50% 75.80
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 87 3.70 3.27 0.00% 64.77
 循環器内科で最も多かったDPC名称は頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術で、年間290症例に治療を行っており増加傾向となっています。心房細動だけでなく、その他の頻脈性不整脈に対しても幅広く治療を行っているのが特徴です。
 徐脈性不整脈に対してはペースメーカや植え込み型除細動器、心臓再同期療法などの治療を行っており、平均6日間ほどの短い期間での退院を実現しています。
 狭心症・慢性虚血性心疾患では経皮的冠動脈形成術が最も多く、4日間ほどの入院期間で対応しています。心臓カテーテル検査目的の入院の場合も同様に3-4日間で対応しています。
 心不全治療にも力を入れており、病状に合わせて早期退院を目指し、全国平均よりも短い在院日数を達成しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 69 25.25 20.84 10.14% 60.14
050080xx02000x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 経カテーテル弁置換術等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 60 13.70 12.23 15.00% 84.62
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 48 8.02 10.18 0.00% 75.06
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 30 4.23 7.58 0.00% 77.93
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 27 23.85 21.11 7.41% 66.26
 心臓血管外科では、大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、連合弁膜症等に対する手術を多く行っています。主な 手術は、人工弁置換術・弁形成術であり、術後すぐに集中治療室に入り、中心静脈注射や人工呼吸器の管理を行います。集中治療室には術後3日間程滞在し、その後、一般病棟に移動します。一般病棟ではリハビリテーション、内服薬管理(抗凝固療法)、術後心機能、弁機能等の術後検査を施行します。手術における平均在院日数は約3~4週間となっています。開胸手術が難しい高齢の患者さんに対しては、カテーテルを使って心臓の弁を置き換える治療(経カテーテル弁置換術:TAVI)も積極的に行っています。この治療は、平均年齢84.6歳と高齢の方にも対応しており、体への負担が少ないのが特長です。
 また、破裂していない大動脈瘤に対しては、ステントグラフト内挿術という体に優しい治療法を用いています。これはカテーテルを使って血管の中に補強材(ステント)を入れる方法で、開腹せずに治療できます。この治療を受けた患者さんは、平均で約2週間程度の入院後、ご自宅へ退院されています。
循環器小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 109 5.19 4.08 0.00% 30.31
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 50 6.60 4.47 0.00% 37.24
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 41 6.54 9.59 0.00% 35.27
050200xxxxxxxx 循環器疾患(その他) 35 4.83 7.71 0.00% 29.31
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 19 5.32 5.57 5.26% 20.84
 先天性心疾患は、出生児の1%に発症する比較的頻度の高い先天的疾患ですが、通常の心臓とは異なり心内短絡や複雑な心血管血管構造異常を伴うことが特徴です。ファロー四徴症や完全大血管転位などの複雑な先天性心疾患では新生児期や乳児期に内科的治療のみならず外科的治療が生存に必須になる疾患が多いですが、近年は手術成績が向上し成人にまで達するため成人期に新たな不整脈や心不全などの合併症を生じ入院することも増えています。当科は小児から成人までの幅広い先天性心疾患の心臓カテーテル検査を含めた診療を行い、心不全治療なども積極的に取り組んでいます。 
 先天性心疾患では高頻度に頻拍性および徐脈性不整脈も合併します。頻拍性不整脈は内服薬抵抗性も多く、突然死や脳卒中などの心血管イベントのリスク因子となるため、カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)を積極的に施行し良好な成績を得ることができています。徐脈や致死的不整脈、心不全に対してのペーシング治療や植え込み型除細動器植え込みも積極的に行っています。
 動脈管開存や心房中隔欠損などに対しては開胸を要しない経カテーテル的に治療が行うことが主流となってきています。
 総合的な心臓形態異常の診断や評価を行い適切な内科的治療や、手術適応なども検討や心不全の改善を試みることが循環器小児科の主要な業務です。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 42 3.90 3.03 0.00% 71.21
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 33 17.58 16.40 6.06% 81.91
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 27 9.07 8.16 0.00% 75.67
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 21 22.57 18.68 0.00% 79.24
040170xxxxxxxx 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 13 7.54 10.46 0.00% 69.38
 呼吸器内科で最も多い症例は、肺の悪性腫瘍(肺がんなど)を疑われた患者さんが、診断をつけるための入院です。気管支鏡またはCTガイド下で生検を行います。組織を用いて、組織型や遺伝子変異の有無を調べます。3~4日の入院となりますが、気胸や肺炎などの合併症が起きますと、入院日数が延びることがあります。
 2番目に多い症例は、肺炎になります。原因となる病原菌を調べ、抗菌剤で点滴または内服で治療を行います。酸素投与や、人工呼吸器が必要となることがあります。高齢の方では、ADLが低下し入院期間が延びることが多くなります。
 3番目に多い症例は、肺の悪性腫瘍で抗がん剤治療(化学療法)のための入院です。初めての薬剤を使う場合は必ず入院で治療を⾏い、副作用の予防と治療を⾏います。約2週程度で副作用は回復し退院となります。
 4番目に多い症例は、間質性肺炎です。肺が線維化する疾患で、原因不明の場合が多く、膠原病や薬剤や羽毛などが原因となることがあります。CT画像や気管⽀鏡検査や血液検査などを行い診断します。ステロイドまたは抗線維化薬(ピレスパやオフェブ)で治療します。感染症を合併し、治療が必要となることもあります。入院は2~3週必要となります。
 5番目に多い症例は、非結核性抗酸菌症になります。近年増加傾向にあります。緩徐に進行する疾患ですが、難治性で治療は長期間となります。大部分はMAC菌で内服治療を行いますが、難治性のアブセサス菌となりますと点滴治療を4週間入院で行う必要があります。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2 なし 134 11.46 9.82 0.00% 68.76
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 30 3.27 3.03 0.00% 69.27
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり 25 13.04 18.72 0.00% 71.88
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 19 8.21 9.59 0.00% 31.32
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 14 8.93 8.41 0.00% 58.79
 呼吸器外科では、肺悪性腫瘍に対する手術を目的として入院される患者さんが、最も多くなっています。内訳としては、原発性肺癌が最も多く、ついで、転移性肺腫瘍(大腸や腎臓など他の臓器の癌から肺への転移)となっています。持病(併存する疾患)を有する患者さんには、大学病院の特性を活かし、関係する診療科とともに治療にあたっています。原発性肺癌では集学的治療を行っていますので、肺癌に対する化学療法は、従来の抗癌剤治療に加え、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬など、個人の癌の特性(組織型や遺伝子変異など)を考慮した個別化治療を行っております。肺悪性腫瘍に対しては手術以外にも診断目的に、短期間の入院で気管支鏡検査、CT下生検を行っております。
 気胸の患者さんに対しては、胸腔ドレナージや入院後早期の手術を行っています。術式は胸腔鏡手術が主体で、術後速やかにもとの日常生活に戻られています。他院から難治性気胸の患者さんを受け入れ、治療後に元の病院へ再度転院することもあります。
高血圧・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 43 3.67 5.35 0.00% 54.40
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症 定義副傷病 なし 25 5.00 8.86 4.00% 65.44
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 23 3.26 3.88 0.00% 53.52
100260xx99100x 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 4.09 5.04 0.00% 45.27
100250xx99x20x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 21 3.48 4.20 0.00% 42.19
 高血圧・内分泌内科では、様々な内分泌疾患の診断・治療のための入院を行っています。
 1, 3番を占める症例は、血圧調節に重要な働きを持つ内分泌臓器である、副腎の機能異常により血圧が上昇する病気です。主に原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、副腎性クッシング症候群などを診断・治療するために3泊4日程度の入院を要しています。
 2, 4, 5番を占める症例は、全身の内分泌器官の命令中枢である脳下垂体に起きる病気で、先端巨大症やクッシング病、プロラクチノーマ、非機能性下垂体腺腫等、下垂体疾患による副腎皮質機能低下症を含みます。
 経験豊富な医師が多数在籍しており必要最低限の入院期間で検査、治療を行うことができるため、いずれの疾患でも平均在院日数は全国平均より短いのが特徴です。
内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100260xx99100x 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 4.00 5.04 0.00% 54.14
100260xx9710xx 下垂体機能亢進症 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 17 12.76 15.60 5.88% 60.47
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 12 3.83 5.35 0.00% 58.83
100250xx99x21x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 あり 7.07
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症 定義副傷病 なし 8.86
 内分泌内科では、ホルモンを作る内分泌臓器の障害により、ホルモン分泌の異常が起こった状態か、そのホルモンが作用する標的臓器の異常により、ホルモン作用の異常が起こった疾患の診断・治療を行なっています。入院患者さんとしては下垂体のホルモンが過剰、不足する病気(クッシング病、プロラクチノーマ、先端巨大症、下垂体機能低下症、尿崩症など)、副腎のホルモンが過剰、不足する病気(クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、副腎皮質機能低下症など)が多く、いずれの病気も平均在院日数は全国平均よりも短くなっています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 24 27.92 19.47 4.17% 35.58
120260x001xxxx 分娩の異常(分娩時出血量2000ml未満) 子宮破裂手術等 18 9.33 9.34 0.00% 36.56
120140xxxxxxxx 流産 17 2.06 2.44 0.00% 34.94
120180xx99xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 手術なし 14 20.14 6.65 0.00% 32.64
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 13 14.31 9.40 0.00% 34.38
 当院の母子総合医療センターは、東京都の周産期中核医療施設として、総合周産期母子医療センターに指定されています。総合周産期母子医療センターとは、MFICU(母体胎児集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)を有し、常時母体及び新生児搬送受入体制をとり、合併症妊娠、妊娠高血圧症候群、切迫早産、胎児異常など、母体または児におけるリスクの高い妊娠に対する医療や、高度な新生児医療などの周産期管理を行える施設をいいます。産科と新生児科が連携し、24時間・365日すべての妊産褥婦・新生児に対して高度な医療・看護を提供しています。合併症を持ちながら妊娠している方や、切迫流早産、多胎妊娠、胎児異常などの管理をしていますが、合併症がなく妊娠経過が順調な方の分娩にももちろん対応しています。都内にお住まいの方も、都外にお住まいの方も、セミオープンシステムの利用や里帰り分娩を希望される方まで、幅広く分娩の受け入れを行っています。
 また当院では、無痛分娩を取り扱っております。無痛分娩は24時間麻酔科医対応のもと安全な分娩体制を提供しています。また、NICUも完備しており、皆様に安全・安心なお産のサポートを行っています。
小児科(新生児)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 48 5.75 6.11 0.00% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 27 8.89 11.83 0.00% 0.00
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 1あり 26 33.19 23.19 0.00% 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 1あり 20 11.55 10.60 5.00% 0.00
140010x297x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術あり 手術・処置等2 1あり 28.55
 新生児集中治療室(neonatal intensive care unit, NICU)に入院される患者さんの中で頻度が高いのは出生体重が小さい赤ちゃんです。出生体重2500g未満を低出生体重児、1500g未満を極低出生体重児と呼びます。予定日より早く未熟段階出生した場合低出生体重となるほか、子宮内発育遅延がある場合正期産でも低出生体重のことがあります。このような赤ちゃんは肺が未熟なことが多く、呼吸サポート治療がしばしば必要になります。その他、全身臓器の未熟性により、体温が不安定で、低血糖を起こしやすく、哺乳力が不十分で、黄疸の影響が強く出やすいため、専門病棟での治療が必要です。保育器収容、糖液点滴、経管栄養、光線療法などの治療が行われます。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 46 5.78 6.38 0.00% 3.43
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 45 6.13 6.89 2.22% 6.71
010140xxxxx0xx 筋疾患(その他) 手術・処置等2 なし 45 4.51 11.40 0.00% 11.11
100380xxxxxxxx 体液量減少症 36 6.22 10.26 0.00% 4.69
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1 あり 29 1.03 2.10 0.00% 5.59
 小児科で最も多い入院患者さんは「ぜん息」の入院で、特に2~3歳の低年齢のお⼦さんの入院が多くみられます。初めての発作は少し重症になる傾向がありますので、⼗分な治療が必要になりますが、⼤切なのは、発作を起こしていない普段の治療で、外来での丁寧な説明を⼼がけています。 また、2歳未満で安易に「ぜん息」と診断されて薬を処方されている例も多く、これらの患者さんの診療には特に気を付けています。
 2番目は「てんかんを含めたけいれん性疾患」で、主に原因の精査と⻑時間脳波検査を含めた発作状態の評価や、多くの薬を使⽤しても、発作がコントロールできない患者さんに対して、ケトン食治療などの特殊治療を⾏っています。
 3番目に多いのは、「筋肉の病気」で、これは当科ならではの専門性によるものです。原因不明の赤ちゃんの運動発達の遅れや、偶然見つかった高クレアチンキナーゼ血症などの原因を調べます。今まで不治と言われていた神経筋疾患においても、治療可能な時代となっており、新しい治療の導入や治験への参加、合併症対策含めた日常の管理指導を⾏っています。
 4番目は、胃腸炎などに伴う脱水です。特に小さなお子さんは大人よりも脱水になりやすいため、思っているよりも早く脱水が進行していることがあるため、注意して診療しています。
 5番目は、食物アレルギーですが、多くは摂食禁止とされていた食材が食べられるようになったかを確認する、「経口負荷試験」目的の入院です。アレルギーだからとって、すべて摂食禁止とするのではなく、経過をみながら解除できるかを検討していくことが必要と考えております。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 132 6.02 5.88 0.00% 44.83
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 55 6.38 5.97 0.00% 40.35
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 42 9.19 9.84 0.00% 55.10
12002xxx02xxxx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 36 3.00 2.92 0.00% 38.53
120250xx01xxxx 生殖・月経周期に関連する病態 採卵術等 33 1.00 2.08 0.00% 37.00
 婦人科では、子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌などの婦人科悪性腫瘍に対する治療を積極的に行っています。手術療法だけではなく、化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療を取り入れています。近年、若年者の悪性腫瘍も増加しており、当科では妊娠機能を温存した癌治療を積極的に行っています。特に子宮頸癌につきましては、子宮頸部切除術を行い、子宮本体の温存を行っています。
 手術療法に関しては、腹腔鏡下手術を安全に施術するために、エビデンスに基づいた厳格な基準によりその適応を決定しています。腹腔鏡下手術を希望される場合は、外来担当医もしくは腹腔鏡外来にてご相談ください。また、ダヴィンチによるロボット手術も積極的に行っており、多くの実績を上げています。さらに、悪性腫瘍の手術にも腹腔鏡下手術やダヴィンチ手術を取り入れています。また、子宮筋腫や子宮内膜症などに関しては、薬物療法や子宮動脈塞栓術などの代替治療も選択できますのでご相談ください。術前の血液検査や画像診断で悪性腫瘍が疑われる場合や、過去に受けた手術により腹腔内癒着が激しいと判断された場合は、開腹術をお勧めすることもあります。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
06007xxx9910xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 244 3.38 4.08 0.00% 70.54
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 81 7.26 8.88 3.70% 69.94
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 67 2.58 2.57 0.00% 65.37
06007xxx97x0xx 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 32 10.47 11.52 6.25% 72.00
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 28 4.93 11.01 7.14% 67.57
 消化器内科が診療する病気は、消化管・肝臓・胆嚢/胆管・膵臓と多岐に渡っており、薬物治療・内視鏡治療・外科治療など様々な選択肢から適切な診断・治療を行う必要があります。消化器内科・消化器外科が綿密に連携して診療を行っているのが特長です。特に膵がんの早期診断・治療に注力しており、一般的な画像検査に加えて、超音波内視鏡検査やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を積極的に行っております。膵がん・胆管がん・肝がんに対する薬物療法も多数行っておりますが、治療開始時は安全性を考慮して短期間入院で行い、安全性を確認した後に外来通院での治療を継続しております。
 良性疾患では、胆石による急性胆管炎や閉塞性黄疸、慢性膵炎に対する内視鏡治療の経験も多く、緊急内視鏡処置が必要なこともありますが、急性期の対応も積極的に行っております。また下部消化管内視鏡(大腸カメラ)は近年増加している大腸がんを減らすことが示されており、大腸ポリープに対する内視鏡治療も必要に応じて短期入院で対応しております。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 79 5.11 4.54 0.00% 71.20
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 62 5.98 8.88 1.61% 72.32
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 56 10.88 14.81 0.00% 68.52
06007xxx9910xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 49 2.88 4.08 0.00% 74.04
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 48 5.31 5.99 0.00% 59.46
 肝胆膵外科については、胆管や膵臓に関する項目は検査入院や胆管炎の抗生剤治療の項目が列挙されており、多数の高難度手術を行いながらも、手術対象外の患者さんであっても検査、化学療法から終末期医療まで幅広く診療していることが示されています。
 消化管外科の結腸悪性腫瘍手術では平均在院日数が全国平均よりも4日短縮され、少ない合併症で術後計画的に退院に至っています。
消化器内視鏡科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 313 3.45 2.57 0.00% 64.52
060035xx03xxxx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 161 5.81 6.39 0.00% 67.57
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 83 6.08 7.45 0.00% 73.92
060010xx04xxxx 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 内視鏡的食道粘膜切除術等 70 6.17 7.39 0.00% 66.84
060040xx06xxxx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 58 6.02 6.32 0.00% 63.21
 消化器内視鏡科では、消化管腫瘍に対する内視鏡診断と低侵襲内視鏡治療(ESD)を中心に診療を行っています。当科指導医は食道、胃、大腸全ての消化管ESDを非常に安全に行っております。
リウマチ科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070560xxxxx00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 51 15.53 14.93 1.96% 58.67
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 16.40
070560xxxxx01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 24.07
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 なし 15.00
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 18.68
 膠原病リウマチ内科で最も多い症例は、全⾝性エリテマトーデス、全⾝性強⽪症、⽪膚筋炎・多発性筋炎、混合性結合組織病、高安病、巨細胞性動脈炎、顕微鏡的多発⾎管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、シェーグレン症候群、成人スティル病、ベーチェット病などの「重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし」のための⼊院で、主に薬物治療を⾏っており、平均して16⽇ほどで退院されております。 
 2番⽬に多い症例は、「肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし」であり、関節リウマチや各種膠原病に合併した肺炎などの感染症のための⼊院で、主に薬物治療を⾏っています。
 3番⽬に多い症例は、「重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり」であり、重篤な臓器病変を伴う自己免疫性疾患の診断や治療のための⼊院で、主に薬物治療を⾏っています。
 4番⽬に多い症例は、「関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 なし」であり、関節リウマチの関節炎の治療のための⼊院で、主に薬物治療を⾏っています。
 5番⽬に多い症例は、「間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし」であり、関節リウマチや各種膠原病に合併した間質性肺炎の治療のための⼊院で、主に薬物治療を⾏っています。 
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 96 8.09 11.35 1.04% 59.49
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 59 7.69 6.01 0.00% 50.56
110260xx99x3xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 3あり 44 3.36 4.97 0.00% 38.30
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 39 12.82 13.75 2.56% 64.69
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 7.19 7.38 0.00% 69.76
 近年、末期腎不全による透析患者が増加傾向で、医療経済上も大きな問題となっています。そして末期腎不全の予備軍である慢性腎臓病は日本でも1,480万人にのぼるといわれています。慢性腎臓病の末期腎不全への進展抑制のために、薬剤治療の他、生活習慣の改善、食事制限が非常に重要とされています。当科でも慢性腎臓病患者に対する教育入院を積極的に行っており、入院患者の多くを占めています。現在は7~10日間の入院期間を予定しています。
 次に、慢性糸球体腎炎の疑いで腎生検を目的とした入院が多くあります。検査前日入院で、合併症予防のため腎生検後4~7日の入院が日本腎臓学会の腎生検ガイドブックに記載されており、当院では2016年9月まで入院期間8日間の入院を採用していましたが、2016年10月より生検後の合併症がなければ6日間の入院期間へ短縮しています。ただ併存症の治療を先行してから検査を行う場合、検査後の血腫や発熱の合併症がある場合は数日期間が延長します。退院後の外来で、腎生検の結果を説明し治療を相談していきます。
 慢性腎臓病患者や維持透析患者の肺炎、不明熱、多発性のう胞腎患者ののう胞感染などの入院も多く、在院日数が比較的長くなっております。
 またネフローゼ症候群に対するリツキシマブ療法、多発性のう胞腎患者に対するトルバプタン導入、IgA腎症に対するステロイドパルス療法のパス入院を行っています。その他に慢性腎臓病や維持透析患者のうっ血性心不全の入院も多く、食事療法、降圧剤や利尿剤の調整や血液透析による除水、適正な体重への調整を行います。とくに高齢者患者で季節や食事の影響、感染症により容易に心不全を繰り返す患者さんもいらっしゃり、入院期間も若干長くなる傾向があります。
腎臓小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110260xx99x3xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 3あり 41 3.66 4.97 0.00% 12.88
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 18 5.72 11.35 0.00% 12.89
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 14 4.64 7.83 0.00% 8.57
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 13 6.31 6.01 0.00% 10.08
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 10 7.70 13.66 0.00% 13.00
 腎臓小児科では、ネフローゼ症候群や慢性糸球体腎炎、慢性腎不全の患者さんが多く入院しています。ネフローゼ症候群では、難治性の場合は、ステロイドパルスやリツキサン、血漿交換などを行っています。また、IgA腎症などの慢性腎炎の患者さんは、必要に応じて腎生検や扁桃摘出などを行います。小児の慢性腎不全の患者さんの中では、先天性腎尿路異常(低形成腎や膀胱尿管逆流症など)や巣状分節性糸球体硬化症、遺伝性腎症が多く、腎機能評価や腎不全の管理を行っています。血液透析・腹膜透析のほか、腎移植(生体腎移植・献腎移植)を多数行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 309 5.91 10.12 0.00% 60.50
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 83 3.41 2.45 0.00% 70.53
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 77 5.74 6.63 0.00% 72.47
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 57 9.98 11.35 1.75% 53.18
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 46 9.72 11.11 0.00% 70.17
 泌尿器科での腎がん症例数は非常に多くなっています。画像検査が十分でない時代は、痛み、腹部腫瘤、肉眼的血尿などの症状で見つかる事が多かったのですが、現在、当科で治療を受けられる患者さんの8割近くは症状がなく、検診などの検査で腎がんが発見されています。
 膀胱がんは尿をためる袋状の臓器である膀胱の粘膜に発生するがんです。主に血尿として発見されることが多く、その大半は粘膜内にとどまりますが、進行するとリンパ節や他の臓器に 転移します。当科では年間約150例前後の膀胱がんの症例を診断、治療しています。
 前立腺がんの大半は症状がなく、前立腺特異抗原(PSA)という癌マーカーによって、前立腺癌検診などで早期に発見される数が増えています。前立腺がんは前立腺腫瘍センターで手術や放射線治療、ホルモン治療など総合的に検討が行われており、多様な患者さんそれぞれに対して適切な治療の提示できるようになっております。当科では年間約250人の患者さんが前立腺生検検査を受け、そのうち半数以上の患者さんが新たに前立腺がんの診断を受けています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 86 10 26 27 1 7,8
大腸癌 76 38 32 22 149 31 1 7,8
乳癌 82 102 14 18 65 1 8
肺癌 105 23 53 61 40 73 1 8
肝癌 59 35 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
●「初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数」 について
 5大癌と呼ばれる、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の入院治療を行った患者さんの人数を、初発はステージ別の人数を、再発は総数を集計しています(10件未満は表示していません)。
 
 「初発」 … 当院で癌と診断された場合や、他の医療機関で癌と診断され当院で初回治療を行った場合を指します。
 「再発」 … 「初発」時の治療完了後、再度治療を行った場合(転移を含む)を指します。
 「Stage(ステージ)」 … 癌の進行度合をⅠ~Ⅳ(1~4)で表したものです(ステージ0もありますが、集計からは除いています)。
    癌の大きさ、リンパ節転移、他の臓器への転移状況を総合的に評価しています。
    Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳと分類され、ステージⅣが最も進行していることを示します。
 「病期分類基準」 … ステージを評価する際の基準です。
    国際的な基準として「UICC TNM分類」がありますが、国内では「癌取扱い規約」も多く活用されています。
 「版数」 … 「病期分類基準」の版数です。
    数年ごとに改訂され、「UICC TNM分類」は現在、第9版が最新のものとなります。
 
【解説】
 当院には早期癌から高度進行癌まで、様々なステージの患者さんが受診されています。食道癌、胃癌、大腸癌のような消化管の早期癌に対しての内視鏡治療は、その黎明期から多くの実績がありますが、術後や再発時の化学療法、放射線療法についても、多くの症例を扱っています。女性特有の疾患である乳癌治療においては、経験豊富な女性外科医が多数在籍し、患者さんに対してきめ細やかな治療を提供しています。肺癌に対しては、患者さんに負担の少ない低侵襲の鏡視下手術を導入することにより、術後早期からの社会復帰を可能にしています。肝臓癌では安全性と有効性が広く認められている系統的肝切除術を提唱し実践しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 37 11.62 56.14
中等症 105 14.86 74.16
重症 16 20.38 79.13
超重症
不明
●「成人市中肺炎の重症度別患者数等」 について
 成人(18歳以上)の、市中肺炎患者の人数を、重症度別に集計しています(10件未満は表示していません)。
 
 「市中肺炎」 … 日常の社会生活を送る中でかかる肺炎のことです。
 「重症度」 … 下記5項目にいくつ該当するかで決定します。
        ・男性70歳以上、女性75歳以上
        ・BUN(血中尿素窒素)21mg/dL以上または脱水あり
        ・SpO2(血中酸素飽和度)90%以下
        ・意識障害あり
        ・収縮期血圧90mmHg以下
     該当なし…「軽症」、 1~2項目…「中等症」、 3項目…「重症」、 4~5項目(またはショックあり)…「超重症」、
     1項目でも不明な場合…「不明」    (『成人市中肺炎診療ガイドライン』に基づく)
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 
【解説】
 いずれの重症度項目にも該当しない「軽症」から、1~2項目に該当する「中等症」までが、全体の患者さんの9割近くを占めています。また、重症度が上がるにつれて平均年齢も高くなる傾向にあり、「重症」、「超重症」の患者さんのほとんどが、70歳以上の高齢者です(「重症」、「超重症」は10件未満のため、情報の表示はしていません)。
 軽症の患者さんの多くは外来での治療となりますが、酸素吸入の必要がある等症状が重い患者さんは入院での加療を行うことになります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 100 17.72 71.58 26.52%
その他 32 16.41 68.31 5.30%
●「脳梗塞の患者数等」 について
 脳梗塞で入院された患者さんを、脳卒中の発症時期別に集計しています。
 
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です(転院患者数/脳梗塞の全退院患者数)。
 
【解説】
 脳梗塞で入院する患者さんのほとんどは、脳神経内科で治療しています。平均年齢は70歳に達しており、特に発症日から3日以内の急性期脳梗塞が多くを占めています。t-PA治療(薬剤を点滴する治療)やリハビリを行い、多くは2~3週間程で退院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
●「診療科別主要手術別患者数等」 について
 診療科別に、手術件数等を集計しています(人数の多い順に5つまで ・ 10件未満は 「-」を表示)。
 一度に複数の手術をされた患者さんについては、主となる手術を集計対象にしています。
 
 「Kコード」 … 手術の種類ごとに付けられた識別コードです。『医科診療報酬点数表』に基づいています。
 「平均術前日数」 … 入院日から手術日の前日までの平均日数です。
 「平均術後日数」 … 手術日の翌日から退院日までの平均日数です。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です(転院患者数/各手術別の全退院患者数)。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 488 0.38 1.24 0.00% 72.31
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 80 0.70 2.44 0.00% 63.40
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 23 0.26 2.22 0.00% 60.04
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(縫着レンズ挿入) 14 0.79 1.64 0.00% 65.57
K275 網膜復位術
 当院では、白内障、網膜硝子体疾患、緑内障、角結膜疾患、眼形成、斜視など、多岐にわたる眼科手術に対応しております。特に、白内障や硝子体手術を必要とする網膜硝子体疾患において、多くの症例実績があります。
 白内障手術は、患者様のご希望に応じて日帰りでも行うことが可能です。ただし、白内障が進行している場合、片眼の視機能が著しく低下している場合、または全身の基礎疾患により合併症のリスクが高い場合には、安全のため入院での手術をお願いしております。
 網膜硝子体疾患に対する硝子体手術では、術後の経過観察を重視し、基本的には入院での手術を推奨しています。さらに、網膜剥離や眼内炎、外傷など、迅速な対応が求められる緊急手術にも、大学病院として体制を整え、速やかに対応しております。
 当院は大学病院として、専門性の高い医療と最新の研究成果に基づいた治療を提供し、患者様にとって安全で確実な手術を行うことを目指しています。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 39 1.03 4.23 0.00% 35.95
K347-3 内視鏡下鼻中隔手術1型(骨、軟骨手術) 37 1.03 2.19 0.00% 50.84
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 26 1.50 3.77 0.00% 58.12
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 18 1.28 3.00 0.00% 51.78
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 15 1.00 2.13 0.00% 58.27
 手術件数が最も多いのは口蓋扁桃摘出術です。習慣性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群に加え、IgA腎症など全身疾患の治療目的でも行われ、大学病院ならではの全身管理体制で安全に実施しています。
 次に多いのは内視鏡下鼻副鼻腔手術や鼻中隔手術で、特に難治性副鼻腔炎や真菌症に対しては、重症例にも対応可能な高度な技術を有しています。当科では複数副鼻腔に及ぶⅣ型(汎副鼻腔手術)が多く、Ⅴ型に相当するような高難度症例も経験しています。
 また耳下腺腫瘍摘出術については、顔面神経を温存しながら病変を安全に切除する繊細な技術が求められる手術であり、多くの症例を積み重ねています。大学病院として、稀少疾患や複雑な病態に対しても幅広く対応できる体制が整っている点が特徴です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 18 1.06 3.78 0.00% 69.17
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満)
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)
K0063 皮膚腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6㎝以上12cm未満)
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満)
 皮膚悪性腫瘍としては、悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、ボーエン病などの入院手術を行っています。大型の病変では、取り残しの無いように十分に切除し植皮や皮弁を行っています。
 皮膚、皮下腫瘍摘出術は、大きさ、部位、年齢、合併症などを考慮し、外来での切除が困難な患者さんについて入院で手術を行っています。その種類はさまざまで、ほくろ、上皮系腫瘍、脂肪腫、血管腫などです。足の裏のほくろは悪性黒色腫も鑑別となります。すべての症例で、切除した病変を組織検査し診断しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 94 3.16 28.65 9.57% 48.98
K1541 機能的定位脳手術(片側) 69 2.04 4.61 0.00% 46.01
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) 50 3.94 14.24 10.00% 40.44
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 25 0.76 8.16 0.00% 78.68
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステント) 25 1.00 5.20 4.00% 56.48
 現在、当院には hyper SCOT 手術室があり、腫瘍の位置情報(解剖学的情報:術中MRIとナビゲーション)、どこに重要な脳の働きをする場所があるかの情報(機能的情報:覚醒下手術や運動神経モニタリング)を提供しながら、手術を遂行しています。解剖学的情報を提供する術中MRIは、手術中にMRI検査ができる装置(術)であり、情報誘導手術の核となります。さらに悪性腫瘍に対する光線力学的療法(「腫瘍細胞に選択的に集積する性質を持つ光感受性物質を患者さんに投与し、腫瘍組織にレーザー光を照射すると、腫瘍細胞を死滅させる」、というメカニズムを利用した治療法)を行っています。画像診断で悪性神経膠腫が強く疑われる場合や、悪性神経膠腫の再発に対して手術を行う場合が治療対象となりますが、標準的な放射線化学療法も行っています。
 髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍などの良性腫瘍も多数の手術を行っており、術中モニタリングやナビゲーションシステム、神経内視鏡を駆使し、安全で最大限の摘出を実施しています。モニタリングとは全身麻酔下でも患者さんの神経機能を検査できるシステムで、腫瘍の部位や大きさに基づいて種々のモニタリングを組み合わせて安全な手術を実現しています。
 定位脳手術は、脳の中の特定の構造物をターゲットとして、そこへ電極を留置して治療を行う方法のことです。細い電極の先端を、1mm単位で正確に特定の場所に留置する必要があることから、定位(位置を定める)脳手術といいます。定位脳手術には、電極を留置して熱凝固を行う凝固術と、持続的に電気刺激を行う脳深部刺激療法があります。これらの治療は、パーキンソン病、ジストニア、本態性振戦などの不随意運動疾患に対する治療として用いられます。凝固術の最大の利点は、1回の手術で治療を完結できることです。脳深部刺激術は、組織破壊をせずに治療効果が得られるため、不可逆的な変化を起さずに治療効果を得ることができます。いずれの治療法も、利点、欠点があり、どちらがより望ましい治療であるかを判断して選択することが重要です。
 脳動脈瘤に対する開頭手術では、①動脈瘤を金属(チタン)で作られたクリップで閉塞させる「クリッピング術(時にコーティング術を併用)」、②動脈瘤をテフロンで覆って破裂を防ぐ「コーティング術(時にクリッピング術に併用)」、③動脈瘤に対するクリッピング術やコーティング術が困難な場合に動脈瘤部にバイパスを作って動脈瘤を血管ごと閉塞してしまう「トラッピング術」があり、当院ではその全てに対応しています。もやもや病や頭蓋内脳血管閉塞症に対する血行再建術(血管吻合術)も多数の症例において安全で確実な直接バイパス術を行っています
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K836 停留精巣固定術 41 1.00 1.00 0.00% 2.49
K8282 包茎手術(環状切除術) 33 1.00 1.00 0.00% 6.12
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 31 1.03 1.19 0.00% 4.68
K6333 臍ヘルニア手術 15 1.00 1.00 0.00% 1.67
K6335 鼠径ヘルニア手術 15 1.00 1.00 0.00% 3.73
【停留精巣固定術】
 停留精巣固定術には、狭義の停留精巣(高位停留精巣)に対する鼠径部アプローチ法による手術と、広義の停留精巣(遊走精巣)に対する陰嚢アプローチ法による手術があります。どちらの手術も、陰嚢内の正しい位置に精巣を固定する手術です。精巣は正常位置にあることで、良好な発達を期待することができます。 
【包茎手術(環状切除術)】
 包茎に対する環状切除術には、亀頭を全部露出する手術と、包皮先端の狭い場所のみを切除する手術があります。包皮先端の狭窄は、ステロイド軟膏を塗ることで軽快することが多いですが、包皮炎を繰り返していたり、軟膏塗布が有効でない場合には、狭い場所を切除する手術が必要になります。
【鼠径ヘルニア手術】
 鼠径ヘルニアの手術には、鼠径部アプローチ法と腹腔鏡手術があります。いずれの手術も、お腹の臓器が鼠径部に脱出する穴を塞ぐ手術で、それぞれ長所・短所があります。両手術の説明を行い、最終的にはご両親に手術方法を選択していただきます。
【臍ヘルニア手術】
 臍ヘルニアの手術は、腸が脱出する筋膜の穴を塞ぎ、皮膚を陥凹させ、正常に近い形態のお臍にする手術です。通常は、臍が自然に完成される1歳半以降に行います。すでに筋膜の穴は自然に閉鎖し、皮膚の陥凹のみが完成しなかったお臍(俗名:出臍)の場合にも、ご両親のご希望により同様の手術を行います。
 
上記の手術は、すべて全身麻酔で行われ、2泊3日の入院期間で行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術 257 1.50 16.98 7.00% 69.20
K0543 骨切り術 67 1.64 14.09 4.48% 64.88
K054-2 脛骨近位骨切り術 59 1.17 17.29 1.69% 56.49
K142-5 内視鏡下椎弓形成術 34 1.97 6.06 0.00% 71.35
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術(十字靱帯) 29 1.03 7.97 0.00% 39.62
 人工関節置換術は、変形性関節症や関節リウマチや骨壊死が原因で関節が変形し、日常生活動作で痛みを伴う場合に行われる手術です。膝関節、股関節、足関節、手指に用いられる事が多く、術後は変形した関節が真っ直ぐ正しい形になり、運動しても痛くない関節になります。
 骨切り術とは、変形して曲がった関節の周囲で骨に切れ目をいれて曲がりを矯正する手術です。主にO脚変形やX脚変形に対して膝の周囲で骨切りをして変形を矯正します。脛骨近位骨切り術はその一例の術式です。他に大腿骨骨切り術や足趾の骨切り術を行っています。
 関節鏡下半月板切除は関節鏡で傷んだ半月板を整える術式です。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 15 0.00 1.00 0.00% 72.53
K4768 乳腺悪性腫瘍手術(乳輪温存乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 14 1.57 11.93 0.00% 48.93
K333 鼻骨骨折整復固定術 13 1.00 1.00 0.00% 32.46
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 12 1.33 8.33 0.00% 64.25
K0171 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付き)(乳房再建術) 11 1.09 11.00 0.00% 54.36
 眼瞼下垂症に対する挙筋前転法は、術後から翌日まで腫れを予防するために目を冷やし、翌日退院する方がほとんどです。
 鼻骨骨折に対する鼻骨骨折整復固定術は、手術翌日退院する方がほとんどです。
乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 102 1.51 2.80 0.00% 59.54
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 45 1.38 6.56 0.00% 62.78
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 35 1.43 7.40 0.00% 62.80
K4742 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm以上) 15 1.40 2.20 0.00% 45.07
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う))
 乳腺外科での手術は、乳房全摘がおよそ三分の一、乳房部分切除が三分の二となっております。腋窩リンパ節郭清術よりも患者さんに負担の少ないセンチネルリンパ節生検を多く実施しております。 安全で安心な医療を提供することを第一の目標として治療に取り組んでおります。
内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除)(頸部外側区域郭清を伴わない) 51 1.92 4.67 0.00% 54.04
K4641 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺摘出術) 39 2.87 5.03 5.13% 61.82
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) 37 1.54 4.11 0.00% 53.73
K462 バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉) 16 1.81 4.69 0.00% 44.44
K4633 甲状腺悪性腫瘍手術(全摘及び亜全摘・頸部外側区域郭清を伴わない) 14 1.93 4.71 0.00% 51.43
 甲状腺の手術では、癌の手術が最も多いですが、良性腫瘍やバセドウ病の手術も行っています。副甲状腺の手術症例数も多数行っています。
 すべての分野において、安全で安心な医療を提供することを第一の目標として、治療に取り組んでいます。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 244 2.98 2.70 0.82% 65.80
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 104 1.95 1.82 0.00% 66.68
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 79 2.54 2.34 0.00% 58.35
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 74 0.99 2.46 0.00% 72.14
K6105 動脈形成術、吻合術(その他の動脈) 49 1.55 4.88 0.00% 72.63
 循環器内科で最も多かった手術は、頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術です。心房細動治療に代表される心房中隔穿刺を必要とする治療を年間244症例に実施し、平均4-5日間の入院期間で対応しています。心房中隔穿刺が不要な経皮的カテーテル心筋焼灼術も多く、3−4日間の入院期間で対応しています。心房細動は高齢者に多い頻脈性不整脈疾患ですが、心房細動以外の頻脈性不整脈に対する治療も多く実施していることが特徴です。小児から若年の患者様に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術も積極的に行っています。
 2番目に多い手術は経皮的冠動脈ステント留置術で、4-5日間の短期入院で対応しています。透析患者様が多いことも当院の特徴の一つで、様々な内科的併存疾患に対して安全かつ包括的に診療を行っています。
 3番目は四肢の血管拡張術・血栓除去術で、症例数は大学病院としては高い水準をを維持しています。カテーテル治療だけでなく、形成外科とも連携しながら創傷治療やフットケアにも力を入れており、下肢切断を防ぐための総合的なチーム医療を提供しています。
 このように、不整脈治療・虚血性心疾患治療・心不全管理・末梢血管疾患治療まで幅広く対応し、最新かつ高度な医療を短期間入院で提供できる体制を整えています。今後も患者様にとって安全で質の高い循環器医療を提供してまいります。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 61 6.49 6.49 14.75% 84.84
K5551 弁置換術(1弁) 43 9.30 20.70 16.28% 60.53
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 38 8.32 16.16 21.05% 67.95
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 31 5.45 7.52 3.23% 72.00
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 31 2.68 7.52 3.23% 72.48
 当院の心臓血管外科では、さまざまな心疾患に対し、患者さん一人ひとりの状態に応じた最適な治療を行っています。
 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)に関しては、高齢者(平均年齢84.6歳)や透析中の患者さんにも積極的に施行して おり、多くの患者さんが術後1週間前後で退院されています。
 開心術おいては、大動脈弁疾患、僧帽弁疾患、連合弁膜症に対して、人工弁による置換術や、自分の弁を修復する形成術を実施しています。また、人工心肺を使用せずに行う冠動脈バイパス術(オフポンプCABG)も積極的に取り入れていま す。開心術の平均入院期間は約3~4週間です。
 胸部・腹部の大動脈瘤に対して、カテーテルを用いたステントグラフト内挿術を多く行っており、平均1~2週間程度で退院されています。開胸・ 開腹を伴わないため、高齢の方にも適した治療法です。
 このように当院では、低侵襲なカテーテル治療から、確実な開胸手術まで幅広く対応しており、安全で質の高い医療の提供を心がけています。
循環器小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 39 3.21 3.08 0.00% 38.69
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 18 3.22 4.06 0.00% 39.67
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 15 2.07 2.40 0.00% 24.13
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 12 2.67 3.08 0.00% 23.17
K597-2 ペースメーカー交換術 11 1.45 2.45 0.00% 41.64
 先天性心疾患では、高頻度に心房性および心室性頻拍性不整脈を合併します。抗不整脈薬抵抗性の不整脈が多く、カテーテル心筋焼灼術を行うことで不整脈のコントロールがよくなる、もしくは不整脈を治癒させることもできるため積極的に行っています。また先天性心疾患を伴わない小児のWPW症候群なども、カテーテル心筋焼灼術で治癒可能なため積極的な治療を行います。左側の副伝導路症候群や心房細動では左心房側に不整脈の原因があるため心房中隔穿刺を行い左心房側にアプローチして焼灼を行い良好な成績を収めています。最近では、先天性心疾患の心房細動アブレーションも増加しており心房中隔穿刺を施行しての肺静脈腔隔離を含めたアブレーション数も増加しています。
 心房中隔欠損症は先天性心疾患の中でも多い疾患でありますが、症状が軽く発見されにくく小児から老人に至るまで幅広い年齢層に患者が存在します。近年は開胸を伴う外科的な閉鎖術ではなく経カテーテルで閉鎖することが可能であり本疾患の標準治療となっています。単心室など複雑な先天性心疾患では側副血管や静脈短絡などが存在し心血行動態への負荷や障害、チアノーゼを引き起こすため経カテーテル的な血管塞栓術を行います。 その他、大動脈や肺動脈の狭窄病変に対するカテーテル治療も従来から行っていますが、2023年度からはファロー四徴症術後の肺動脈弁逆流に対する経カテーテル肺動脈弁置換術が行われるようになり、経カテーテル的治療の選択肢が増えています。近年は先天性心疾患に対するペーシングデバイス植え込み数も増加しており、植え込み後の電池消耗などに対するペースメーカ交換術を施行しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除) 48 1.83 10.08 0.00% 70.27
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 46 1.65 8.91 0.00% 67.78
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 37 1.32 7.68 0.00% 67.00
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 23 2.22 5.00 0.00% 34.30
K504-2 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術 14 1.43 6.50 0.00% 58.79
 呼吸器外科では、肺癌の手術を目的として入院される患者さんが多く、標準手術である肺葉切除術を最も多く行っております。すりガラス陰影を呈する早期小型肺癌、併存する疾患を有する肺癌、肺機能が低下した肺癌に対しては肺区域切除を行っております。肺区域切除は術後の肺機能温存も得られます。手術の方法(術式)は、ロボット手術、胸腔鏡手術という患者さんの身体に負担少ない、低侵襲手術を行っています。
 転移性肺腫瘍・良性肺腫瘍の患者さんには、腫瘍の大きさ、発生場所によっては肺葉切除より小さく肺を切除する部分切除や区域切除を低侵襲手術であるロボット手術、胸腔鏡下手術で行い、肺の機能を温存し、術後速やかにもとの日常生活に戻られる手術を行っています。
 気胸に対する胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術)は、在院日数を少なくし、早期の社会復帰を目指しています。他院から難治性気胸の患者さんを受け入れ、治療後に元の病院へ再度転院するなど状況に応じて対応させていただいております。
 縦隔腫瘍、重症筋無力症では、ロボット手術など低侵襲な胸腔鏡下手術が治療の中心となっています。
高血圧・内分泌内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 16 2.00 13.56 0.00% 52.56
K754-2 腹腔鏡下副腎摘出術
K755-2 腹腔鏡下副腎髄質腫瘍摘出術(褐色細胞腫)
K613 腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)
K171-22 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(頭蓋底脳腫瘍(下垂体腫瘍を除く))
 高血圧・内分泌内科では、脳下垂体や副腎の腫瘍を摘出する手術の前後に、それらの機能を正確に調べ、全身の状態を整えるために入院します。手術前に2-3日、手術後に1-2週間の入院を要します。脳神経外科や泌尿器科、画像診断・核医学科等関連診療科との緊密な連携の下、診断・治療を行っています。
内分泌内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 15 1.73 9.93 0.00% 58.13
K171-22 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(頭蓋底脳腫瘍(下垂体腫瘍を除く))
K151-2 広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術
 内分泌内科では、下垂体腫瘍の摘出手術を脳神経外科で行う前後で下垂体のホルモン分泌を評価し、ホルモン分泌が低下している場合には適切なホルモン補充を行うため、手術前は2-3日、手術後は1-2週間入院していただいております。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 54 11.43 6.31 0.00% 34.87
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 19 13.11 6.63 0.00% 33.95
K9091イ 流産手術(妊娠11週まで)(手動真空吸引法) 13 1.00 0.15 0.00% 35.00
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他)
K909-2 子宮内容除去術(不全流産)
 厚生労働省の報告によると、帝王切開術の割合は約25%前後と言われています。当院での帝王切開術の割合は36.0%であり、全国平均より高いです。これは、総合周産期母子医療センターとしての特徴であり、様々な産科合併症、胎児異常を診療する機会が多いためと考えられます。
 帝王切開に次いで多い手術は、流産手術、頸管無力症に対する頸管縫縮術になります。
 また大学病院に付属したセンターの強みとして、生命の危険のある産科危機的出血が発症した際に、麻酔科、救急科、放射線科(血管塞栓術)などが協力して集学的治療を行ことが可能となり、母体救命に大きく貢献しています
小児科(新生児)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 26 0.00 74.88 0.00% 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) 11 0.00 50.55 0.00% 0.00
K726 人工肛門造設術
K6334 臍帯ヘルニア手術
K7322ロ 人工肛門閉鎖術(腸管切除を伴うもの)(その他)
 出生の際、人間のガス交換は胎盤から肺に切り替わります。このため、出生直後に大きな産声を上げて呼吸をはじめることが赤ちゃんにとってはとても大切なことです。新生児集中治療室(neonatal intensive care unit, NICU)に入院される患者さんの中には、生直後にうまく呼吸を始められない赤ちゃんもいます。この状態は新生児仮死とよばれ、軽度のものは1度、重度の者は2度と分類されます。このような場合、速やかに人工呼吸を開始し肺でのガス交換ができるようにすることが重要で、その手技を新生児仮死蘇生術と呼びます。
 その他、NICUに入院される患者さん方の中には鎖肛・消化管閉鎖・臍帯ヘルニアなどの先天性の小児外科疾患や先天性心疾患に対して手術が必要な患者さんもおられ、小児外科・循環器小児科・心臓外科と連携してあらゆる疾患の治療を行っています。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 91 1.01 4.33 0.00% 48.53
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 59 0.93 4.47 0.00% 42.44
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 40 1.03 4.20 0.00% 37.58
K867 子宮頸部(腟部)切除術 36 1.00 1.00 0.00% 38.53
K890-4 採卵術 34 0.00 0.00 0.00% 36.88
 婦人科では、子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌などの婦人科悪性腫瘍に対する治療を積極的に行っています。手術療法だけではなく、化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療を取り入れています。近年、若年者の悪性腫瘍も増加しており、当科では妊娠機能を温存した癌治療を積極的に行っています。特に子宮頸癌につきましては、子宮頸部切除術を行い、子宮本体の温存を行っています。
 手術療法に関しては、腹腔鏡下手術を安全に施術するために、エビデンスに基づいた厳格な基準によりその適応を決定しています。腹腔鏡下手術を希望される場合は、外来担当医もしくは腹腔鏡外来にてご相談ください。また、ダヴィンチによるロボット手術も積極的に行っており、多くの実績を上げています。さらに、悪性腫瘍の手術にも腹腔鏡下手術やダヴィンチ手術を取り入れています。また、子宮筋腫や子宮内膜症などに関しては、薬物療法や子宮動脈塞栓術などの代替治療も選択できますのでご相談ください。術前の血液検査や画像診断で悪性腫瘍が疑われる場合や、過去に受けた手術により腹腔内癒着が激しいと判断された場合は、開腹術をお勧めすることもあります。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 81 1.10 7.81 3.70% 73.40
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 63 0.29 1.29 0.00% 66.35
K6871 内視鏡的乳頭拡張術 26 2.23 4.50 3.85% 72.15
K708-3 内視鏡的膵管ステント留置術 17 1.94 3.41 0.00% 71.29
K533-2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 16 0.69 6.56 0.00% 62.13
 内視鏡的胆道ステント留置術は、胆石による急性胆管炎や膵がん・胆管がんによる胆管狭窄によって生じる黄疸・感染を改善するために行う内視鏡治療です。黄疸や胆管炎を放置すると肝不全や全身に感染が拡がる敗血症になるため、必要な場合には緊急でERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という内視鏡治療を行う必要があります。胆管閉塞に対してはステントと呼ばれる管を挿入して胆汁の流れを改善します。胆管結石がある場合には、内視鏡的乳頭切開術や乳頭拡張術で胆管の出口を開いた後に胆管結石を除去します。また慢性膵炎などで膵管が狭窄することもあり、腹痛などの原因になるため、同じくERCPという内視鏡治療で膵管にステントを挿入して症状を緩和します。ERCPは内視鏡手技の中でも専門的技術を必要とするものですが、胃や胆道・膵臓疾患に対する外科治療後に対する小腸内視鏡を用いたERCPも含めて、当院では幅広い疾患に対して積極的に行っております。
 大腸ポリープに対する内視鏡治療(ポリープ切除・粘膜切除)は将来の大腸がん発生を減らすことができる治療であり、短期間の入院で安全に行っております。
 慢性的な肝臓疾患に伴う食道・胃静脈瘤は、吐血などの消化管出血を合併することがあります。当院では、慢性の肝臓疾患の患者さんが多く通院されていることもあり、食道・胃静脈瘤に対する内視鏡治療の経験を豊富に有しております。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 84 1.39 4.21 3.57% 61.94
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 73 1.23 7.48 6.85% 73.25
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 58 2.05 10.16 1.72% 69.02
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 50 1.14 2.74 0.00% 69.52
K7032 膵頭部腫瘍切除術 29 1.72 16.69 0.00% 66.21
 肝胆膵外科については、腹腔鏡下胆嚢摘出術や膵頭部腫瘍切除術の平均術後日数が短く、合併症が少ないことが示されています。
 消化管外科では結腸悪性腫瘍の大部分に腹腔鏡手術を行っており在院期間の短縮に努めています。
消化器内視鏡科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 286 0.79 1.52 0.00% 65.07
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 220 1.01 3.85 0.00% 66.35
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 82 1.02 4.06 0.00% 73.90
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 69 1.00 4.17 0.00% 66.78
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 49 0.92 2.51 0.00% 56.14
 内視鏡的粘膜下層剥離(ESD)と同様に内視鏡的粘膜切除(EMR)も多数施行しており、ESDよりも在院日数は短くなっています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 34 5.53 13.00 2.94% 66.44
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他)
 慢性腎臓病が高度に進行すると、様々な薬物治療や食事療法などを行なっても全身のバランスを保つことが難しくなり、血液透析・腹膜透析・腎移植のいずれかの腎代替療法を行なう必要が生じます。
 将来の腎代替療法として血液透析を選択した場合、透析を開始する前に、透析を行なうときに血液を採取および返血するための"内シャント造設術"を受ける必要があります。当院では毎年多くの透析導入を行なっています。2024年から当院で内シャントを造設する体制が強化され、当院で施行する患者数が増えてきています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K773-51 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術支援機器・7センチ以下) 289 1.17 3.69 0.00% 60.57
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 87 1.41 3.43 0.00% 72.48
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 45 1.07 7.71 0.00% 70.31
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 26 1.12 2.62 0.00% 63.88
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 23 2.52 8.00 4.35% 59.43
 早期腎がんに対しては、手術支援ロボット、ダヴィンチを用いたロボット支援下腎部分切除術を実施しています。当科では2013年から始めており、その手技は確立されています。また、2016年4月より保険適用となっています。 腫瘍の大きさやステージによっては、腹腔鏡下腎摘除術、開腹腎部分切除術、開腹腎摘除術なども行っています。転移性腎癌に対しては薬物治療を行っています。 前立腺がんに対しては、当科では2011年からダヴィンチを導入する事で、がんの根治性と機能温存の精度を向上する事が可能となりました。最近では全例ロボット支援手術を行っております。当院において前立腺がんに対してロボット支援前立腺摘除術を行った患者さんの、5年生存率(手術後5年の時点で生存している確率)は100%です。
 膀胱がんの80%は表在性で転移を起こしにくく、内視鏡的に切除します。しかし追加治療をしないと約60%は再発し再手術が必要となります。進行してがんが膀胱粘膜から筋層にまで広がると、全身麻酔でおこなう膀胱全摘術が必要となります。当科では2018年4月よりダヴィンチを用いたロボット支援下膀胱全摘術を実施しています。そのほか、膀胱がんには放射線治療や化学治療が施行されています。
 また、当院では手術数が多く経験豊富であることなどから周術期合併症が少なく、どの手術も全国と比較して術後の入院日数は短い傾向にあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 18 0.10%
180010 敗血症 同一 22 0.13%
異なる 46 0.26%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 60 0.34%
異なる
●「その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)」 について
 播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、患者さんの人数と発生率を集計しています(10件未満は表示していません)。
 
 「DPC」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁の番号のうち、先頭6桁(疾患コード)を抜き出したものです。
 「入院契機(同一、異なる)」 … 入院するきっかけとなった傷病名を「入院の契機となった傷病名」、
    主に治療した傷病名を「医療資源を最も投入した傷病名」といい、
    これら二つの傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。
    「同一」ならば、入院するきっかけとなった傷病を主に治療して退院したことになり、
    「異なる」ならば、入院後に他の傷病が治療の主となったことになります。
 「発生率」 … 全退院患者に対しての発生割合です。
 
【解説】
 厚生労働省による、令和5年度のDPC対象病院の全国平均発生率は、播種性血管内凝固症候群(0.14%)、敗血症(0.55%)、その他の真菌感染症(0.04%)、手術・処置等の合併症(0.51%)となっています。当院の発生率は、全国平均と比較すると、それぞれで概ね下回っています。また、多くの場合、重篤な主疾患の合併症として発症していますが、手術・処置等の合併症については、「同一」がほとんどであることから、多くが入院時すでに発症していたことがわかります。
 
【手術・処置等の合併症の内訳】
 ペースメーカ植え込み後感染症(11件) ・ 中心静脈カテーテル感染症(5件) ・ 植込型除細動器植え込み後感染(1件) ・ カテーテル感染症(4件) ・ 術後感染症(4件) ・ 第1趾術後創部感染(1件) ・ 術後腹腔内膿瘍(1件) ・ カテーテル敗血症(1件) ・ CAPD腹膜炎(6件) ・ CAPDカテーテルトンネル感染(1件) ・ CAPD出口部感染(1件) ・ 人工関節のゆるみ(2件) ・ 人工骨頭移動(1件) ・ 人工関節脱臼(1件) ・ 透析シャント閉塞(2件) ・ 透析シャント動静脈瘤(1件) ・ CAPDカテーテル位置異常(2件) ・ CAPDカテーテル位置異常の再発(1件) ・ 難治性吻合部狭窄(3件) ・ 透析困難症(2件) ・ 透析低血圧症(1件) ・ 人工弁不全(2件) ・ 植込型カテーテルポート破損(1件) ・ 透析シャント機能低下(1件) ・ 子宮癌術後後遺症(1件) ・ 後出血(1件) ・ 人工関節感染(1件) ・ 手術創離開(1件)
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
2,142 1,810 84.50%
●「リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率」 について
 肺血栓塞栓症を発症するリスクの高い手術を行った患者さん(分母)のうち、予防対策が行われた(分子)割合を集計しています。
 
 「肺血栓塞栓症」 … 下肢や腹部で形成された血栓(血のかたまり)が肺の血管(肺動脈)に詰まる病気です。
 「肺血栓塞栓症発症のリスクレベル」 … 『肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン』
                         に定められている発症リスクによる分類です。
 「肺血栓塞栓症の予防対策」 … 血液凝固を抑える薬剤の使用や、弾性ストッキングを用いた対策などがあります。
 
【解説】
 肺血栓塞栓症は発症から短時間で重症化するケースもあるため、手術の前後を通じて予防対策を行うことが非常に重要となります。
 当院では発症リスクの高い手術を受ける患者さんの9割近くが予防対策を実施しています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
4,283 3,632 84.80%
●「血液培養2セット実施率」 について
 すべての血液培養オーダー(分母)のうち、1日に2件以上オーダーしている数(分子)の割合を集計しています。
 
 「血液培養オーダー」 … 血液を採取し菌を育て(培養)、検出する検査のことを「血液培養」といい、
                それを行うことを「オーダー」といいます。
 
【解説】
 血液培養検査では精度を上げるため(偽陽性等を避けるため)2セット以上(2か所以上の部位)で採血することが奨励されています。
 当院では血液培養検査を実施した患者さんの8割以上で、2セット以上の採取を実施しています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
1,229 1,112 90.48%
●「広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率」 について
 広域スペクトル抗菌薬を処方された退院患者さん(分母)に対して、処方日までに細菌培養同定検査を実施した(分子)割合を集計しています。
 
 「広域スペクトル抗菌薬」 … 幅広い種類の細菌に効果がある抗菌薬のこと。
 「細菌培養同定検査」 … 患者さんから採取した検体に含まれる細菌を増やし(培養)、種類を判定(同定)する検査のことです。
 
【解説】
 広域スペクトル抗菌薬は安易に多用すると耐性菌の発生につながる恐れがあります。そのため細菌培養同定検査を投与前に行い、適切な抗菌薬を選ぶことが重要となります。
 当院では9割を超える患者さんに投与前の細菌培養同定検査を実施しています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
205,784 267 1.30‰
●「転倒・転落発生率」 について
 入院していたすべての患者さん(分母)のうち、転倒またはベッドからの転落が発生した(分子)割合を集計しています。
 
【解説】
 入院による環境の変化や疾患の影響等により転倒やベッドからの転落は少なからず発生してしまいます。これらの事例を追跡・分析することで原因の特定と予防が可能になります。ここでは軽微な事例も含めてすべての発生件数の割合を集計しています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
205,784 27 0.13‰
●「転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率」 について
 入院していたすべての患者さん(分母)のうち、転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上が発生した(分子)割合を集計しています。
 
 「インシデント影響度分類レベル」 … 発生した事例(事故等)の深刻さを表す分類です。
                       レベル0~5の数字で表し(レベル3と4は数字の後にa,bを付け細分化)、
                       数が大きい(アルファベット順で後)ほどより影響が大きいことを示しています。
 「レベル3b」 … 骨折や人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長等。
 
【解説】
 入院による環境の変化や疾患の影響等により転倒やベッドからの転落は少なからず発生してしまいます。これらの事例を追跡・分析することで原因の特定と予防が可能になります。ここでは「インシデント影響度分類レベル3b」以上の発生割合を集計しています。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
4,949 4,905 99.11%
●「手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率」 について
 全身麻酔手術を行う前に抗菌薬を投与した患者さん(分母)のうち、手術前の1時間以内に投与された割合を集計しています。
 
【解説】
 予防的抗菌薬投与とは、手術後の感染を防ぐために、感染が起きていない段階で抗生物質を事前に投与する方法です。特に開胸や開腹などの手術では、手術直前に抗菌薬を投与することで感染予防が期待されます。当院ではほぼすべての全身麻酔手術に際し直前の抗菌薬投与を行っています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
204,084 19 0.01%
●「d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率」 について
 入院していた患者さんの入院日数合計(分母)に対して、褥瘡が発生した患者さん(分子)の割合を集計しています。
 
【解説】
 褥瘡(床ずれ)は患者さんのQOL(快適・安心な日々の過ごしやすさ)低下だけでなく感染や治療の長期化にもつながるため、予防対策が非常に重要とされています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
8,192 7,185 87.71%
●「65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合」 について
 65歳以上の患者さん(分母)のうち、入院後48時間以内に栄養アセスメントを実施した(分子)割合を集計しています。
 
 「栄養アセスメント」 … 患者さんの栄養状態を問診や測定、検査などで評価すること。
 
【解説】
 患者さんの栄養状態を評価し低栄養リスクを回避することは、在院日数の短縮、予後の改善につながります。特に高齢の患者さんの場合寝たきりになるリスクが高いため、入院早期の実施が不可欠です。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
205,784 5,534 2.69%
●「身体的拘束の実施率」 について
 入院していた患者さんの入院日数合計(分母)のうち、身体的拘束を行った日数(分子)の割合を集計しています。
 
【解説】
 身体的拘束は、二次的な障害を引き起こす可能性があるため、やむを得ない場合に限り一時的に行われるべき処置です。
更新履歴
2025/09/30
令和6年度 病院指標を公開しました。