学校法人東京女子医科大学
理事長 岩本 絹子
東洋医学研究所は、1992(平成4)年に新宿NSビルで開設されました。2007(平成19)年から12年間にわたる田端駅前での診療を経て、2019(令和元)年に東京女子医科大学病院のある新宿区河田町に移転し、2022(令和4)年で開設30周年を迎えました。
「至誠と愛」の理念のもと、引き続き、より多くの患者様のご病気の回復とご健康を願い、安らぎと温かみのある医療を提供してまいります。
東洋医学では、「病気の原因には心(こころ)の問題が大きく関与しており、感情のバランスが崩れると各臓器の働きに悪影響を及ぼす」と考えられています。この『心身一如(しんしんいちにょ)』の考え方を重視し、当研究所では、患者様一人ひとりの体質や自覚症状に合わせた漢方診療・鍼灸治療を行なっています。
近年、『現代病』ともいわれる病を抱える患者様が増加する中で、病気が発症する前に対処する「予防医学」の重要性も高まっています。当研究所では、各領域の専門医による東洋医学と西洋医学を併用した全人的な診療を実践しており、当大学附属施設との連携を強化し、患者様に寄り添った医療施設として、より一層発展することを祈念いたします。
東洋医学研究所
所長 木村 容子
東洋医学研究所は、2022年に開設30周年を迎えました。首都圏のみならず全国の皆さまからご支援を賜り、少しずつではございましたが着実に歩みを続け、年間のべ3万人を超える患者様に受診いただけるまでに成長させて頂きました。
私たちは、先人から受け継がれ、今なお私たちの生活に深く根づいている東洋医学の考え方をベースに、西洋医学も取り入れた特徴的な診療体系により、ひとりひとりの患者様に合わせた治療(個別化医療)を目指しています。
開設当時、大学病院において漢方と鍼灸の治療が併設された専門施設は珍しく、高齢社会の到来を先取りする形で、慢性疾患を抱える患者さんの症状緩和や生活の質向上、さらに健康増進や加齢に伴う症状の改善に貢献してきました。「人生100年」といわれる時代、誰もが自分らしく寿命をまっとうできる社会の実現へ向けて、東洋医学への期待は今後ますます大きくなると考えます。
また、近年では医療技術の進歩とともに、がん治療後の体力回復や再発予防、精神的ストレスなどに対する心身全体へのアプロ-チが求められる傾向にあり、西洋医学の診療科と連携する機会が増えています。
漢方治療は、“心身一如”の考え方を基に、心身全体のバランスを整え、各自に本来備わっているカラダの機能を最大限に発揮できるようにサポートします。新型コロナウイルスと共に生きる時代では、“コロナに負けないカラダとココロづくり”が大切であり、症状や体質に合わせたきめ細かな診療を通じて、一人でも多くの患者様のお力になれれば幸いに存じます。
時代のニーズに応じた全人的医療を提供するために、これまでにも増して充実した医療を提供することができるよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。