センター長ご挨拶

センター長あいさつ



女性医師・研究者支援センターの発足にあたって

斎藤 加代子
女性医師・研究者支援センター長
遺伝子医療センター所長・教授


professor-saito.jpg本学は世界的にも数少ない女性のための医科大学です。最良の医療を実践する知識・技能を修め、高い人格を陶冶した医療人・医学研究者を育成することが本学の使命であり、創立者吉岡弥生学頭以来100年余の間、受け継がれてきた伝統です。

このような本学でさえ、育児のために医学を断念する若手女性医師は多く、初期および後期臨床研修期間の7年間までは全体に占める女性医師の割合は60%を超えていますが、30代を過ぎると急速に50%を切り、指導的立場の女性医師は先細りになっています。

学外に目を向けると、医師国家試験合格者に占める女性の割合が40%になろうとしている現在でも、大学において診療や研究を継続し、リーダーシップをとって活躍をする女性医師は極端に少ない現状があります。医学部医学科における女性研究者、女性教員のロールモデルの不在が(女性)医師不足の原因のひとつとしても考えられます。医学部医学科における女性教員を増やすこと、女性医師・研究者が勤務を継続できる環境整備をすること、多様で優れた女性医師・研究者の活躍を促進することは、わが国における医師不足の対策としても喫緊の課題といえます。本学の女性医師・研究者支援はその意味で、女性医師問題、女性研究者問題の解決のためのモデルとして非常に重要な立場にあることを自覚しております。

指導的立場となる優れた女性医師・研究者の育成を行い、育児支援と女性医学研究者支援のモデルを育成する目的で、平成18年度から文部科学省科学技術振興調整費を受けて「保育とワークシェアによる女性医学研究者支援」を実施しました。この事業の3年間の成果を生かし、女性医師・研究者の支援の充実をめざして、「男女共同参画推進局(局長:学長)」の下に「女性医師・研究者支援センター」が発足いたしました。

女性医師・研究者のキャリア形成において、1)子育て支援、2)勤務環境の改善、3)生涯教育の支援が必要です。「女性医師・研究者支援センター」では、「厳しい時期にも医学研究を、医療を継続する」という各人の意識改革にもつながるように、卒前教育としては、リーダーシップ教育、キャリア教育を実施し、卒後には、子育てと研究の両立実施が可能な体制を構築し、様々な状況において困難に直面している女性医師に研究の遂行や診療の継続を可能とするシステムを構築し発展させて参りたいと考えております。

具体的には、
1)女性医師・研究者の勤務環境の整備
2)一般保育、病児保育、学童保育などの保育支援による次世代育成
3)男女共同参画モデルとして他大学・社会への啓発
4)学内・学外の女性医師・研究者同士の情報交換
5)ワークライフバランスの浸透
などを行って参ります。そして、研究支援活動を通して医学の進歩への貢献が、診療支援活動を通して医療における医師不足の解消と女性医師本人のキャリア形成が、教育活動を通して女子医学生に対するロールモデルの育成がなされます。

本学における女性医師・研究者の支援体制をさらに発展させ、指導的立場となる有能な人材が様々な事情でキャリア形成を中断することがないような体制を整備していくこと、大学や病院における育児支援と女性医師・研究者支援のモデルとなる体制の構築を目指して、「女性医師・研究者支援センター」のメンバーが協力して参ります。皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

2009年9月9日