看護学部国際交流プログラム

文化交流を含む充実したプログラムが自慢

汗ばむほどに晴れわたった5月下旬の某日。静岡県掛川市の東京女子医科大学大東キャンパスは、
アメリカからやってきた女子学生と交流する看護学部1年生の明るい笑顔が絶えなかった。



茶道の奥深い所作と作法を体験
 この日、東京女子医大看護学部と国際交流協定を結んでいる米アルバーノ大学(ウィスコンシン州ミルウォーキー)の学生たちが大東キャンパスを訪れ、文化交流の一環として茶道と書道を体験。
茶道には全員が浴衣姿で臨んだ。
 「茶道には“一期一会”という教えがあります。茶をともにするのは一生に一度と心得て、主客とも誠意を尽くす心構えを意味しています」という茶道の講師の話を神妙に聞いたあと、いよいよお茶会がスタート。まず菓子が配られ、茶道の素養のある学生から所作・作法を聞きながらお点前を受けた。さすがに畳の上での正座ではなく、イスに座ったままでのお茶会であった。
 会場には大東キャンパスの学生20人以上が見学に詰めかけた。彼女らにも菓子とお茶がふるまわれ、アルバーノ大学の学生とともに茶道を学んだ。











 「アメリカでも日本茶を楽しめますが、茶道を経験したのは初めてです。茶碗を回すという動作には、茶碗の正面を避けて口にするためといった意味があることを知り、奥が深いと思いました」
 「実際に茶道を体験してみると、日本人の“おもてなし”の心がよく分かります。そして、お茶はとてもリラックスさせてくれました」
 「私は日本の文化に興味がありますので、茶道がプログラムに組み込まれていたのはラッキーでした。一期一会の教えも、なんとなく理解できたような気がします」
 茶道を体験したアルバーノ大学の学生たちからは、こういった声が聞かれた。
 また、浴衣がお気に入りだという学生は、「家族へのおみやげとして、すでに扇子とともに浴衣を手に入れました」という。


書道初体験で趣のある書を披露
 一方の書道は、アルバーノ大学の学生一人ひとりの名前を、漢字を当てて表記し、それぞれがその文字を書くことにチャレンジするという形で行われた。例えば、「エレン」という学生の名前は「笑恋」、「サバ」という名は「茶葉」、「マリア」は「麻梨亜」といった具合だ。
 いずれも女子医大の学生たちが考え出したものだが、「エレン」を「笑恋」と表記するところなどはなかなかしゃれている。また、「サバ」という名を「茶葉」としたのは、いかにもお茶の産地・掛川らしく、お茶摘みを年中行事としている大東キャンパスの学生ならではのアイデアだ。その説明を受けたサバさんは、「とても光栄です」と、深くうなずいていた。
 書道初挑戦にもかかわらず、なかなか上手に「麻梨亜」と書いた当のマリアさんは、「やはり漢字は難しいですね。すらすら書くというわけにはいきませんでした」と謙遜する。とはいえ、その書には人を引きつける独特の趣があり、とても書道が初めてとは思えなかった。聞けば、彼女はアートや造形に興味を持っているという。おそらくそうした感性が書に反映されたのであろう。
 「笑恋」という漢字のそれぞれの意味を知ったエレンさんは、文字どおり笑顔で書道にチャレンジ。それを見守っていた女子医大の学生たちは、力強く書き上げた「笑恋」の文字に喝采を送っていた。


実りある英語でのディスカッション
 アルバーノ大学の学生たちが教員とともに来日したのは5月24日の夕方。毎年行われている女子医大との国際交流が目的で、女子医大からも毎年8月に4年生の代表者6人がアルバーノ大学に派遣されている。
 来日した一行は翌25日午後に河田町キャンパスを訪れ、夜は女子医大の敷地内にあるレストランで行われたウェルカムディナーに出席。8月にアルバーノ大学を訪れる女子医大の学生も参加し、交流を図った。ディナーには寿司や蕎麦も用意され、アルバーノ大学の学生たちは日本食も楽しんだ。その中の一人は、「シカゴやミルウォーキーでもお寿司を食べられますが、やはり日本で食べるお寿司の味は格別です」と頬をゆるめる。
 余談だが、この日の午後2時半前、埼玉県北部を震源とする最大震度5弱の地震が発生。東京新宿区は震度4を記録し、河田町キャンパスも大きな揺れに見舞われた。地震を知らないアルバーノ大学の学生たちにとっては、来日早々のまさかのサプライズ。一様に恐怖と不安を覚えたようだ。
 
 26日の午前中は、2年生の英語の授業に参加。いくつかのグループに分かれ、英語によるディスカッションが展開された。午後は病院の見学とTWIns(先端生命医科学研究所)視察などに時間が割かれた。翌27日は女子医大とアルバーノ大双方の教授による講義を受講し、3年生の英語の公開授業に参加。そして28日に掛川へ移動したのである。
 大東キャンパスでは1年生全員が10グループに分かれ、各グループにアルバーノ大学の教員・学生が一人ずつ加わって英語によるセッションが行われた。そのあと、冒頭で紹介した茶道と書道が行われたわけである。
 一行はその後、広島と京都を訪れ、再び東京に戻って訪問看護ステーションなども見学し、6月5日に帰国の途についた。既婚者で子を持つ親でもある学生の一人は、「アメリカでは私のように子どもがいても再び大学へ通ってキャリアを積む人が少なくありません。そこが日本と大きく違うところでしょう。女子医大の看護学部の学生は違った環境の2つのキャンパスで学ぶわけですが、このシステムはとても良い効果をもたらしていると思います」と語ってくれた。
  
  

 看護学部ではハワイパシフィック大学、韓国の梨花女子大学とも国際交流協定を結んでおり、毎年7月にハワイパシフィック大学短期研修、3月に梨花女子大学短期研修が実施されている。ハワイパシフィック大学短期研修は1~3年生を主体としたもので、学生に人気が高く、2014年度の参加者は32人にのぼった。今年度も19人の参加を予定している。梨花女子大学短期研修は2011年度からスタートし、これまで累計で26人が参加、受入学生数も20人を数えている。
 アルバーノ大学短期研修を含め、2014年度に派遣された学生たちの声を拾ってみよう。ハワイパシフィック大学短期研修に参加したN.K.さんは、「スキルスラボではシミュレーションモデルを用いて脈拍の触知や呼吸音の聴取など臨床技能のトレーニングを行うことができ、さまざまな疾患や症状の特徴をつかむことができました」と、スキルスラボの充実ぶりを評価する。
 アルバーノ大学短期研修に参加したS.H.さんは、「現地の多くの学生たちが、学内でキャリーケースや大きなリュックサックを持ち歩いているのが印象的でした。分厚い教科書や長い時間をかけて予習した資料などを用意して授業に臨むからです。そういう姿勢にはとても刺激を受けました」と、日本の大学との違いを指摘する。
 大学院生のA.O.さんは梨花女子大学短期研修に参加し、「梨花の学生はプレゼンテーション能力が高く、課題への取り組みや講義への事前準備が真摯で、世界のリーダーをめざすという意識を持ちながら学んでいることに感銘しました」という。そして、「自分がなすべきミッションを明確に持つ必要性を痛感しました」と、研修の成果に言及してくれた。

「広報誌 Sincere4号より」