ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

sincere no04

ふれあいレポートわかまつ学級入学式での歓迎アトラクションシーン。楽しく勉強しながら入院生活を送る子どもたち1人の児童のために行われた入学式春の温かい日差しが差し込む第1病棟3階の一角に「君が代」が流れた。東京女子医科大学病院の院内学級「わかまつ学級」で入学式が始まったのだ。入学したのは福島県郡山市からやって来たS君。脳腫瘍の治療のために女子医大病院に入院していたのである。わかまつ学級は、新宿区立余丁町小学校の特別支援学級として2013(平成25)年春に開設された。女子医大病院は小児医療についての総合的な診療の実践をめざして小児総合医療センターを設けるとともに、小児入院患者さんへの学習環境の提供と退院後の復学に向けた支援を目的に小児院内教育支援室を設け、わかまつ学級の誕生へとつなげたのである。入学式には余丁町小学校の校長先生も出席して式辞を述べ、S君に教科書を授与。担任の先生も紹介され、録音された在級生の歓迎の言葉も流された。さらに、歓迎アトラクションとして「世界中のこどもたちが」という曲を在級生のMさんが手話を交えながら披露した。S君は終始、嬉しそうな表情を浮かべ、花束や通学用の黄色い帽子を渡されると目を輝かせていた。入学式の模様を見守っていたS君の保護者は、「この子のためだけに入学式を行っていただき、とても感謝しています。今までこのような式には参加することができませんでしたので、感激もひとしおです」と目をうるませていた。友だちができ学習の遅れも防ぐ入学式から1週間後、わかまつ学級には元気なS君の姿があった。この日、S君は絵本で国語の学習をしたあと、こいのぼりづくりに挑戦。教室では6年生の女子児童も漢字の勉強に取り組んでいた。Mさんは体調がすぐれないため教室に来られなかったが、先生が病棟へ赴いてベッドサイドで授業をする予定だという。わかまつ学級は2013年のスタート初通学用の黄色い帽子をかぶって入院中の病棟から教室へ向かう。年度、月平均8人の生徒数で推移し、27人が在籍した。2年目の2014年度は、月平均生徒数が5人強で、在籍者は27人を数えた。「先生や友だちと一緒に過ごすことによって子どもが精神的に安定し、豊かな気持ちで入院生活を送れたと思います」「友だちと接することができ、子どもらしい笑顔が増えてきました」「学習の遅れを防ぐことができて、親としてとても安心しました」「教室は明るい雰囲気で、図工の時間やいろいろな行事もあって、子どもはさぞかし楽しかったことと思います」「院内スタッフのみなさんが、体調管理に気をつけながら学級生活に参加できるよう配慮していただいたことに、深く感謝しています」。わかまつ学級に在籍した児童の保護者からは、このような声が寄せられている。授業中のひとコマ。壁の「わかまつ学級」の文字は書道家・武田双雲氏の手による。22 Sincere|No.4-2015