糖尿病患者に高頻度に合併する下肢四肢循環障害は、足壊疽にいたる最も危険な要因です。治療として禁煙、運動療法、薬物療法が推奨されてきましたが、高度の下肢循環障害には無効でした。
このような場合、血管内治療や下肢血行再建術がなされてきました。しかし、これらの治療は末期腎症などがありますと適応外となることが多いのです。
このような他の重症の合併症を持つ患者さんには、再生医療が導入され、救肢を得ることができるようになりました。当大学倫理委員会の承認後、当センターでも多数の患者さんにおこないました。
再生医療のなかでも自己単核球移植術が技術的に確立し、安全性も確立しています。
これは、患者さんの骨髄血ないし末梢血から血球分離装置を用いて単核球だけを選択的に採取し、虚血肢の筋肉内に一定の間隔で筋肉注射を行い、単核球を移植する方法です。疼痛をともなうため麻酔をして約20-30分で処置を終了できます。注射後は特に制限はなく歩行も可能です。移植後、身体のあたたかさを実感したり、歩行距離が漸次増加することから、治療効果を実感することができます。この方法により、従来の治療法で無効であった下肢虚血から起こる難治性潰瘍を、治癒させることができるようになりました。