診療科からのメッセージ

化学療法・緩和ケア科

高齢化社会の訪れとともに、我が国ではがん患者数が増加しており、日本人の2人に1人はがんになる時代となりました。

化学療法・緩和ケア科では、がん患者さんに対する化学療法と緩和医療を担当します。5大がんをはじめとする固形がんや、肉腫、原発不明がん、多臓器重複がんなどの比較的稀な疾患まで、あらゆるタイプのがん患者さんの治療を対象とします。抗がん剤治療だけでなく、手術や外科的処置、放射線療法の適応について、また、合併症の管理など、各診療科と協力してがん患者さんの治療をしていく上で必要なあらゆる選択肢を考え、実践していきます。

現時点では、抗がん剤は決して夢の特効薬ではなく、ごく一部のがん、あるいは手術後の再発予防の治療を除けば、治癒を最終目標にすることは困難です。しかしながら、抗がん剤を適切に使用し、副作用のコントロールをいかに行っていくかで、患者さんの症状緩和と延命がはかれることが、各種臨床試験からも証明されています。吐き気、食欲不振、だるさ、下痢、口内炎、肺障害、腎障害など、多くの患者さんにとっては悩みの種となる副作用についても、最近の治療薬の進歩により、格段に軽減されるようになってきました。これら副作用のマネジメントをいかに行うことができるかが、薬物療法の進歩の大きな部分でもあります。毎年のように新規抗がん剤が開発されており、抗がん剤治療を専門として対応する人員が全国的に必要とされていますが、がん患者さんの増加に対して絶対的に不足しています。我々の診療科では、豊富で多岐にわたる症例を経験してもらい、がん患者さんの治療に関する司令塔としての薬物療法専門家を育成することを目指しています。

また、がんの診断を受けた時から患者さんの苦悩は始まります。治癒が困難な状態で発見された時、副作用が強く日常生活もままならない時、痛みが強くなってきた時、小さなお子様を抱えての治療、経済的な不安、治療が奏功せず抗がん剤治療を中止せざるを得ない時・・・、患者さんは常に不安の中で治療を受けています。当科では、診断がなされたときから積極的な抗がん治療中も含めて、早期から緩和ケアを同時に実践していきます。がん患者の苦痛は全人的苦痛と称され非常に多岐にわたりますが、身体的苦痛の軽減のみならず、精神的な苦痛やスピリチュアルな苦悩、社会的な苦痛に対しても、これまで以上に踏み込んだ緩和ケアが要求されてきており、通常診療の中でそれらを実践していけるよう、知識や技術を磨いていくことを目標としています。

当科では、がん化学療法と緩和ケアの二つの大きな柱を中心に、がん医療に携わる様々な職種と強固なチーム体制を構築し、患者さんにとって適したがん医療を提供すべく、常に最大限の努力を続けております。
化学療法および緩和医療の知識を深く学び、実臨床で応用していく楽しさを経験して頂きたいと思います。また、どんな患者さんが来ても対応ができるスキルを身に付けてもらえるよう、医局員が一丸となって教育体制を構築していきます。

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