Home > 診療案内 > 手術・治療方法のご案内 > わかりやすい先天性心疾患の解説 > 3.「非チアノーゼ性心疾患」のグループの病気(2)


「非チアノーゼ性心疾患」のグループを代表する「心房中隔欠損症」「心室中隔欠損症」「房室中隔欠損症」 「動脈管開存症」の4つの病気に共通する大事な特徴は、肺に流れる血液の量(肺血流量)が増えるということです。
ここでで説明した「心臓のなかの血圧」の話を思い出しましょう。ポイ ントとして、右心室に比べて左心室は強いポンプで、肺動脈や右心室の血圧よりも大動脈や左心室の血圧が高い、ということを説明しました。
正常では、大動脈の血圧は肺動脈の血圧 (収縮期)の約4~5倍ですが、もし大動 脈と肺動脈の間に「よこ道」があったら、血液の流れはどうなるでしょう?圧力が高いところから低いところに向かって血液は流れます。例えば、左心室と右心室の間 に「よこ道」があったら、血圧の高い左心室から血圧の低い右心室に向かって流れるのです。
「よこ道」は医学用語で「シャント」または「短絡(たんらく)」といいます。図のように、「よこ道」を流れる血液は、血圧の低い右心房、右心室、肺動脈に流れ込み、さらには肺へと流れます。
よこ道(シャント)が太ければ太いほど、そこを流れる血液は多くなり、同時に肺に流れる血液(肺血流量)も多くなり、肺に流れる血液が多ければ多いほど病気は重くなります。
肺に流れる血液の量が増えれば増えるほど、病気は重くなります。病気が重くなると、主に2つの症状が現れます。「肺高血圧(症)(はいこうけつあつしょう)」と「心不全(しんふぜん)」です。
ふつうよりもたくさんの血液が肺に流れ込む状態が長いあいだ続くと、肺への血管が傷んで「肺高血圧」といいます(このあと詳しく説明します)。
また、肺へ流れる血液が増えれば、肺から戻ってくる血液も増えて、左心房や左心室を流れる血液も増えることになります。左心室は全身に血液を送り出すポンプですが、ふつうよりもたくさんの血液がポンプに流れ込むと、ふつうよりたくさんの仕事をしなければなりません。これが長い間続くと、だんだん疲れてきてポンプのパワーが落ちてきてしまいます。
ポンプのパワーが落ちて、全身に十分な血液を送り出せなくなってしまう状態を「心不全」といいます。
肺に流れる血液の量が多いほど、「肺高血圧」や「心不全」になりやすくなり、このような症状があれば、できれば早く手術をしたほうがいいということになります。「肺高血圧」と「心不全」の症状については、このあとに詳しく説明します。


ふだんよく耳にする「高血圧」は、糖尿病や高脂血症、たばこ、肥満、年をとること、などによって、からだの動脈が硬くなり、 動脈が伸び縮みできなくなることによって、からだの血圧が高くなることをいいます。
これに対して「肺高血圧(はいこうけつあつ)」は、肺への動脈(肺動脈)が硬くなる、肺からの血液の出口(肺静脈)が狭くなる、などの原因で、肺の血圧が高くなることです。
非チアノーゼ性心疾患の場合、肺への血液 の量が通常よりも多い状態が続くと、肺の血管の壁がたくさんの血液の量に耐えきれず、傷んできて壁が厚くなり、硬くなることで、肺高血圧になってしまいます。
「肺高血圧」は、血管の傷みがひどくなると、薬が効きにくく、治療が難しくなります。血管の傷みがひどくなるまでの時間は病気や肺に流れる血液の量によって様々ですが、早い場合には3ヶ月ほどでいたんで しまうこともあります。
肺高血圧になると、手術が難しくなった り、手術をしたあとも肺高血圧がよくならなかったりすることがあるため、適切な時期に手術をすることが重要になります。