Home > 診療案内 > 手術・治療方法のご案内 > わかりやすい先天性心疾患の解説 > 1.「先天性心疾患」とは?


生まれつき心臓や血管のかたちが正常とは違う病気をまとめて、医学用語では「先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん)」といいます。「先天性」が「生まれつき」という意味です。
現在、日本では1年間に約100万人の赤ちゃんが生まれますが、そのうちおよそ100人に1人(約1%)、年間約1万人の赤ちゃんが先天性心疾患をもって生まれています。

「先天性心疾患」と言われる病気はたくさんありますが、こ のたくさんの病気をまず大きく2つに分けるとすると、「非チアノーゼ性心疾患」と「チアノーゼ性心疾患」に分けられ ます。
最初に簡単に説明すると「非チアノーゼ性心疾患」はチア ノーゼのない心臓病、「チアノーゼ性心疾患」はチアノーゼ がある心臓病、です。
ところで「チアノーゼ」とは何でしょうか?
「チアノーゼ」は、こどもの心臓病によくみられる症状のひとつです。急にむずかしい言葉が出てきたと思うかもしれま せんが、理解するうえでの基本になるのでおさえておきま しょう。
「チアノーゼ」とは、顔色や全身の色が悪く、特に唇や指先が紫色になる状態のことです。ふつうの人でも寒いところに しばらくいたり、冷たい水に長く浸ったりすると顔色が悪く 唇の色が紫色になるのもチアノーゼの一種です。
『心臓のきほん』の『「血液」の役割』で説明した「赤血球(せっけっきゅう)」の話を参考にしてください。「赤血球」は全身に酸素を運ぶためのトラックで、トラックに積んでいる酸素が減ると、血液の色が赤黒くなります。
正常であれば、トラックが酸素を臓器まで運ぶ「動脈(どうみゃく)」と、臓器で酸素が使われて酸素が少なくなったトラックが心臓まで戻ってくる「静脈(じょうみゃく)」は一方通行で、酸素をたくさん積んだトラックと、酸素が少ないトラックが混じることはありません。
しかし、先天性心疾患は、心臓や血管(動脈・静脈)のかたちに異常があり、動脈と静脈の間に「よこ道」があったり、「交差」していたりして一本道でない場所があるために、これらのトラックが混じり合ってしまうのです。
正常では、動脈を走っているトラックは酸素をたくさん積んだトラックだけです。しかし「チアノーゼ性心疾患」の場合「よこ道」や「交差」した道路から、酸素が少ないトラックが動脈に混じることで、動脈の血液が赤黒くなり、これによって顔色や全身の色が悪く、特に唇や指先が紫色に なる状態に見えるのです。


この言葉も、先天性心疾患を理解するうえで重要なのでおさえておきましょう。
動脈を走っているトラック(赤血球)に酸素がどれだけ積まれているかは、動脈の「酸素飽和度(さんそほうわど)」と言います(※)。ふつうの人の酸素飽和度は、ほぼ100%です。しかし「チアノーゼ性心 疾患」の場合、100%ではありません。「よこ道」や「交差」した道路から、動脈に酸素の少ないトラックが混じってしまうからです。
3000mぐらいの高い山に登ると、健康な人でも 酸素飽和度が80~90%まで下がって息苦しい感 じがしますが、「チアノーゼ性心疾患」のこども の中には日頃から70~80%ぐらいで、泣いたり して具合が悪くなったりすると50~60%になってしまうこともあります。いつも「チアノーゼ」 であることは、とても苦しいことなのです。
※ 医療現場では、「SpO2(percutaneous oxygen saturation 経皮的酸素飽和度)」と書いてあります。