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東京女子医科大学 心臓血管外科
平松健司
当心臓血管外科学教室は1955年日本心臓血圧研究所創設以来、先天性心疾患の外科治療の分野における日本のleading
instituteとしての役割を担ってまいりました。現在までファロー四徴症根治手術1800例、ジャテン手術520例、ラステリ型手術600例、フォンタン型手術620例、ダブルスイッチ手術80例、ロス手術75例等わが国最大の治療実績を有しています。循環器小児科と密接な協力体制の下、診療科の分け隔てなく一人一人の患者様に対して最良の治療方法を徹底的に模索し、最善の医療行うように心がけています。新生児のジャテン手術、ノーウッド手術から、近年増加しつつある心外導管型フォンタン転換術やラステリ導管交換術といった成人先天性心疾患まで幅広く取り組んでおり,昨年度手術死亡ゼロと良好な成績をあげています。先進的な治療として組織工学の手法を応用した小児再生血管の臨床応用も実践してきており、また小児補助人工心臓植え込みも積極的に行っています。さらには2010年よりわが国でも開始される予定である小児の心臓移植にも取り組んでいく予定です。
文字通り新生児から成人まで先天性心疾患の患者様の外科治療にチーム一丸となり全力を尽くし、ベストな治療を行っていきたいと考えています。
■特徴
1. 複雑心奇形
代表的なファロー四徴では、現在1歳前後で根治手術を行っています。肺動脈弁の逆流が術後 問題でしたが、右室流出路形成において肺動脈弁の作成を工夫しこの防止に努め、また、自己組織を出来るだけ使用した手術を行い将来の発育を期待できる手術を心がけています。機能的単心室に対するフォンタン型手術に対しては両方向性グレン手術を6カ月から1歳までに行い、1歳から2歳でフォンタン型手術を行う方針としています。
2. 新生児心臓手術
新生児期に緊急手術を要する左心低形成症候群、完全大血管転位、総肺静脈還流異常、大動脈縮窄や大動脈弓離断などの症例が搬送された場合は新生児科(NICU)、循環器小児科、心臓血管外科、麻酔科、集中治療室(ICU)の経験豊富なスタッフへの連絡が直ちに行われ緊急手術に即対応できるチーム医療体制を整えています。
3. 低侵襲手術
心臓の手術といえば胸に大きな手術創がつくのが一般的であり、Tシャツや女性であれば水着を着ると手術創が見えるなどの問題がありました。そこで、手術創を出来るだけ小さくとの考えから乳首やや上の高さから下の7-8cmの手術創で手術を行うようになり、当院でも心房中隔 欠損や心室中隔欠損などの単純心疾患に対してこの手術法を積極的に行っています。
4. 無輸血手術
心臓手術では従来輸血が行われるのが常識でした。しかし、輸血に伴う肝炎やエイズ(HIV)感 染などの問題が考えられます.当院では体外循環に用いる回路充填量を減量する等の工夫によりな るべく無輸血手術を心がけるようにしています。最近では7-8kgの症例でも積極的に行って います。
5. 成人先天性心疾患
新生児期や乳児期に心臓手術が行われるようになって30-40年が経過し、そうした手術を受けられた患者様 が成人期を迎え次の段階の再手術が必要になってくることが近年非常に増えてまいりました.長い伝統と実績を持つ当院ではそのような成人先天性心疾患に対する手術も経験豊富であり、例えば心外導管型フォンタン手術転換術は現在まで約40例と本邦最大の症例数を誇っています.またそのような患者様が仕事や出産などについて相談できる医師が少ないのが日本の現状でありましが、当院では循環器小児科に成人先天性心疾患の専門医や不整脈のスペシャリストを擁しており、専門的な診療 にあたっています。