主任教授紹介

主任教授・診療部長紹介
田中 淳司 主任教授
略歴
1982年 北海道大学医学部卒業
1990年 北海道大学大学院医学研究科卒業
1993年 北海道大学医学部付属病院第三内科助手
1996年 米国フレッドハッチンソン研究所客員研究員
1998年 北海道大学医学部加齢制御医学講座助手
1999年 北海道大学医学部加齢制御医学講座助教授
2000年 北海道大学大学院医学研究科遺伝子制御医学分野助教授
2003年 同 癌診断治療学講座血液内科学分野助教授
2007年 同 医学専攻内科学講座血液内科学分野准教授
2008年 北海道大学病院血液内科診療教授
2013年4月 東京女子医科大学血液内科学講座主任教授 現在に至る
評議員・委員会
日本血液学会評議員(1998年~現在)
日本血液学会認定委員会委員(2005年~2007年)
日本血液学会統計調査委員 (2008年~現在)
International Journal of Hematology, Editorial board (2003-2004)
日本造血細胞移植学会評議員(2000年~現在)
日本造血細胞移植学会編集委員(2004年~2006年)
日本造血細胞移植学会全国集計データー管理委員(2005年~2007年)
日本造血細胞移植学会移植登録データー一元管理委員会委員(2007年~2015年)
日本造血細胞移植データーセンター造血細胞委嘱登録一元管理委員会委員(2015年~現在)
日本造血細胞移植学会認定・専門医制度委員会委員(2007年~現在)
日本造血細胞移植学会認定・専門医制度委員会委員長(2014年~現在)
日本造血細胞移植学会理事(2010年~現在)
日本造血細胞移植学会放射線事故対策委員会委員 (2012年~現在)
日本造血細胞移植学会財務委員会委員(2014年~現在)
成人急性リンパ性白血病ワーキンググループ責任者(2010年~2015年)
日本移植学会選挙管理委員会委員(2014年~現在)
財団法人骨髄移植推進財団地区代表協力医師(2007年4月~2012年3月)
財団法人骨髄移植推進財団 医療委員会委員(2007年4月~現在)
日本老年病学会評議員(2007年~現在)
認定医・専門医・指導医
日本内科学会認定医
日本血液学会専門医・指導医
日本消化器病学会認定医・専門医
日本癌治療学会臨床試験登録医
ICD制度協議会インフェクシヨンコントロールドクター
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
日本がん治療認定医機がん治療認定医
日本造血細胞移植学会認定医
日本移植学会認定医
研究テーマ
 私は一貫して「どうしたら白血病を根治できるのか?」というResearch questionを持ち、主に血液悪性疾患の治癒・根治を目標として血液内科学に関する臨床研究を行ってきました。研究テーマの主たるものとしては同種造血幹細胞移植療法の最大の効果である移植片対白血病(Graft-versus-leukemia/tumor, GVL/T)効果の誘導と代表的副作用である移植片対宿主病(Graft-versus-host disease, GVHD)の制御に関する研究です。
 当初はGVHD発症におけるサイトカインの役割について臨床検体を用いて解析を行い、炎症性サイトカインやTh1サイトカインの重要性を報告しました(Tanaka J, et al. Transplantation 55: 430, 1993 ; Bone Marrow Transplant 14: 695, 1994; Br J Haematol 87: 415, 1994; Blood 84: 3595, 1994)。
 平成8年から2年間造血幹細胞移植のメッカといわれる米国フレドハッチンソン癌研究所に留学し、骨髄とは異なるもうひとつの移植幹細胞であるG-CSFによって末梢血に動員された末梢血幹細胞(G-PBMC)の特性について研究し、G-PBMCには単球が多く含まれそれがGVHD発症に抑制的に作用していることを報告しました(Tanaka J et al. Blood 91; 347, 1998)。同種造血幹細胞移植における副作用であるGVHDを抑制しGVL/T効果を強力に誘導することができれば同種造血細胞移植療法の有効性と安全性が飛躍的に向上します。帰国後はGVHD 抑制/GVL効果誘導という究極の細胞療法を可能にしうる細胞として抑制性NK細胞受容体(CD94/NKG2A)発現細胞を同定し、この細胞を末梢血や臍帯血から増幅することができることを報告してきています (Tanaka J et al. Blood 104; 768, 2004)。また抑制性NK細胞受容体のリガンドはHLA-Cであるため、同種造血幹細胞移植におけるHLA適合度検索に際し重要な意味を有する可能性を指摘してきましたが (Tanaka J et al. BMT 26; 287, 2000; Br J Haematol 108; 778, 2000; Br J Haematol; 751, 2002; IJH 81: 6, 2005)、2009年8月より非血縁骨髄移植の際にはHLA-C検索が必須化されることとなりました。さらに白血病細胞におけるNKリガンド発現とその誘導に関する研究(Tanaka J et al. Leukemia 19; 486, 2005; Kato N, Tanaka J, et al. Leukemia 21:2103, 2007)や臍帯血からの抑制性NK細胞受容体(CD94/NKG2A)発現細胞と制御性T細胞の同時増幅に関する研究(Tanaka J et al. Transplantation 27; 1813, 2005; Exp Hematol 35; 1562, 2007)、臍帯血移植後のNK細胞回復動態の研究などを行ってきました(Tanaka J et al. Human Immunol 70: 701, 2009)。また移植後のドナータイプキメリズムと移植成績の解析についても実際の臨床現場に直結する研究として大学院の先生方と一緒に行ってきました(Tanaka J et al. Br J Haematol 86; 436, 1994; Tsutsumi Y, Tanaka J et al. Br J Haematol 118; 136, 2002; Miura Y, Tanaka J et al. BMT 37; 837, 2006; Sugita J, Tanaka J et al. Ann Hematol 87: 1003, 2008) 。
 最近はT細胞とは全く細胞障害活性のベクトルが異なりHLA class Iの発現が低下しT細胞による免疫学的監視機構から逃れた白血病細胞や腫瘍細胞を障害することのできるNK細胞そのものを培養増幅する方法を開発し、企業と協力し特許出願を行っております(Tanaka J, et al. Leukemia 26:1149-1152, 2012)。また第2世代チロシンキナーゼ阻害剤Dasatinibには免疫調整作用が存在することが知られていましたが、我々はDasatinibが臍帯血からのNK細胞増幅を誘導しそれが転写因子Eomesを介する可能性を示しました(Blood 119:6175-6176, 2012)。さらに共同研究としてヒトリンパ球分画からiPS細胞を樹立し、このようにして培養した細胞を臨床応用する試みにも参加しています(Wakao H, Tanaka J, et al. Cell Stem Cell. 12:546-558, 2013)。
 今後はこのような細胞を用いたGVHD 抑制/GVL効果誘導の両立を可能にする白血病などの血液悪性疾患さらには固形腫瘍の根治を目標とした細胞療法の臨床応用を目指していきたいと思います。