産婦人科(第1・第2)研究室

 当科では各専門領域におけるエキスパートが揃っており、外部検査委託に頼らない高度な臨床補助業務だけでなく、研究における支援も充実しています。

<業務内容>
・人工授精時における精液の洗浄・濃縮
・体外受精時における胚の培養・凍結等
・腟分泌物の検鏡検査
・術中迅速検体、手術摘出検体、特殊染色、液状化検体を含む細胞診標本の作製
・細胞診断スクリーニングと臨床へのフィードバック
・臨床試験における内容の説明およびデータ解析
・遺伝子関連検査の説明、カウンセリングおよび実施
・研究検査、臨床・基礎的研究の支援

<医師以外のスタッフ>
後藤 智子(臨床検査技師、日本卵子学会生殖補助医療胚培養士、日本不妊カウンセリング学会体外受精コーディネーター)
花田  梓(臨床検査技師、日本臨床細胞学会細胞検査士、国際細胞検査士、日本不妊カウンセリング学会体外受精コーディネーター)
岡田 薫子(臨床検査技師、日本臨床細胞学会細胞検査士、緊急臨床検査士、健康食品管理士)
尾上 佳子(歯学博士)
広兼 春美(臨床検査技師、日本臨床細胞学会細胞検査士、国際細胞検査士、2級病理検査士)
徳田 美由紀(臨床検査技師、日本臨床細胞学会細胞検査士、国際細胞検査士、)

研究紹介(再生医療・組織工学の産婦人科領域への応用:藏本吾郎 大学院4年)

<細胞シート工学を用いた子宮内膜の再生研究>
 産婦人科領域においてもっとも根幹にあるものは妊娠である。産婦人科の各領域において、疾患はさまざまな理由により妊娠に影響する。例えば、婦人科疾患においては癌や良性疾患によって妊娠が不可能となったり妊娠率が低下したりする。また、いざ妊娠をした場合には産科疾患の発生の可能性もあり、正常から逸脱した妊娠経過をたどる可能性もある。






 近年、外科手術は低侵襲の方法が次々と開発されている。腹腔鏡下手術やロボット手術などはすでに世界的に標準化されている。産婦人科領域では子宮内の病変に対して子宮鏡下手術が一般的に行われている。子宮内の病変は子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫などがあげられる。子宮鏡下手術においてこのような病態はよい適応になるが術後の合併症として子宮内膜の欠損が問題となる。また、流産に対する子宮内容除去術後も子宮内膜の障害が起こる可能性がある。その結果子宮内膜の硬化や子宮内腔癒着などが生じ子宮性不妊となる可能性がある。これに対しさまざまな予防法や治療法が開発されているが根本的な治療は未だにないのが現状である。
 細胞シート工学とは、単層培養させた細胞を低温処理することによってシート状の組織として回収し移植や積層などが行える技術である。http://www.twmu.ac.jp/ABMES/CSTEC/ja
 本研究は、この細胞シート工学の技術を用いて、着床が困難となる子宮内膜の欠損部位を再生させ、受精卵の着床、妊娠が可能な状態に再生させることを目的としている。

研究紹介(周産期医学:小川准教授)

研究内容
1)常位胎盤早期剥離の発症機構に関する研究
発症原因が不明である常位胎盤早期剥離の発症機序の解明することを目的として、臨床的検討を行うとともに、本症の発症にepigeneticな因子が関与するとの仮説を実証するため、基礎的に検討している。

図1 Severe abruption score11点以上の場合、児の予後が不良となる。

2)子宮頸管熟化に関する研究
子宮頸管が分娩時に児を通過させる目的で急速に熟化する機序について、glycosaminoglycanの一つであるヒアルロン酸代謝の観点から解明するため、基礎的に検討している。


 図2 これまでの検討より明らかにされた子宮頸管におけるヒアルロン酸代謝

3)羊水過多の管理に関する研究
 原因不明で予後不明な疾患である羊水過多症をどのように管理するかの臨床的な研究を行っている


 図3 羊水中の糖濃度が17mg/dl未満では、新生児予後が不良となる。
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4)出生前診断に関する研究
 胎児疾患をより早期に出生前診断し必要に応じて胎児治療を行うように出生前診断に関しての臨床的な研究をおこなっている。


図4 在胎18週での胎児心嚢水貯留と肺低形成の関係

5)産科救急の管理に関する研究
 子宮破裂、産後大出血、常位胎盤早期剥離、前置胎盤など産科救急疾患に対しての適切な管理方法を明らかにする目的で臨床研究を行っている。



図5 子宮底部縦切開アプローチによる既往帝切前置癒着胎盤症例



図6 低用量ノボセブンとIVRにより止血しえた6000mlの産後大出血症例