佐々木 亮
僕は、大学を卒後、研修医として口腔外科に入局し、救命救急センター、放射線腫瘍科、麻酔科の他科ローテーションを終えた後の臨床医4年目から大学院に進学しました。はじめは綿密な計画などなく顎顔面外傷に関連した再生治療に関する研究ができればと思っていた程度でした。臨床のなかに研究はわずかといった状態で、「歯髄を神経再生における新たな細胞ソースとして利用すること」を研究テーマに実験をスタートしました。大学院1年目の2月に国立精神神経センターの神経科学者である青木俊介先生と出会い、青木先生の指導のもとで、「歯髄の中の神経幹細胞の探索」を本腰を入れて開始し、歯髄の中に神経幹細胞の実験的な定義であるニューロスフェアーという細胞塊をつくる神経幹細胞の存在をみつけ、実際に歯髄細胞を組み込んだ人工神経を作成し、ラットの顔面神経欠損に移植することにより神経を再生させることができました。
大学院生活では、細胞培養の仕方や英語文献の調べ方から始まり、マイクロサージェリーの手技や、ウイーンでの国際口腔顎顔面外科学会の初参加やハワイでの米国口腔顎顔面外科学会での英語による初めての口頭発表、英語論文の初執筆から投稿、リジェクト、別のジャーナルへの投稿、追加実験とリバイス、アクセプトを経験し、その考え方や取り組み方を身につけることができました。これらの経験は、臨床に科学的な視線を取り組む姿勢や、欧米での最先端の治療は何なのか、国内ではどうなのかと考える姿勢を身につけ、口腔外科医としての視野が大きく広がった様に感じます。大学院の進学は、何より優秀な研究者たちや、研究をしながら働く外科系の医師たちなど数多くの優秀な人たちと出会い、そして影響を受けたことが大きな成果であったと思います。大学院での経験は僕にとって大きな財産です。
【主な大学院での業績】
Ryo Sasaki,Shunsuke Aoki,Masayuki Yamato,Hiroto Uchiyama,Keiji Wada,Teruo Okano and Hideki Ogiuchi:Neurosphere generation from dental pulp of adult rat incisor.European Journal of Neuroscience 27,p538-548,2008
Ryo Sasaki,Shunsuke Aoki,Masayuki Yamato,Hiroto Uchiyama,Keiji Wada,Teruo Okano and Hideki Ogiuchi:Tubulation with dental pulp cell promotes facial nerve regeneration in rats.Tissue Engineering Part A 14,p1141-1147,2008
MEDARTIS® Award(第52回日本口腔外科学会総会学会賞,2007年)
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