東京女子医科大学大学院
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  脳腫瘍病態・治療学分野

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主任教授からのメッセージスタッフ研究活動研究可能テーマ

主任教授からのメッセージ

久保 長生(くぼ おさみ)教授

久保 長生 Osami Kubo

脳腫瘍は脳神経外科分野における最も重要な疾患であり、その病態と治療に関してはまだまだ大きな問題を抱えている。診断に関してはCT,MRIなどの画像機器の進歩が診断法を飛躍的に改善している。しかし、その治療成績に関してはまだまだ多数の問題点を抱えている。
この分野は脳腫瘍の神経病理学、分子生物学などによる診断と病態、さらに治療は外科治療後の補助療法に関して術中照射、ガンマナイフ、化学療法、免疫療法の基礎とよび臨床的研究を主題に行う。

スタッフ
脳神経外科主任教授:堀 智勝
脳神経外科教室:日山博文
村垣善浩:川俣貴一
丸山隆志:田中雅彦:河本竹正
 
研究活動

脳腫瘍病態・治療学に関する研究

「各種脳腫瘍の根治的手術に関する術中支援手技の解明に関する臨床および基礎的研究」
基幹分野である脳神経外科ではすでに手術室内におけるMRI装置を導入し、術中画像診断による可能な限りの手術全摘出を試みているが、まだ充分ではない、さらに,細胞レベルでの腫瘍可視化をはかり,分子レベルでの腫瘍全摘出手術が完成すれば補助療法がきわめて容易になる。神経放射線学的画像診断、コンピュータ支援、細胞レベルでの腫瘍細胞の同定を計りこれらの応用により,脳腫瘍患者のQOLの向上をはかる。東京女子医科大学大学院先端医療研究科があり、脳神経外科では共同研究を行っている。

「神経膠腫に対する放射線化学療法の増強及び脳保護作用に関する基礎的および臨床的研究」
脳腫瘍には放射線抵抗遺伝子の存在が知られており、本病態を解明し、これを応用することは、放射線治療の効果を増強する上に重要である。 これらの研究をもとにし、神経膠腫症例に対し従来の手術療法とPRSを用いた術中放射線照射法の改良や、ガンマユニットなどを用いた局所放射線療法を応用し、さらに維持療法として化学療法を行い悪性脳腫瘍の治療効果の向上と予後の改善を計る。また、放射線照射による晩期障害として放射線壊死、放射線encephalopathyなどがあり、近年様々な放射線治療方法が応用されており、放射線に対する脳保護作用の検索を行う。

「悪性グリオーマに対する蛍光ナビゲーション手術に関する臨床的研究」
5-aminolevulinic acid(5-ALA)は悪性神経膠腫において選択的に腫瘍に取り込まれ、紫外光による励起により蛍光を発する性質を利用した腫瘍の同定に応用が進められている。我々の術中MRI、real-time navigationに加え5-ALAによる光診断法を用いた腫瘍摘出術の方法を紹介すると共に、これまでの症例のうちhigh grade gliomaにおける発光部位の組織学的検討を行ったので報告を行う。

「悪性脳腫瘍に対する光感受性物質を用いた光線力学療法に関する基礎的研究」
光線力学療法は出力がレーザーメスの1/100と低く、フォトフリン誘導体などの薬剤が脳腫瘍やがん組織に多く集積し、正常組織への障害を最小限に抑え、がん病巣のみを選択的に治療することができる治療法である。脳腫瘍に最適な光感受性物質の選択を従来のフォトフリン誘導体から検索する。脳腫瘍に対してもすでに臨床治験が一部でなされているが,その成果は充分ではない。そこで、5ALAを用いた腫瘍可視化研究と並列で本治療の有用性について研究を行う。

「悪性脳腫瘍の局所放射線・温熱治療法開発に関する研究」
悪性脳腫瘍は全脳腫瘍の約60%以上をしめる悪性腫瘍であり、脳に発生するので外科的根治手術は不可能である。しかも、手術、化学療法および放射線照射の組み合わせた種々の集学的治療法が開発されているが、充分な効果は得られていない。当施設では手術療法による肉眼的全摘出と残存腫瘍の縮小をはかり、さらに残存腫瘍に対する補助療法を行っており、さらに脳腫瘍の分子生物学的及び病理組織学的検索による病態解明を行っている。

「神経膠腫の増殖能,浸潤能に関する臨床病理理学的研究」
星細胞系腫瘍におけるglial fibrillary acidic protein(GFAP)およびvimentin (Vim)の発現性と増殖能との関係について報告してきたが、腫瘍性格が強くなるとVimの染色性は増強され、GFAPの染色性は次第に低下する傾向にある。GFAPとVimは星細胞系腫瘍において悪性度と相反する染色性を呈する傾向にあり、Vimの発現は腫瘍細胞の分化度を反映すると考えている。しかし、その浸潤能や増殖能に関しては細胞分化とは異なる未解決の因子が考えられる。これらの研究を臨床症例の詳細な検索により明らかにすることを目的とする。

「悪性脳腫瘍に対する細胞性免疫療法の臨床及び基礎的研究」
悪性神経膠腫の治療成績の向上をはかるべき基礎的及び臨床研究を行う。さらに現在は理化学研究所大野忠夫先生との共同研究で自家がんワクチン療法を脳腫瘍の治療に応用すべく臨床および基礎研究をおこない,すでに本学の倫理委員会の許可を得て、臨床治験の準備をしている。

「脳腫瘍の病態解明に関するMRSの役割」
神経腫瘍学における画像診断の進歩は著しいものがあるが、術前にすべての問題を解決は出来ない。今後PETの普及でさらに腫瘍の生物学的性状が解明されつつあるが、MRSはMRI画像に基づき腫瘍の形態が詳細にわかりさらにMRSにて検索することにより、腫瘍の悪性度,治療後の変化,放射線化学療法後の壊死か再発かなどの解明が可能である。神経放射線科との共同研究として,腫瘍の病理組織像とMRSでのコリン、乳酸などの各パラメーター検討を行うことにより頭蓋内病変の術前の生物学的性状解明の研究を行う。

「下垂体腺腫の臨床病理学的検索」
下垂体腺腫の患者は内分泌センターとの協力で飛躍的に増加し,手術的治療がなされている。単に非機能的または機能的腺腫ではなく、腫瘍の増殖能,浸潤性,被膜形成の有無、ミクロアデノマとマクロアデノーマの生物学的相違などをレクチン、s-100など免疫組織化学,酵素抗体法、共焦点レーザー顕微鏡などを用いて検索する。

「胚細胞性腫瘍における腫瘍マーカーとしての髄液PLAPの有用性」
胚細胞腫(Germinoma)はNon-germinomatous Germ Cell Tumorに比べて化学療法や放射線治療に対する感受性が高く、高い治癒率が得られる為、確定診断が得られれば必ずしも外科的治療を必要としない疾患である。本疾患の確定診断には従来より観血的手術による病理組織検査が用いられてきたが、これは患者にとっては侵襲が大きく、手術による合併症、また髄液内播種の危険性も伴う。したがって、もし侵襲的な手術を行うことなく診断ができれば、患者にとっては余計な苦痛、危険性を味わわずに済み、我々も効率的に治療法を選択することが可能となり、極めて有益であると思われる。臨床生化学科の渡辺教授との共同研究で髄液中の胎盤型アルカリフォスファターゼ(PLAP)を、2ステップサンドイッチ EIA法で測定した。一次抗体として抗ヒトPLAPマウスモノクロナール抗体と検体を混合し、PLAP/抗ヒトPLAPマウスモノクロナール抗体複合体を形成させる。次に、二次抗体として抗マウスIgG抗体を固相したウエルにこの複合体を分注し、反応させ、発色基質液を添加、その吸光度を測定した。この結果、頭蓋内胚細胞腫の全例で髄液中PLAP値の上昇が認められた。保存的治療が有効であった症例では、腫瘍の縮小に伴い、髄液中PLAP値も減少し、臨床経過をよく反映した。従って髄液中PLAPは胚細胞腫の特異的腫瘍マーカーとして本症の診断、治療効果の判定に有用であると考えられた。今後さらに症例の増加と測定の簡便化をはかりルーチン化を図る研究を進める。

「頭蓋咽頭腫、髄膜腫における再発因子としての増殖能、浸潤能に関する病態研究」
頭蓋咽頭腫、髄膜腫は定型的な良性腫瘍であるが、頭蓋底腫瘍の一部であり、手術的全摘出が困難で再発症例もみられる。 これらの腫瘍に関してもすでに周辺の脳組織への浸潤性や増殖能に関して報告しているが、さらに再発因子の解明のための臨床および基礎的研究を行う 。

「脳腫瘍の術中病理診断および脳神経外科病理診断の簡便化とユビキタス化の確立に関する研究」
研究可能テーマ
1. 頭蓋咽頭腫、髄膜腫における再発因子としての増殖能、浸潤能に関する病態研究
2. 下垂体腺腫の分子生物学的および臨床病理学的検索
3. 神経膠腫の増殖能,浸潤能に関する分子生物学的および臨床病理理学的研究
4. 脳腫瘍の分子生物学的および免疫組織化学的検索に基く新しい分類

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