東京女子医科大学大学院
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  病理学(第一)分野

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主任教授からのメッセージ

柴田 亮行 (しばた のりゆき) 教授

柴田 亮行  Noriyuki Shibata

東京女子医科大学において病理学第一講座は、病理学を通して@教育、A研究およびB医療からなる三つの分野に関わっています。

第一に、病理学教育は医学部学生や大学院生に対する卒前教育のみならず、研修医などの若手医師に対する卒後教育を含んでいます。卒前教育では、病因から病態を経て画像や臨床像で検出されるようになるまでの発病機構をダイナミックに解説します。そしてその成果は、臨床実習が始まる直前に組まれる名物カリキュラム「学生CPC (clinicopathological conference)」や第六学年の自主選択実習「クリニカルクラークシップ」での生き生きとした学習活動となって実を結び、その体験は医師となった後も役立っているとの声を耳にします。卒後教育では、外科病理や病理解剖を通して症例報告を指導し、最も基本的な論理的思考能力と言語能力を育む場を提供しています。

第二に、病理学研究は発病機構に迫る基礎的研究と医療に直接関わる臨床的研究に分けられます。基礎的研究は、あくまでヒトの疾患の発病機構を解明し、治療法の開発に役立つ情報を得ることを目標としています。その実現のため、ヒト組織に加え、実験動物や培養細胞で病態を再現するモデルから得られた材料をもとに、分子 (細胞外液性因子・受容体・シグナル伝達物質・DNA・RNA・蛋白・翻訳後修飾構造体など) に着目し,形態学的ならびに定量的な手法を用いて病理学的解析を行っています。具体的には、筋萎縮性側索硬化症 (ALS)、福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD)、神経系の発生、腫瘍化、脳卒中などに伴うニューロンとグリアのクロストーク (酸化ストレス・炎症刺激・グルタミン酸毒性)、動脈硬化症、甲状腺癌などに関する多くの業績を国内外に発信してきました。臨床的研究は、症例報告に始まり、多くの症例に恵まれた本学の特性を生かして最終的には大規模研究を目指し、病理診断技術の向上や新しい疾患概念の樹立に繋がる知見を積み上げてゆくものです。具体的には、大腸癌に代表される様々な悪性腫瘍例群を集団として捉え、臨床部門と連携しながら、病期分類に影響を及ぼす病理学的因子を探索しています。

第三に医療の中で果たす病理学の役割は、細胞診や組織診 (生検・手術) を含む外科病理と病理解剖 (剖検) の実践です。前者は、いま目の前にいる患者の診断と治療に役立てようとするものです。これに対して後者は、不幸にして亡くなられた患者の病理学的情報を、これからの医療に役立てようとするものです。近年、世界的な傾向として、外科病理症例数が増加するのと対照的に、病理解剖症例数が激減しています。この現象は、生前に外科病理や画像所見などの診断情報が十分得られたのだから、わざわざ剖検までする必要はないとの考え方に影響を受けていると考えられます。しかし、この考え方には驕りがあると言わざるをえません。何故なら、生前の診断が必ずしも100%正しいとは限らず、剖検により覆る場合も少なからずがあるからです。さらに、想定外の病態が患者の死に関与している場合も少なくありません。剖検により明らかにされた新たな事実を真摯に受け止め、一臨床医としてのスキルアップのみならず、当該診療科や医療機関の医療レベルの向上に結びつけるべきであると考えます。病理学第一講座のMDスタッフは全員、診療部門としての標榜科である「病理診断科」の病理医を兼任することにより、同科を全面的にバックアップしています。これは、本講座が人体病理学を重視することの表われであり、今後もその体制を継続してゆく方針に変わりはありません。

これまで述べてきたように、病理学は実に様々な顔をもっています。人類の歴史をもとに病理学の成り立ちを振り返れば、病理学は絶えず病気の本質の究明と目前の患者に対する医療の両面に深く関わってきました。その際、単に肉眼や顕微鏡を用いた形態学的手法に留まることなく、基礎的ならびに臨床的な視点から様々な新しい解析技術を開発し、医療統計学とも向き合ってきました。以上を踏まえて病理学第一講座は、基礎医学と臨床医学の架け橋となって医学の発展に貢献してゆく所存です。病理学に関心のある方は是非一度、本講座に足を運んでみませんか。

 

スタッフ
病理学(第一)分野 スタッフ
 
 柴田 亮行 主任教授
 澤田 達男 教授
 山本 智子 准教授
 加藤 陽一 郎助教
 宮川(廣井) 敦子 助教
 新井田(川口) 素子 助教
 猪瀬 悠里 大学院生
 刈田 瑞穂 主任技師
 竹入 英幸 技師
 坂寄 紀子 技師
 村松 文章 技師
 岩崎 秀一 技師
 久保田 美喜代 事務
 
 
 
 
大学院卒業生の声
在校生 川口 素子川口 素子

私は精神科で臨床研修を終了後の平成12年、神経変性疾患に興味を抱いて、脳神経系の研究が盛んである第一病理学教室に大学院生として入室しました。 

私の研究テーマは筋萎縮性側索硬化症に関するもので、形態的に得られた所見から生じる疑問点を明らかにするために、疾患モデルとしての細胞培養系を作製して実験を進めてきました。先生方には常日頃、的確な御指導をいただき大変感謝しております。 

現在研究の分野では研究に用いる様々な材料、方法が充実しており、昔よりは色々と取り組みやすい体制が整っていると思いますが、病理学では最終的にはヒトの疾患病態を解明するという原点に立ち返る姿勢を教えていただきました。
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