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心臓発生と解剖  

心房中隔の発生

文責 稲井 慶

 

発生学的には、心房内に発生する中隔ないし中隔様構造物は以下の5つがあります。

Sinus septum

Septum sprium

Primary septum  (1次中隔)

Intermediate septum

Secondary septum  (2次中隔)

心房中隔の形成にはどれもが重要な役割を担っており、決して一次中隔と二次中隔のみでできあがるような簡単な構成ではありません。

これらの5つの発生学的中隔に焦点をあてながら、心房中隔の形成について現時点でわかっていることを説明したいと思います。

図1に示す通り、原始心管は原始心房の拡大と心内膜床の形成に伴って、右にルーピングしていきます。原始心房はその尾側で静脈系血管と結合していますが、これをそれぞれ、左右の静脈角(Sinus horn)と呼んでいます。通常、左の静脈角は徐々に退縮して、一部を残して消えてしまい、右の静脈角は逆に拡大しながら、原始心房の右側に進出していき、やがて原始心房をすみに追いやって右心房の主要部分を占めることになります。

shinzo-hossa-1

図1

 RSH: right sinus horn      LSH: left sinus horn       V: ventricle A: atrium


静脈角の変化のみを取り出して図示したのが、図2です。左右の静脈角を分ける中隔をsinus septum と呼びます。この中隔の形成に伴って、左の静脈角は細くなっていき、近位側では冠静脈洞(coronary sinus)を残すのみとなり、右静脈角は原始心房との入口部が拡大して静脈洞(sinus venousus)となります。この静脈洞には左右に弁上の構造物があり、それぞれ左右の静脈弁(venous valve)と呼ばれますが、この弁の上端で左右が癒合するところにできる中隔様構造物をseptum supriumといいます。Sinus septumはASDのcoronary sinus defectと関係し、septum supriumはsinus venousus typeのASDを考える上で重要な中隔です。

shinzo-hossa-2

図2

 RSH: right sinus horn   LSH: left sinus horn   SS: sinus septum SV: sinus venosus       CS: coronary sinus

続いて登場するのが、いわゆる一次中隔primary septumとintermediate septum
です。これらの形成過程を理解するには、dorsal mesocardiumの存在を知らねばなりません。図3に示すように、原始心筒はその背側で中腸に吊り下げられていますが、この接合部は間葉系細胞が集中しており、dorsal mesocardiumと呼ばれています。静脈洞が拡大しながら原始心房右側に進出するのと同時に、二つの事象が原始心房内に起こります。ひとつはprimary septumの形成で、後上方から心房を左右に分けるように下降してきます。二つ目はdorsal mesocardium内の間葉細胞が心房内に遊走し始め、心房下部にprimary septumとは違う中隔を形成しはじめます。この様子を描いたのが図4になります。房室中隔欠損を考える上で大変重要な、このdorsal mesocardium由来の中隔をintermediate septumあるいはspina vestibuliと呼びます。

shinzo-hossa-3

図2

shinzo-hossa-4

図2

 SPはmesenchymal capを先頭にして伸びていく。DMもcushionに向かって急ぐ!

(続く)