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検査のリスク  

心臓カテーテル検査は侵襲的検査であり、100%安全に行える検査とはいえません。様々な危険性が伴う検査です。

一般的に小児では、心臓カテーテル検査で 死亡する確率は約0.1〜0.3%と言われています(但し、これは診断のためのカテーテルの死亡率で、カテーテル治療の合併症は含んでいません。)また重篤な合併症(脳障害、脳塞栓、脳血栓、重篤な不整脈、多量の出血など)が生じる可能性が約1%あるといわれています。
もちろんこの数字は一般的なものであり、患者様の年齢や現在の状態によって大きく変わります。
例えば、新生児の場合には明らかに危険性は高まります。さらにカテーテル治療や電気生理学的検査・治療の場合も一般の診断的カテーテル検査に比べ危険性は増します。

比較的危険は少ないと予測される場合でも、合併症が起こらないという保証はありません。一度発生してしまえば患者様やその御家族に重大な影響を及ぼします。
これら合併症は、間違いやミスがなくても、100%防げるというものではなく、侵襲的検査を行う場合には一定頻度で発生する危険があるものです。

また、合併症はカテーテルの最中だけでなく、終了後に発生することもあります。

 

おもな危険について

1.死亡  以下にあげる合併症によって死亡することがあります

2.心血管系

  1. カテーテル検査をきっかけに心不全が増悪することがあります。
    1. 無酸素発作といって、チアノーゼが増強して、治療が必要な発作が起こることがあります。カテーテル中だけでなく、病棟に帰室してから起こることもあります。発作が強いと緊急手術が必要となることもあります。
    2. 心臓の壁をカテーテルが傷つけ穴をあけることがあります(穿孔といいます)。少量の出血で大事に至らないこともありますが、出血の量が多いと心臓の周りの心嚢腔に血液がたまって心臓を圧迫することがあります。タンポナーデと呼ばれ、心臓が血液を充分拍出できない状態になります。その際には、緊急に心嚢腔に針をさして血液を抜いたり、緊急手術が必要となります。また輸血が必要となることもあります。
    3. 造影検査を行う際には、造影剤をカテーテルから器械で圧力をかけて押し出します。カテーテルと心臓の壁が密着していると、心臓の筋肉の中に造影剤が入り込むことがあります。筋肉内注入がおこると、心筋の収縮力が弱まったり、不整脈の原因になったりします。
    4. カテーテルが稀に心臓の弁に穴をあけることがあります。
    5. カテーテルが血管の壁を傷つけ穴があく(穿孔する)ことがあります。そうなると出血します。少量の出血で大事に至らないこともありますが、緊急手術が必要となることがあります。手術は穴があいた場所によって異なりますが、例えばお腹の血管に穴があくと開腹手術が必要となることがあります。また輸血が必要となることもあります。出血の量が多いと、血圧が下がって他の臓器に悪影響が及ぶこともあります。
    6. カテーテルが心臓の中の筋肉や弁を支えるひも(腱索)にひっかかって抜けなくなることがあります。またカテーテルが抜けにくくなった時にカテーテルの操作中に腱索が切れることがあります。腱索の切れ方によっては、弁の逆流ができてしまうことがあります。
    7. カテーテル自体が心臓や血管の中で結び目をつくってしまうことがあります。その際には手術でカテーテルを取り出さなければならないこともあります。
    8. 心臓自身を養う血管である冠動脈が閉塞したり、狭くなったりすると、心筋梗塞や心筋虚血(心臓への血液がたりなくなること)が起こることがあります。冠動脈に血液のかたまり(血栓)がつまったり、カテーテルの先端についている風船(バルーンカテーテル)が破けて炭酸ガスがもれたり、カテーテルが冠動脈の壁を傷つけ壁が剥離して冠動脈をふさぐことがあります。
    9. カテーテル操作中に脈が速くなったり(頻脈)、逆に遅くなったり(徐脈)することがあります。頻脈には、心室性頻脈、心室細動、上室性頻脈などがあります。頻脈になると血圧が急激に下がって薬物治療や電気ショックが必要になることがあります。頻脈がどんな治療を行っても止まらないこともあります。頻脈がどうしても止まらないと、血圧が下がって、重大な脳障害や死亡につながることもあります。房室ブロックという徐脈になるとペースメーカーが必要になることもあります。頻脈や徐脈といった不整脈の段階を経ずに、急に心停止をきたすこともあります。
    10. カテーテルを皮膚から血管に入れますが、カテーテルを入れた部分の動脈が血液のかたまり(血栓)でつまることがあります。カテーテルをいれた部分より先の手足が冷たくなったり、脈が触れにくくなります。その際には、点滴薬で血栓を溶かしたり、もう1回カテーテル室や手術室に行って、カテーテルを入れた部分を切開して血栓を除去しなければならないことがあります(血栓除去術)。
    11. カテーテルをいれた部分の静脈がつまることがあります。その際には普通は無症状ですが、一過性に鬱血やむくみがくることがあります。また、将来、再度その静脈がカテーテル検査に使えなくなることがあります。
    12. カテーテルを入れた部分の動脈と静脈の間に小さな交通ができてしまうことがあります(動静脈瘻といいます)。血液が動脈から静脈に流れ込んでしまうので、皮膚を切開して動静脈瘻を直さねばならないことがあります。

    3.脳神経系

    1. 血液は異物と接触するとかたまりやすくなります。カテーテルも血液にとって異物と言えます。そのため血管、とくに動脈にカテーテルをいれている間は、ヘパリンという血液を固まらなくする薬を使いますが、それでも血液のかたまり(血栓)ができて、脳の血管に血栓が流れていくことがあります。その際には、脳梗塞となることがあります。またカテーテルの先端についている風船(バルーンカテーテル)が破けて炭酸ガスがもれて脳動脈に流れれば、脳血流は一時的に止まります。脳血流が止まったり少なくなると、脳梗塞となることがあります。
    2. ヘパリンを使用すると出血しやすくなります。脳の血管が出血しやすくなっていれば、脳出血が起こる可能性があります。
    3. カテーテル中やカテーテル後に血圧が低くなったり心臓から拍出される血液の量が少なくなったりすると低酸素性脳障害がおこることがあります。
    4. 脳梗塞、脳出血、低酸素性脳障害の程度が高度の場合には脳死、植物状態、意識障害、高度知能障害になることがあります。
    5. 脳梗塞、脳出血、低酸素性脳障害の程度によっては、脳の部分的な障害による症状がでることもありえます。例えば、知覚障害、視野異常、視覚異常、聴覚異常、四肢麻痺などです。また視力を司る領域の血管が障害を受けると、視力が消失することもあり得ます。
    6. 特別な原因が無くても痙攣がおこることがあります。

    4.手足

    カテーテル中は、長い時間同じ姿勢をとるので、カテーテル終了後に手がしびれたり、麻痺したりすることがあります。普通はマッサージやリハビリで回復します。また褥瘡ができることがあります。カテーテルを入れた場所に皮下出血をきたすことがあります。その部分に多少の痛みがあったり青あざができることがありますが、数日—数週で消失します。

    5.呼吸器系

    1. カテーテル中に呼吸が浅くなったり呼吸回数がへったりすることがあります。マスクをあてて呼吸を助けたり、喉にチューブを入れて舌が気道を塞ぐのを予防したり、気管にチューブを入れて人工呼吸をする必要があることがあります。
    2. 口、鼻、気道にチューブを入れたり、分泌物を除去するために吸引したりする際に、出血することや歯が欠けたり抜けたりすることがあります。
    3. カテーテルの最中に、気管に分泌物や嘔吐物が入ると肺炎になったり、空気が入りにくくなったり(無気肺)することがあります。
    4. 気管にチューブを入れた後、声帯が麻痺して声が出にくくなったり声が枯れたり、物を飲み込むときむせたりすることがあります。
    5. カテーテルが肺動脈を傷つけ穴があくと肺の血管から気道に出血することがあります。また肺静脈にカテーテルを入れて肺の毛細管を通して肺動脈を造影することがあります。その際にも肺の血管から気道に出血することがあります。出血が多量の場合には窒息するおそれもあります。

    6.泌尿器系

    1. カテーテルの最中に膀胱に尿がたまりすぎる排尿しにくくなることがあります。その際には、膀胱に尿カテーテルを入れて排尿することがあります。またあらかじめカテーテル前に膀胱に尿カテーテルをいれておくことがあります。膀胱に尿カテーテルを入れる際に、尿道や膀胱に傷がついて出血することがあります。
    2. カテーテル検査時に造影検査を行いますが、造影剤の副作用で腎機能障害が起こることがあります。

    7.消化器系

    造影剤の副作用で吐き気、嘔吐、腹痛が起こることがあります。もともと消化器系潰瘍等がある方などでは、カテーテル検査をきっかけに吐血や下血などをおこすことがあります。

    8.眼

    長時間の麻酔時には角膜の保護を行いますが、それでも角膜潰瘍など角膜の損傷をきたすことがあります。

    9.皮膚

    ばんそうこうの皮膚かぶれ、点滴の後の静脈炎、点滴の漏れに伴う皮膚潰瘍および壊死、電気ショックのあとの火傷などがおこることがあります。

    10.発熱

    カテーテルの後数日、発熱することがあります。通常は無治療で回復します。カテーテル検査は、抗生物質を使いながら手術室とおなじ清潔な部屋で行います。それでもまれに、(全身状態が悪いときは特に)、カテーテル検査をきっかけに細菌性心内膜炎や敗血症など、細菌感染症になることがあります。

    11.造影剤の副作用

    造影剤の副作用には、嘔気、嘔吐、食欲低下、じん麻疹などの発疹、喘鳴、喘息症状、発熱、咳、下痢、腹痛などがあります。またまれにショックといって血圧が下がったり脳障害や死に至ったりする重大合併症が起こることがあります。造影剤の使用にあたっては、少量の造影剤でテストをしてから使い始めます。

    12.薬物の副作用

    抗生物質で、薬疹がでたり、喘息様呼吸器症状がでたり、またまれにショックといって血圧が下がったり死に至ったりする重大合併症が起こることがあります。
    またカテーテル検査時には心臓や血管の機能を調べるための様々な薬を使うことがあります。それぞれの薬には各薬特有の副作用がおこる可能性があります。

    13.輸血の合併症

    輸血はなるべくしないように最大限努力いたします。それでもカテーテルを安全に行い、また時に患者様の生命を救うためには輸血が必要なことがあります。輸血には様々な合併症があります。輸血をする時や、輸血を準備するときには、輸血の合併症について別に説明し、輸血承諾書をいただきます。

    14.麻酔(全身麻酔、局所麻酔)に伴う危険性

    カテーテル検査時に全身麻酔が必要なことがあります。全身麻酔薬は呼吸を抑制したり、心臓機能をおとしたりする副作用があります。また気管内挿管を行う際には、口の中や気道に分泌物が多い場合などには気管が見えにくい場合もあります。その際には気管内挿管に時間がかかり、その間に低酸素状態になったり、重篤な不整脈や脳障害が発生したりすることがあります。
    局所麻酔剤の副作用でショック状態となって血圧が下がったり脳障害や死に至ったりする重大合併症が起こることがあります。

    15.放射線障害

    1. カテーテル検査はレントゲンを用いて行います。レントゲン線は背中や腋の下に主にあたります。レントゲン線を多量にあびると、皮膚が赤くなったり、皮膚潰瘍ができたりすることがあります。まれにそのあとが悪性腫瘍になることがあります。通常のカテーテル検査では皮膚障害が出現するほどの放射線には曝露されません。長時間のカテーテル治療では、放射線の被曝量によっては、皮膚障害出現の可能性もあります。
    2. 通常のカテーテル検査やカテーテル治療でのレントゲン被曝が、全身に与える影響はほとんどないと考えられます。しかし、染色体異常をもたらしたり、将来ガンの発生率を上げないとは断言できません。また子孫に与える影響が絶対ないとも断言できません。
    3. 一般に、放射線には障害作用があるといわれていますが、放射線被曝による不利益と、レントゲン使用によって得られる利益を勘案して、利益の方が大きければ使用できると考えられています。

    16.カテーテル治療に伴う合併症

    カテーテル治療を行う際には、カテーテル治療固有の危険があります。

    17.予期できない合併症

    文献に記載もなく、当施設でも今までに経験していないため、あらかじめ想定できないような合併症も発生する可能性があります。