血管腫・血管奇形

心臓から拍出された血液は動脈に送りこまれます。動脈は枝分かれを繰り返し、体の隅々までいたると血管は毛細血管とよばれる非常に細い血管になります。毛細血管の中を通った血液は静脈を通って心臓へ帰っていきます。血管を由来とする病気はさまざまなものがありますが、原因が不明のものが多く、古くから色々な名前で呼ばれています。これを整理するため、腫瘍性増殖を伴う血管腫(hemangioma)と、伴わない血管奇形(Vascular malformation)に大別すると理解しやすく、国際的にもこのような分類が主流となっています。ここでは頻度の高い疾患についてご紹介いたします。

いちご状血管腫

いちご状血管腫は生まれたての赤ちゃんにできることが多い血管腫です。典型的には、生後間もなく皮膚表面に赤い斑点ができ、やがて盛り上がり、いちごを半分にして皮膚に置いたような外観を呈します。その後は大きくなることなく、むしろ自然に色が落ちていくようになります。多くの場合、小学校低学年くらいまでの間に赤みがひいていき、柔らかい瘢痕が残ります。経過観察でもある程度の改善が期待できますが、発生後から積極的にレーザー治療を行うことで、瘢痕醜形を減じることが報告されており、当科でも積極的に治療を行っています。また眼瞼などの特殊部位に対してはプロプラノロール(β-ブロッカー)内服療法も導入しています。シミ・レーザー療法の項目もご参照ください

毛細血管奇形

毛細血管奇形(単純性血管腫)は、真皮浅層で毛細血管が拡張して生じる病態で、皮膚に赤あざを形成します。これは終生残存し、加齢にともない色調が濃くなり、一部もりあがった構造になることもあります。治療としては色素レーザー療法が第一選択となります。シミ・レーザー療法の項目もご参照ください

静脈奇形

海綿状血管腫とも言われている疾患で、静脈レベルで血管に異常がある状態です。皮膚のすぐ浅いところにあるものから、筋肉内に入り込むものまで、さまざまな症状を呈します。出生時から奇形は存在しますが、成長に伴い気付かれることが多いです。
経過や、治療の必要性は部位や程度によってさまざまです。からだの浅い部分にある場合には整容面が、筋肉の内部にできた場合には、痛みの原因になることで問題になります。治療方法も部位や大きさによって変わってきますが、手術的に切除したり、硬化療法が有効であったりします。治療方法は内部の様子によってことなってきますので、MRIや超音波などの画像検査が有効です。

リンパ管奇形

これは血管ではなく、リンパ液の流れるリンパ管の病気です。胎児期のリンパ管の形成異常により過形成と拡張を生じることで、さまざまな病変をおこします。具体的には、小さな水疱と伴う皮疹を生じるもの、皮下に大きな腫瘤を生じるもの、リンパ流が障害されリンパ浮腫を生じるものがあり、病態に応じて治療法を選択します。

動静脈奇形

動脈レベルから、静脈レベルにかけて異常がある状態です。動脈と静脈が正常の毛細血管を介さずに異常な交通を生じる「動静脈シャント」により病変を起こします。出生時は毛細血管奇形のような症状でそれほど目立ちませんが、ある時期から増大して拍動を伴うようになり、病期が進むと潰瘍・出血・心不全がみられるようになります。小さな病変の場合には、手術切除を行うことが可能ですが、大きな病変では切除が困難なことも多く、治療に難渋することがあります。当科では他施設と協力して治療にあたっており、塞栓術などにより病変を小さくしたところで、病変を切除・マイクロサージェリーによる再建を行っております。