顔面外傷

形成外科では下記のような顔面外傷を治療の対象としています。損傷された顔面形態を可能な限り受傷前の状態に復元するように努力しています。

顔面骨骨折
鼻骨骨折

鼻骨の骨折は顔面骨骨折の中で最も多い骨折です。受傷してから2〜3週間以内の新鮮例であれば皮膚に傷をつけずに徒手整復が可能です。治療に際しては骨折による変形の程度、整復後の評価を適切に行う必要があります。当科では術前、術後にX線CTにより評価するとともに、術中に超音波検査を併用して整復位をその場で評価し正確な整復を行うようにしています。

受傷から1ヶ月以上経過した陳旧例では骨が既に癒合しているので、骨を切って整復する必要があります。その場合も鼻腔内の切開から行い表面には傷をつけずに行います。

いずれも短期間の入院で全身麻酔下に行います。

前頭骨骨折

前頭骨の陥没骨折が治療対象となる場合があります。当科では有髪部よりの小さな切開から内視鏡下に整復を行うことで、前額部に傷を残さずに治療しています。受傷から時間が経った陳旧例では陥没部に同様の手技で人工骨を移植する場合もあります。

頬骨骨折

頬骨は周囲の前頭骨、側頭骨、上顎骨と3点で結合しており、外力によりこの3点が骨折するいわゆる「tripod 骨折」を来すことがあります。症状としては頬部の平坦化、頬部の知覚障害、開口障害などがみられます。

治療は偏位した頬骨の整復と固定を行わなければなりません。一般的には眉毛外側、下眼瞼縁、眼瞼結膜および口腔内などを切開して骨折部を露出し、直視下に整復して金属プレートまたは吸収性プレート、金属ワイヤーなどで固定します。

眼窩骨骨折

眼球の収まっている眼窩は下壁と内壁が薄く、眼球に急激な衝撃が加わると隣接する副鼻腔に吹き抜けるように骨折を起こすことがあり、このような骨折は「眼窩吹き抜け骨折、ブローアウト骨折」ともいわれています。
眼窩吹き抜け骨折の症状には眼球運動障害による複視、眼球陥凹、頬部の知覚障害などが挙げられます。
治療は骨折部の整復と骨欠損に対する骨移植が従来の原則ですが、当科では2つの手術法を症例に応じて使い分けています。ひとつは口腔内切開から内視鏡を上顎洞内に挿入して吹き抜けた骨折を整復してバルーンにより固定します。バルーンは4~6週間後に鼻孔から除去します。もうひとつは経結膜切開から直視下に骨折を整復し吸収性プレートを挿入します。このとき術前の3次元CTから3Dプリンタにて作成した眼窩実体モデルを元にして骨折範囲を剥離し、プレートもこれを用いてより正確に元の形を再現し成型しています。

下顎骨骨折

治療に際して、咬合(かみ合わせ)を正確に復元することが最も重要です。当科では歯科口腔外科と連携して咬合を最重要視し、最小限の皮膚切開で治療することを心がけています。

顔面骨多発骨折

顔貌の正確な復元はもちろん、咬合(かみ合わせ)の復元も大切です。また、術後の呼吸管理など集中治療が必要となる場合もあります。当科では術前に3次元CTによる画像 シミュレーションはもちろん、必要に応じて咬合モデルや頭蓋骨3次元モデルなどを作成し検討を行った上で手術を行っています。また、術後に歯科矯正などが 必要となる場合は、歯科口腔外科と共同で治療に望みます。

顔面の軟部組織損傷

顔面の軟部組織損傷は表面の傷跡をいかに目立たなくさせるかということが重要ですが、涙小管、顔面神経、耳下腺管などの損傷に対しても初療時に適切な処置が施されなければなければ思わぬ後遺症を残すことになるので注意が必要です。当科ではどのような損傷に対しても適切に対応を行い、また術後のアフターケアも万全に行う体制をとっています。