東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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進行した関節リウマチの診断はそれほど難しいものではなく、病歴聴取と身体所見、単純X線のみでも診断が可能です。しかし関節リウマチの関節破壊は発症早期から生じ、治療の遅れにより骨破壊が進行するため、早期診断により早期に治療を開始することが重要です。現在は、早期に診断するための検査技術も進歩しています。

1つは採血検査で測定できる抗CCP抗体(抗シトルリン化蛋白抗体)の検査です。この抗体は、関節リウマチに特有な自己抗体で、他の関節炎との区別に有用とされています。関節リウマチの発症早期から検出する感度が高いとされ、早期からの診断に有用です。また、予後予測因子(重症化因子)としての側面もあり、この抗体の値が高ければ高いほど、関節の破壊が進みやすい関節リウマチであるという特徴があります。

もう1つの検査は、関節超音波検査、いわゆる関節エコー検査の普及です。画像検査で最も頻用されるものは「X線検査」ですが、X線検査で変化が起こる前に、診断し、治療を開始する必要があります。関節リウマチの発症早期には、患者さんが痛みを訴える関節部位に、明らかな関節の腫れや熱感を、触診(医師が触って診察すること)しても分からないことがしばしばあります。そのような時に関節エコーを使用して見ると、関節内の滑膜(かつまく)肥厚の程度や、炎症の程度(関節内の滑膜の中の血流をみており、炎症が強ければ火が燃え盛っているようにみえます)を見ることが出来るのです。この関節エコー検査の普及が早期診断にも大きく役立っています。

血液検査による抗CCP抗体価の確認がもっとも感度と特異度の高い検査であるとされていますが、残念ながら現時点では確実に早期診断できる簡単な検査方法は存在しないため、病歴、身体所見(関節の腫れがあることが重要)、血液検査、上記の関節エコーも含めた画像検査などの結果を総合的に判断して診断する必要があります。2010年に報告されたACR/EULAR新分類基準も早期の治療開始を主眼においたものになっています。

文責 田中榮一
2023年10月11日更新