診断と治療 リウマチ 合併症 骨粗鬆(そしょう)症
骨粗鬆(そしょう)症
はじめに

関節リウマチでは骨粗鬆症の合併が多く、背骨や足の付け根の骨の骨折リスクは同世代の人たちに比べて約2倍です。もともとリウマチで身体機能が障害されている上に骨折を起こすと、生活や仕事はさらに大変になります。また、背骨や足の付け根の骨折は、寿命の短縮にもつながりますので、早い時期からの対策が必要です。

診断

以下のいずれかの場合は、骨粗鬆症と診断されます。
1) 背骨や足の付け根の骨が折れている
2) その他の軽微な外力で生じた骨折があり、骨密度が若年成人平均値の80%未満
3) 骨折はないが、骨密度が若年成人平均値の70%未満

治療

食事療法:
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの骨密度を増加させる栄養素を積極的に摂り、骨を丈夫にするのが骨粗鬆症の食事療法です。カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率が上昇します。具体的には、カルシウム摂取目的に毎日コップ一杯(約200 mL)の牛乳飲む、ビタミンD摂取目的にサンマやサバなどの魚類を積極的に食べる、ビタミンK摂取目的に納豆を週二回以上食べることなどになります。なお、牛乳が苦手の人はヨーグルトなどでも大丈夫です。

日光:
骨を強くする作用のあるビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線が体の中のコレステロールの一種を活性化して合成されます。ですから骨粗鬆症の心配がある人は、日光浴をするととても良いのです。夏なら6分程度、冬の曇った日でも30分程度で十分です。 IORRA患者調査の中で、血中のビタミンDの濃度を調査したところ、リウマチ患者さんの7割にビタミンD不足がみられ、1割はかなり欠乏していました。特に比較的若い年齢の女性で、関節変形などのために身体機能が低下している人はその傾向が強いことがわかりました。

運動療法:
IORRA患者調査の結果では転倒して骨折する場合が最も多かったです。関節が痛くて、足の筋力も弱っていると転倒につながります。普段から転倒予防に心がけることが必要です。もし、転倒に不安がある場合は、骨粗鬆症のお薬に加えてリハビリテーションも同時に行うことをお勧めします。

薬物療法

以下のいずれかであれば、骨粗鬆症に対する薬物治療開始が推奨されています。
1)背骨や足の付け根の骨が折れている
2)骨密度が若年成人平均値の70%未満
3)骨密度が若年成人平均値の80%未満で、骨折リスク(軽微な外力で生じた骨折、親が足の付け根の骨の骨折をしている、高齢、ステロイド薬内服中など)もある

 

1. ビスホスホネート
骨粗鬆症薬の中でもっとも使用されている薬で、骨吸収を抑えることで骨密度を増やし、骨折を減らす作用があります。経口薬の商品名は、ボナロン®、フォサマック®、アクトネル®、ベネット®、ボノデオ®、リカルボン®などがあり、毎日、週1回、月1回の製剤があります。経口薬は、朝起床時に約180mLの水とともに内服し、服用後30~60分は立っているか、座っている必要があります。内服が困難な場合は、月1回のボンビバ®や年一回のリクラスト®という静注製剤もあります。
このお薬はビタミンDが足りないと効果が十分に発揮できないため、内服中は食事、日光、場合によってはサプリメントなどでビタミンDを補うべきです。また、このお薬を使用中に抜歯をすると、頻度はまれですが「顎骨壊死」という顎の骨の病気を発症してしまう可能性があります。そのため、投与前に歯科を受診し、もし抜歯が必要なら先に実施しておくことが推奨されています。もし開始してから抜歯が必要となったときは、歯科医と相談の上、一時的にお薬を中止していただく場合もあります。投与中は、口腔内をできるだけ清潔に保つ必要があります。

 

2. 活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。商品名は、アルファロール®、ワンアルファ®、エディロール®などです。ビスホスホネート製剤に比べると骨密度増加効果や骨折防止効果は弱いですが、1日1回食後の服用なので飲みやすいお薬です。また、ビスホスホネートと一緒に用いると、骨密度増加効果が増強されることも報告されています。
一方、このお薬を服用すると、血液中のカルシウムが高くなったり、腎尿路結石ができやすくなったり、腎機能が悪化する可能性もあるため、服用後は血液や尿の検査を定期的に行う必要があります。

 

3. デノスマブ
骨吸収を抑えて骨密度を増加させる効果に加え、関節リウマチの骨破壊を抑制する効果もあり、関節リウマチの骨粗鬆症では大変有用なお薬で、商品名はプラリア®です。投与方法は、6か月1回の皮下注射になります。このお薬の投与後は血液中のカルシウムが低下するため、デノタス®や活性型ビタミンD3製剤などのビタミンD製剤を毎日服用する必要があります。ビスホスホネートと同様に、頻度はまれですが投与中に抜歯をすると「顎骨壊死」という顎の病気を発症する可能性があります。そのため、投与前に歯科を受診し、もし抜歯が必要なら先に実施しておくことが推奨されています。投与後は、口腔内をできるだけ清潔に保つ必要があります。

 

4. テリパラチド
副甲状腺ホルモン製剤で、骨を形成させる作用があります。毎日自分で注射するフォルテオ®と、週1回医療機関で注射するテリボン®の二種類があります。特に背骨が折れた場合(脊椎の圧迫骨折)には、特に有効なお薬です。投与後は、血圧低下、めまい、立ちくらみ、動悸、気分不良、悪心などがありうるので、注意が必要です。投与期間に制限があり、24か月しか使用できません。

文責 古谷武文

2019年7月8日 更新