人工肩関節置換手術 Total Shoulder Arthroplasty

 

肩関節の障害

手指や肘関節に比べると関節リウマチにより肩関節が障害されることは多くはありませんが、肩関節に炎症が起こると強い疼痛を生じるために睡眠が障害されたり、腕を挙げられなくなり洗髪などの日常生活動作に支障をきたします。初期にはリウマチの炎症をコントロールする薬物療法や関節注射による保存的治療や滑膜切除術により治療しますが、関節の変形が進行した場合には人工肩関節置換手術により痛みを軽減させ、関節の動きを滑らかにすることが可能です。

肩関節の痛み、可動域制限で支障をきたしている患者さんは当センター関節外科担当医にご相談ください。

 

肩関節の構造

kata-1肩関節は上腕骨頭と呼ばれるボールのような部分と、関節窩と呼ばれるボールが入る器のような部分でできている関節です。この関節の周囲にある「腱板」と呼ばれる筋肉、腱はこの関節を支え、安定性を保ち、動きに重要な役割をもっています。関節破壊の進行にともないこの腱板も損傷されます。肩関節の動きを良くするためには、手術はこの腱板が損傷される前に行うことが理想的です。

 

人工肩関節置換手術

 関節破壊が進行し痛みを伴う場合には、損傷した肩関節を部分的に切除し人工肩関節と交換します。上腕骨頭と関節窩とを両方人工関節で置換する場合には人工肩関節全置換手術と呼びます。関節の状態によっては上腕骨頭のみを置換する場合もあり、この場合は人工骨頭置換手術と呼びます。

 

手術のながれ

手術は全身麻酔で行うため、手術を受ける前には外来にて血液検査、レントゲン撮影などを行います。患者さんの貧血の状態によっては手術前に自分の血液を貯めておく「自己血貯血」を行う場合もあります。手術の前日(手術前日が休日の場合は2−3日前)に入院し、レントゲン、心電図、血液検査、CT、MRIなどの必要な検査を行います。

手術はまず肩の前方を10-15cm程度切開します。肩関節を露出し、上腕骨骨頭部を切除し金属製の人工骨頭を挿入します。関節窩側を置換する場合は、損傷した表面を削りとり人工関節をを骨セメントで固定します。肩の関節炎の症状や損傷の程度にもよりますが、手術は通常2〜3時間かかります。

手術翌日にはベッドから起き、歩くことが可能です。術後数日後よりに可動域訓練のリハビリを開始します。術後の経過にもよりますが入院は通常2〜3週間程度です。主治医の指示に従って外来にて慎重にリハビリを継続し、2〜3ヶ月程度をかけて徐々に通常の生活を再開していきます。手術によって痛みは緩和されますが、得られる肩関節の可動域に関しては術前の関節(特に腱板という筋肉)の状態によって大きく異なります。また人工肩関節全置換術を受けた患者さんは重いものを持ち上げたり、肩を強く引っ張るような活動は避けていただくことが理想的です。

kata-2 kata-3

文責 佐久間悠
2015年2月1日改筆