診断と治療 リウマチ 外科的治療(手術)
関節リウマチ治療における手術
リウマチ治療における手術の役割は変わりつつあります

関節リウマチ治療における手術のポジショニング
リウマトレックス生物学的製剤の登場、そして薬物の進歩に合わせて治療戦略が体系化されたことによって、関節リウマチの薬物療法の治療成績は著しく改善しました。それに伴い関節リウマチ治療における手術のあり方も変わりつつあります。まず手術件数が減少しました。患者数自体には変化はありませんから、以前ほど関節破壊を生じる患者さんが少なくなってきたことの証だと考えられています。また発症から手術になるまでの期間が長くなってきていることも報告されています。これは薬物治療の効果で関節破壊のスピードが遅くなってきていることを意味しているのでしょう。

一方でリウマチのコントロールは上手くいっている、いわゆる寛解や低疾患活動性の患者さんに対する手術、特に手指や足趾の手術が大きく増えました。これは一つには以前より生活の質(Quality of life, QOL)の向上を目的とした手術が増えてきていることを意味していると考えています。その背景にはやはり薬物療法の進歩があります。かつてはリウマチによる滑膜炎の再燃が懸念され、変形再発の危険性が高いことから、手術方法には一定の制限がありました。しかし近年の薬物療法の進歩によりその懸念が払拭され、これまで一般的には試みられてこなかった手指や足趾の関節を温存する手術方法などが行われるようになり、以前は諦められることも多かった正常に近い機能への回復が期待できるようになってきています。もう一つは寛解や低疾患活動性であっても患者さんによっては関節破壊を生じてしまうということを意味していると考えています。現在の治療目標である寛解基準は関節破壊を完全に抑えるためには不十分であり、その結果小さな関節の破壊を抑えきれないことがあります。足趾がいわゆる28関節評価から漏れていることも問題なのかもしれません。これについては今後の研究課題と考えています。実際、疾患活動性を抑えれば抑えるほど手術に至るリスクが下がるが、平均疾患活動性が寛解であっても20年度で1割の患者さんで手術に至っているという報告がイギリスからなされています。

また手術が関節リウマチの病勢のコントロールに寄与することもあります。薬物療法を行っても一つ(ないしは少数)の関節炎のみが残る場合には、手術によって局所の病巣を除去することで、関節リウマチのコントロールが可能になる例もあります。このように当センターでは薬物療法と外科的治療を関節リウマチ治療の両輪と捉え、複合的に治療を行っています。リウマチ内科とリウマチ整形の密接な連携という当センターの強みを活かした治療法といえると思います。

関節手術の最大の目的は機能回復と除痛ですが、近年整容を求めて手術を希望される患者さんも増えてきています。リウマチは手や足が侵されやすい疾患で特徴的な変形をきたすことがありますが、手はひと目につきやすいので見た目を直したい、また足の変形が気になって温泉に行けないと考えている患者さんも少なくありません。当センターでは手術の適応を患者さんと一緒に考えて、ニーズを満たすために最善の方法を探していきます。

日本で最も多くの関節リウマチの患者さんを治療し、手術実績も豊富で、整形外科系医師と内科系医師の連携が密な当センターでの治療をお勧めします。

人工膝関節置換術
人工股関節置換術
人工肩関節置換術
人工肘関節置換術
手指伸筋腱再建術
CM関節形成術
人工指関節置換術・手指軟部再建術
人工足関節置換術
足関節固定術
足趾形成術(関節温存・関節切除)

文責 猪狩勝則
2019年5月17日更新