診断と治療 リウマチ 薬物療法 リウマトレックス
リウマトレックス

リウマトレックスは関節リウマチ治療薬として世界で最も多くの患者さんに使用されている最も標準的な抗リウマチ薬で、ほとんどの関節リウマチの患者さんに投与が考慮されるべき基本的な薬剤です。当センターでも8割近い患者さんが服用しており、その割合と一人当りの投与量は年々増加しています。抗リウマチ薬の中では群を抜いて継続率が高い薬ですが、これは有効性、副作用、コストのバランスが良く取れていることを意味しており、高い効果を示す一方で副作用はコントロールしやすく、薬剤費は比較的安価です。また効果の発現が早いことも特徴です。単独で使用されるだけでなく、他の薬剤と組み合わせて使用する併用療法も一般的です。特に生物学的製剤はその有効性を上げる観点から、リウマトレックスと併用することが望ましいと考えられています。近年の関節リウマチ治療の著しい発展に最も寄与した治療薬がリウマトレックスであると言って良いと思います。

> 「生物学的製剤を含む抗リウマチ薬による治療推奨」(欧州リウマチ学会)

主な副作用は、肝機能障害、口内炎や胃腸障害などです。腎障害のある人も要注意です。多くの場合、これらの副作用は葉酸を併用することで抑制できます。葉酸はリウマトレックスを服用した1~2日後に週に1回だけ服用するのが一般的です。稀な副作用として間質性肺炎や白血球や血小板が急減する骨髄抑制を認めることもあります。したがって、リウマトレックス服用中は定期的な受診と検査を欠かさないようにお願いします。 またB型肝炎ウイルスキャリアのRA患者さんでは、リウマトレックス投与中あるいは投与中止後の劇症化が報告されているため、原則的にリウマトレックスの投与を出来ません。

間質性肺炎は特殊な肺炎で、リウマチ患者さんで発症しやすいことが知られています。特にリウマトレックスを服用中の患者さんでそのリスクが上がると考えられており、数百人に一人の割合で発症すると考えられています。通常は入院治療を要し、重症化すると手遅れにもなりかねません。主な症状は「発熱、からぜき、息切れ」であり、これらの症状があればすぐにご連絡下さい。

2011年2月に上限使用量の拡大(週8mgから週16mgへ)と、関節リウマチに対する第一選択薬としての使用が承認されました。これは日本リウマチ学会が「MTXの週8mgを超えた使用の有効性と安全性に関する研究」に関する報告書を厚生労働省に提出し、リウマトレックスを販売しているファイザー株式会社が公知申請をした結果です。この研究の基礎となった各種データのうち最大のデータが当センターで行っているIORRA研究から得られたものです。当センター通院中の患者さんのご協力なくして今回の承認はありませんでした。この場を借りて深謝いたします。

文責 猪狩勝則
2013年12月1日改筆