顔面神経麻痺|鍼灸治療

東京女子医科大学 東洋医学研究所 Tokyo Women's Medical University

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鍼灸治療

顔面神経麻痺専門外来

【図1】

【図1】当施設を受診した顔面神経麻痺患者さんの原因別内訳(文献8)より引用)

当施設ではこれまでに多くの顔面神経麻痺患者さんに鍼治療を行ってきています。その有効性や安全性については学会誌等に報告しています1)~8)

2012年2月時点までで388名の患者さんに鍼治療を実施してきており、そのうち8割の方は医療機関からの紹介、2割の方は知人の紹介やインターネットで調べて受診されています。原因別内訳は図1のようになっています。

今回、医療関係者の方々からのご相談を受ける機会が多くなってきたことから、当施設での顔面神経麻痺の鍼治療について説明するためのページをアップすることにしました。
顔面神経麻痺という疾患に悩む方々の参考になれば幸いです。

現時点で鍼治療にエビデンスがあると認められてはいませんが、電気生理学的検査で全く反応が無い例でも6ヵ月以内に治癒した例4)が認められたり、3ヵ月経っても改善傾向がない完全麻痺例でも治癒に至った例6)7)を経験したことから、鍼治療には麻痺の回復を促す効果があると考えています。
その作用機序については未解明ですが、顔面神経や顔面神経管を含めた周辺組織の血流を改善し、麻痺の回復を促すのではないかと推測しています。

当施設では、太さが0.18㎜(髪の毛と同じくらいの太さ)と非常に細い鍼を用いて、治療点に5~10㎜くらい刺入します。用いる鍼は、すべてディスポーザブル(使い捨て)となっています。
とくに発症後1ヵ月前後の時点で麻痺の回復が停滞している場合は、鍼治療の良い適応になるのではないかと考えています。
また、鍼治療の筋緊張を緩和する作用は、拘縮の軽減にも役立つものと思われ、適応する病期は広い範囲にわたると考えられます。
経験上、鍼治療を開始してから表情がよくなった、鍼の後は顔の動きが軽くスムーズになるといった訴えが多く、内出血や刺鍼時の痛みなどの訴えが稀にあるものの、神経痛や感染など問題となる合併症は認められていません2)
病期に応じた現代医学的治療が何らかの理由で行えない場合、行ったが十分な効果がみられない場合、患者さん自身が希望する場合などには鍼治療を試みる価値があると思われます。

われわれはこれまでの経験5)から、鍼治療を行う際には表1に示す方針で治療にあたっています。
発症後1ヵ月以内または発症後1年以上経過した患者さんには積極的には鍼治療を勧めていませんが、基本的にはどのような病期においても対応は可能と考えています。
病期に応じた現代医学的治療についての情報提供も行い、鍼治療以外の選択肢があることも伝えます。

鍼治療は、麻痺側顔面部への置鍼を中心に行い、写真での変化がなくなると中止するよう勧めていきます。また、医師の管理下で治療を行うことが重要と考えており、担当医師への当施設での治療方針の説明は書面で行うようにしています(内緒で鍼治療を受ける患者さんがいるため、可能な限り行っているのが現状です)。

①病期に応じた対応を行う

1ヶ月以内
原則として、現代医学的治療を優先してもらう。
医師からの依頼または患者さんの希望があれば週1~2回の鍼治療を行う。
1ヶ月~6か月
週1~2回の鍼治療を行う。
重症例では3か月くらいまでに鍼治療を開始することがひとつの目安になると考える。
6か月~1年
1~2週に1回の鍼治療を行う。
鍼治療の中止を勧めて不安が強くなる場合、徐々に治療間隔を空けていくようにする。
1年以上
自覚症状が改善されることがあり、患者さんの希望があれば鍼治療を行う。
治療間隔は患者さん自身に決めてもらう。

②病期に応じた現代医学的治療(リハビリテーション、顔面神経減荷術、星状神経節ブロック、ボツリヌス毒素注射、形成外科的処置など)について情報を提供する

③鍼治療は麻痺側顔面部への15分間の置鍼を中心に行い、麻痺スコアが正常範囲まで回復した場合、または1~2ヵ月毎に撮影する写真で変化がみられない場合に鍼治療の中止を考慮する

④医師の管理下で行う(担当医師への説明を可能な限り行う)

【表1】当施設を受診した顔面神経麻痺患者さんの原因別内訳(文献8)より引用)

鍼治療 にはさまざまな方法がありますが、当施設では顔面神経麻痺患者さんの顔面部には置鍼治療を用いています(置鍼とは刺した鍼を数分間留置しておく方法をいいます)。
鍼へ低周波刺激を行う治療方法もありますが、現在は当施設においてはこの方法を選択していません。顔面神経麻痺の治療において低周波刺激が拘縮や病的共同運動などの後遺症を助長するとの意見がでてきたことがその理由のひとつです。顔面神経麻痺診療の手引き9)でも 低周波刺激は禁忌とされています。
しかし、鍼への低周波刺激が悪影響を及ぼすという結果はわれわれが調査した範囲ではでていません1)3)5)。この点については、今後詳細な検討が必要となってくると思われます。

先述しましたように、医師の管理下で鍼治療を行うことが理想と考えていますが、さまざまな理由から、医師には内緒にして当施設を受診される患者さんは少なくありません。なかには医師の管理下から離れてしまっている方もいます。
顔面神経麻痺の治療にはいくつかの選択肢があり、鍼灸師がそれらの治療についてすべて管理することは困難ですし、鍼治療ですべての患者さんが治癒するわけではありません。
表1のような方針で治療にあたることにより、医師と鍼灸師が連携して顔面神経麻痺の治療を行うことは十分に可能であると考えます。当施設を受診の際には、診療情報を提供していただけると、治療経過をみる上でたいへん参考になります。

参考文献
1)蛯子慶三:顔面神経麻痺の鍼治療(1)―鍼専門外来を担当して―,医道の日本,721,39-51,2003
2)蛯子慶三:顔面神経麻痺の鍼治療(2)―鍼専門外来を担当して―,医道の日本,722,52-61,2003
3)蛯子慶三他:難治性のHunt症候群における鍼通電治療と置鍼治療の効果比較,日本東洋医学雑誌,57(6),781-786,2006
4)蛯子慶三他:難治性のBell麻痺およ びHunt症候群に対する鍼治療効果の検討―ENoG値0%でかつNETスケールアウトであった29例の検討―,日本東洋医学雑誌,60(3),347-355,2009
5)蛯子慶三他:東京女子医科大学における顔面神経麻痺の鍼治療に関する報告,医道の日本,791,62-66,2009
6)蛯子慶三他:置鍼治療とリハビリテーションの併用が奏効した難治性Hunt症候群の1症例,日本東洋医学雑誌,62(5),643-648,2011
7)蛯子慶三他:置鍼治療とリハビリテーションの併用が奏効したと考えられたHunt症候群の2症例,FACIAL NERVE RESEARCH,31,154-157,2011
8)蛯子慶三他:過去20年間に当研究所で鍼治療を施行した末梢性顔面神経麻痺の臨床統計(第1報),FACIAL NERVE RESEARCH,32,140-142,2012
9)日本顔面神経研究会編:顔面神経麻痺診療の手引き,金原出版, 2011

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