コラム

骨粗鬆症とは

2011.06.01

婦人科 准講師 東舘 紀子

骨粗鬆症とは、
 日本の骨粗鬆症患者は800万~1100万人と推計されています。骨粗鬆症の検査としては、骨密度測定を行い、YAM(若年成人平均値)の20%減少までは正常、30%以上減少を骨粗鬆症、その間が骨減少症と診断されます。骨粗鬆症になると、骨折を起こし易くなるうえ、治癒も難しくなります。

骨折すると、
 大腿骨頚部(足の付け根の骨)骨折を起こすと、寝たきりになることが多いといわれます。寝たきりの原因として一番多いものは、脳血管障害ですが、骨折はその次です。また、脊椎骨折を起こすと、背中が丸くなり、胸郭が変形するため、呼吸機能が低下し、呼吸器疾患にかかりやすくなったり、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアなどの疾患が起きやすくなります。また、背中や腰の痛みのため、身体の動きが制限され、日常生活が不便なものになります。

早期発見が大事です、
 閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすいことが知られています。他に、過度の飲酒(日本酒2合/日以上)、喫煙、骨粗鬆症の家族歴のある人、ステロイドを服用している人などもなりやすいのです。また、身長が縮んだ人は骨粗鬆症の可能性があります。実際骨折患者数では、骨粗鬆症の前段階である、骨減少症の人の占める割合が多いので、骨密度を知っておくことが大事です。特に女性は、少なくとも更年期の頃に一度は骨密度検査をした方がよいでしょう。骨密度は以後減少していきますので、日常生活に注意し、早めに対処するようにしましょう。

骨粗鬆症が女性に多いのは、
 50歳以上の女性の24%が骨粗鬆症であり、65歳以上では約30%が骨粗鬆症といわれていいます。もともと女性は男性に比べて骨量が少ないうえ、閉経してエストロゲンが急減すると、骨量が減少していきます。男性の場合、男性ホルモンにも骨量増加作用がありますが、男性ホルモンは急激に減少することはなく、しかもエストロゲンは55歳以上では、女性より多いので、骨量が減ることはとても少ないことが分かっています。また、女性の方が男性に比べて長命なため、骨粗鬆症がいっそう問題になるのです。

予防が一番、
 骨量は身体の成長とともに増加し、20歳くらいで最大となり、40歳くらいまで維持されますが、もしこの時期までに十分な骨量が獲得できていないと、より若いうちに骨粗鬆症となる可能性があります。高齢になってから骨量を増加させるのは、なかなか難しいので、若いうちから気をつけた方がよいのです。骨折の治療は時間がかかり、長期間不自由な生活を強いられますので、予防することがなにより大事です。

骨を強くするためには、
 食生活と運動が重要です。食生活では、まずカルシウム摂取ですが、カルシウムを含む食品には、乳製品・小魚・大豆製品などがあります。他に、ビタミンD(きのこ類・魚類など)やビタミンK(納豆・卵・緑黄色野菜など)やたんぱく質も必要です。運動ですが、運動習慣のない人にはウォーキング(8000歩/日)がお勧めです。また、日常の注意として、多量飲酒と喫煙は骨密度を低下させ、骨折しやすくするので避けるようにしましょう。