リウマチ外来

リウマチ外来

現在リウマチ外来では、月約500人以上の関節リウマチの患者様が来院されております。
当外来では、リウマチを早く見つけて完全に治す治療を目指し、現在、生物学的製剤により寛解治療(症状をなくす治療)を行っております。

はじめに

関節リウマチは全国に約70万人いると言われ、女性に多い病気です(男性:女性=1:4)。しかしリウマチの原因は現在のところ判っておりません。遺伝は15〜35%と言われており、後天的な要因がやはり多いようです。最近では中高年の女性だけでなく男性もリウマチが増加しており、ストレス(例えば仕事のストレス、親の看病、出張の多さなどのストレスなど)が要因になっている人もいます。この様なストレスを回避するだけでもリウマチの基となるリウマチ因子が改善する人もいます。現在当センターリウマチ外来では年間のべ2600人の関節リウマチの患者さんが来院されております。リウマチの早期診断、早期治療により、その患者さんに適した最善の治療を考えて寛解を目指します。

リウマチの病態

リウマチは関節が脹れて痛くなるだけでなく、肺、腎臓、眼など全身に広がる自己免疫疾患です。そして病態の主な場所は関節の滑膜という赤い膜であり、リウマチではこの滑膜が正常より余計に増えてしまい骨や関節を侵食していく病気です。それではリウマチで滑膜がなぜ増えるのでしょうか?顕微鏡でよく滑膜を見てみると、実は正常と最も違う点はマクロファージの増殖そのものなのです(図1)。マクロファージは体の中でいらなくなった遺残を食べて排除する大事な免疫細胞です。この食べて壊す機能が異常になっている可能性があり増殖するものと思われます。マクロファージは実験室で培養しようとしてもなかなか培養皿に付着増殖せずヒアルロン酸などの軟骨基質の存在下では生着します。ですから生体内ではヒアルロン酸の存在する関節、腱鞘、腎臓、肺などに増殖転移しやすいのです。リウマチの早期で指の滑膜切除後や少量の抗リウマチ薬で逆に全身の関節や膝が脹れたりするひとがいます。これはマクロファージの転移仮説により全身に流れるように広がるリウマチの病態と考えています(1)。ただし癌と大きく違う点はマクロファージの癌化ではなくて機能不全ということです。一定以上増えた滑膜は骨を壊しまた消退していきます。これを関節のバーンアウトと言います。この増殖したマクロファージから出てくる炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6を標的としてサイトカインの抑制だけでなく、病気の本体であるマクロファージの増殖転移を抑えるのが生物学的製剤と考えております。マクロファージは分化して破骨細胞になり骨関節を破壊してリウマチの手が変形していきます。これを生物学的製剤により早期に抑える治療を当センターでは2003年から積極的に行なっております。

図1
リウマチの滑膜ではマクロファージの増殖が著しい
変形性関節症
関節リウマチ
矢印:茶色に染まっている細胞がマクロファージ。
この異常増殖を抑えることが本当のリウマチ治療につながる

生物学的製剤の治療

現在、生物学的製剤は6種類あり(レミケード、エンブレル、アクテムラ、ヒュミラ、オレンシア、シンポニー)、どれを使うかはリウマチになってどのくらい経つか(罹患期間)、アレルギー体質か、十分量のメトトレキサート内服可能か、高齢者、合併症、経済的理由を考慮して決定しております。どの薬剤もその有効性と安全性、骨関節破壊進行の抑制効果のエビデンスがあります。またレミケードでは寛解が長く続くと生物学的製剤を中止可能の症例が罹患期間3年以内では約30%あり、止めた後も骨関節破壊の抑制が持続しているケースもあります(図2)。しかし、ほとんどが生物学的製剤は長く続けなければならないこと、効果減弱があることを知る必要があります。現在当センターでは950人以上のリウマチの患者さんに生物学的製剤を使用して治療を行っており、自経例のデータから使い分けに対してそれぞれの効果を引き出しております。

図2
生物学的製剤で骨びらんが治った寛解症例
73歳、女性、関節リウマチ
寛解となりレミケードを中止できレントゲン上改善している
A:投与前、B:投与後1年、C:中止後1年、矢印:骨破壊修復

メトトレキサート

これは現在最も有効性と安全性が立証された抗リウマチ薬で、すぐれた臨床効果を導くことができます。現在週16mgまで認可されておりこれまでの治療効果より一段と患者さんにはメリットがあると思います。しかし、B型C型肝炎の合併のあるかたなどは肝炎の再燃があり特に注意が必要で当センターでは事前にこれらの肝炎のチェックも行なっております。生物学的製剤と併用しることによりさらに効果は高まります。しかし骨関節破壊進行の抑制効果は長期的にはメトトレキサートだけでは不十分と言えます(図3)。メトトレキサートの副作用として間質性肺炎、骨髄抑制、肝機能障害などがあります。具体的には咳がとまらない、内服すると体がだるい、口内炎、下痢が続くなどの症状がでたらすぐに担当医に相談してください。肺レントゲンやCT、血液検査の定期的チェックが必要です。

図3
関節リウマチの骨破壊、変形の進行
65歳、女性、メトトレキサート週 6mgにて3年後変形の進行
投与前
投与後3年

寛解とは

リウマチの治療目標は現在、臨床的寛解を達成することと言われております。この臨床的寛解とはこれまでDAS28という指標を用いておりましたが、最近ではBoolean寛解、CDAI、SDAIなどヨーロッパのほうからどんどん新しい指標が導入されております。これらは関節の腫脹数、疼痛数、痛みのスケール(患者と医者)で表されます。この数値の合計あるいはすべて1以下となるような場合寛解といいます。すなわちほとんど痛くなくて腫れてなく炎症も0に近ければ寛解と言えます。当センターではここまでリウマチを治すことを目標に治療を行ないます。そして炎症症状がとても高いひとは低疾患活動性まで、すなわち今よりももっと腫れや痛みは改善するが寛解まで至らない程度にまず目標をおいて治療を開始します。

滑膜切除

ひとたびリウマチが進行し、軟骨が壊れて関節変形がある場合これを短期間に薬物で治すことはできません。十分量のメトトレキサートや生物学的製剤を用いても一箇所だけ痛い関節が残ることがあります。すでに全身の炎症がおさまった場合このような痛い関節を薬で治そうとしても肝機能障害や肺炎など副作用を招いてしまいます。当センターでは生物学的製剤と滑膜切除の併用の有効性を早くから見つけ、このような症例にも滑膜切除を行なっています(2)。増殖した滑膜からは炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-6)が多量に産生され、これを取り除くことにより再び薬の効果がアップします。リウマチは癌の治療に似ていて、化学療法と手術療法の両方で治すことで根治的治療につながります。特に膝や肩肘など大きな関節には有効です。4〜5日の入院で内視鏡で行ないますので創も小さく、関節の動きもよくなり患者さんの満足度は高いです。

人工関節置換術

関節がすでに破壊されてしまい日常生活にかなり支障をきたしている中高年のリウマチに対して、人工関節置換術を行なっております。当センターで行なっている人工関節には人工膝関節、人工股関節、人工肩関節、人工肘関節、人工指関節があります。どれも術後成績は良好で特に人工膝関節は高齢者のリウマチに変形性関節症を合併しているかたには有効で術後リハビリ治療してよく歩けるようになります(図4)。肘や指関節に対して膝関節では耐久年数は長く、膝関節25年以上、股関節15年以上ゆるみなく持ちこたえます。

図4
生物学的製剤使用中(エンブレル)の両膝人工関節
「ほとんど歩けなかった膝が手術でよく歩けるようになった」
手術前
手術後

足趾変形に対する矯正手術

リウマチの足の変形は外反母趾や足底にたこができたり舟底変形したりして痛くて歩けなくなる場合があります。このような場合、矯正手術を行います。母趾はシリコンの人工関節を使い、他の趾は骨切除にて矯正し割りときれいになります(図5)。3週間ほどの入院治療が必要です。

図5
関節リウマチで変形した足の手術
「ひとまえで靴下を脱げるようになりました」

最後に

リウマチは早期発見、早期治療により変形を食い止める治療が可能となってきています。早期治療として治しにかかる治療を行い、進行したリウマチには寛解を安定維持させる治療を目指しております。発症してまだ1,2年のうちに是非一度相談に来てください。生物学的製剤の治療は東京女子医科大学日暮里クリニック(TEL: 03-3805-7771)でも行っておりますのでお気軽にどうぞ。
(文責:神戸克明 准教授)

(1)神戸克明: 関節リウマチに対する生物学的製剤の実際. ベクトルコア社、2011年7月
(2)神戸克明 ほか: 関節リウマチの生物学的製剤効果不十分例に対する関節鏡視下滑膜切除術後の機能評価.
   臨床リウマチ 22: 199-203, 2010.
(3)神戸克明 ほか: 関節リウマチに対するインフリキシマブによる薬剤不要寛解. 臨床リウマチ 21:212-218, 2009.

リウマチ外来のスタッフ・診察時間

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千葉純司
(生物学的製剤担当)

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井上靖雄(准講師)

井上靖雄
(生物学的製剤担当)

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中村篤司(助教)

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(生物学的製剤担当)

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中村篤司(助教)

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