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診療部門紹介

ほくろの説明

ほくろ(色素細胞母斑,melanocytic nevus)とは

色素細胞が増える良性のできもの(良性腫瘍)です.生まれつきのものや子供のときに生じるもの,大人になってから生じるものがあり,茶色や黒の小さなしみや隆起として体のあちこちにできます.日本人では足裏にできることが多いため,メラノーマを心配する人が増えています.しかし,ほくろがメラノーマに変わるわけではありません.

ほくろができたばかりのときは少し大きくなりますが,やがて成長がとまり,多くは直径が6ミリ以下です.ただし,生まれつきのほくろや5歳以下で生じるほくろは大きくなることがありますし,とても大きなものもあります.大人でもまれに10ミリを超えるほくろができることもありますが,まれですから,大人になってできたほくろが変化する場合や,7ミリをこえるときは早めに皮膚科を受診しましょう.

ほくろははじめのうちはたいらですが,少しずつふくらんでくることがあります.顔では丸く膨らむことが多く,からだではいぼのようにふくらむことがあります.やわらかいのが特徴です.ふくらんだほくろの色が抜けてうすくなることもよくあります.
肉眼ではほくろと他のできものの区別が難しいこともあり,皮膚科では最近,ダーモスコープという小型の器具を使い,詳しく観察したり,撮影したりして判断します.

ダーモスコープを使った観察方法のことをダーモスコピーと呼んでいます.しかしながら,ダーモスコピーでも100%確実な診断はできません.さらに精度の高い最終診断は切除したあとの病理診断となります.

ダーモスコピー(dermoscopy)とは?

明るい照明下で,無反射条件下で10~30倍程度に拡大して皮膚を観察し,ほくろメラノーマ(悪性黒色腫)の診断を行うための方法です.ダーモスコピーに用いる器具をダーモスコープ(dermoscope)と呼びます.

2006年に健康保険が適用になりました.肉眼では判断の難しい病変でも診断の精度が 2割ぐらい向上することが示されています.

ダーモスコープ(dermoscope)とは?

明るい照明下で,無反射条件で10~30倍程度に拡大し,ほくろなどの病変を観察するための器具.ダーモスコープを用いた観察方法をダーモスコピー(dermoscopy)という.無反射条件を作るために,超音波用のジェル(ゼリー)を使うか,交叉偏光タイプのダーモスコープを用いる.

メラノーマ(悪性黒色腫,melanoma)とは?

色素細胞が無制限に増え続ける悪性のできもので,子供にできることはほとんどありません.多くは30歳以降にできるのが普通で,10代,20代ではまれです.10歳以下にはほとんどありません.

顔ではしみが濃くなったような症状ですから,大人になってからできたしみがだんだん濃くなるときや一部がふくらんできたときは皮膚科を受診してください.長い時間でゆっくり変化することもありますから,変化を観察して,あやしいときは皮膚科で相談しましょう.

からだでは,やはり急にできたしみが変化するとき,大きくなるときは皮膚科に相談してください.

手足では,大人になってから急に,ほくろのようなしみができて,大きくなるときは皮膚科を受診しましょう.

色素細胞(メラノサイト,melanocyte)とは?

皮膚の表皮のなかにいる細胞で,メラニンという黒い色素を作ります.メラニン色素を作るので,メラノサイト(melanocyte)と呼ばれます.普通のはたらきは,日焼けなどのあとにメラニン色素をつくって,紫外線などから皮膚の細胞の遺伝子を守ることです.

メラニンとは

皮膚の表面のほうにある表皮という場所にある色素細胞で作られる黒や茶色の色素です.色素細胞に紫外線が当たるとメラニンが作られて表皮細胞に分配されます.表皮細胞の遺伝子(DNA)が紫外線によって障害されて皮膚がんが発生しないように,遺伝子を紫外線から守るという大切な役目を持っています.

ほくろとよく似たものにはどんな病変があるか

黒いできものはほくろだけではありません.ほくろのがんと呼ばれるメラノーマの他に,脂漏性角化症基底細胞がん血管腫などもほくろと間違われることがあります.他にも皮膚線維腫などの良性のできものや,有棘細胞がんなどの悪性のできものがほくろみたいにみえることもあります.

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とは?

皮膚の表皮にある一部の細胞が増えてできる良性のできものです.30歳以降になるとできやすく,高齢になるほど多くなるため,「老人性のいぼ」とも呼ばれます.顔や背中,胸などにできやすいのですが,からだのどこにでもできます.触れるとザラザラ,ガサガサするのが特徴で,ほくろより硬いことが多いです.黒いことも多いのですが,茶色や白っぽいイボのようにみえることもあります.

基底細胞癌(きていさいぼうがん)とは?

皮膚の毛包(もうほう,毛のう)などにある一部の細胞が無制限に増え続ける悪性のできものです.日本人では黒いことが多く,ゆっくりと大きくなるため,ほくろと間違われやすいです.ほくろよりも硬いできものです.あまり黒くなく,肌色や赤いこともあります.潰瘍(かいよう)ができやすく,出血しやすいことも特徴です.

血管腫(けっかんしゅ)とは?

血管の細胞が増えてできる良性のできものです.特に,唇(くちびる)にできると黒っぽくみえるため,ほくろと間違われます.赤いときは血管腫とわかりやすいのですが,黒っぽくみえることもあり,ほくろ基底細胞癌と間違われます.やわらかいことや硬いことがあります.

皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)とは?

皮膚のコラーゲンというタンパク質を作る線維芽細胞(せんいがさいぼう)という細胞が主に増えてできる良性のできものです.薄茶色で硬いことが多く,腕(うで)と脚(あし)にできやすく,虫刺されのあとが硬くなったみたいに感じられ,気づかれることが多いです.

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)とは?

皮膚の表皮などにある一部の細胞が無制限に増え続ける悪性のできものです.最も多い皮膚がんです.黒くなることはまれで,たいていはイボのような赤い隆起や潰瘍(かいよう)の症状となります.

東京女子医科大学東医療センター皮膚科
田中 勝