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髄膜腫外来
脳神経外科

当科では、これまでの豊富な経験を生かして髄膜腫外来を行っております。
私は、1995年から現在にいたるまで、髄膜腫患者さんの診療にあたってきました。
この間、手術、ガンマナイフあるいは経過観察など、診療にあたった患者数は600人以上です。現在もこれらの患者さんの長期成績を継続してみています。これまでの豊富な経験を生かして髄膜腫の患者さんのお役に立ちたいと考えております。
髄膜腫は良性の腫瘍ではありますが、確実な診断と経過観察、手術を含めた適切な治療の選択を要します。髄膜腫のことならばなんでも相談に乗ります。
(担当:糟谷英俊 国際髄膜腫協会会員 水曜日午後)

髄膜腫

脳腫瘍のなかで最も多い腫瘍です。最近は、頭痛や頭部外傷、脳ドックなどで、気軽にCTやMRIなどの画像診断を受けるようになって、見つかる場合も増えています。症状のでない小さい腫瘍も含めると、成人100人のうち、2,3人にあると言われています。たまたま見つかった場合は、心配しすぎる必要はありません。急に大きくなったりしません。大きくならない場合もあります。症状のない場合は、まずは経過観察をします。どのような治療を選択するかは重要です。

原因

発生原因は分かっていません。女性に多く男性の倍です。女性特有の乳がんや子宮筋腫と合併する場合もあることからホルモンが関係すると考えられています。子供にはきわめてめずらしい腫瘍です。以前、頭部白癬症に対して低線量の放射線治療を受けた方の中で、後に髄膜腫が発生したことが知られています。また、髄膜腫などいろいろな腫瘍が合併する神経線維腫症タイプ2という病気があります。これは、22番染色体の変異が原因と考えられ、髄膜腫の発生にも関係していると考えられています。

発育様式と症状

腫瘍のほとんどは、脳を包む硬膜から発生し(正確にはくも膜に存在する細胞)、脳や神経を圧迫して症状を出すことになります。症状や手術法が異なるために、発生する部位によって分類されます。例えば、視神経のそばの硬膜(トルコ鞍結節部)から発生する髄膜腫は、視神経を圧迫するために症状が出やすく、小さいうちに発見されます。一方、臭いの神経のそばの硬膜(嗅窩部)では、自覚的には症状として顕在化しないため、相当大きくなってから発見されます。痙攣発作は症状として起こりやすいものです。骨の外にでてきて瘤のようになる場合もあります。 CTやMRI検査で比較的簡単に診断は可能です。造影剤を使用することでより確実に診断されます。

腫瘍は、基本的には脳の外の硬膜動脈から栄養され、脳の外の硬膜静脈に流れます。小さいうちは腫瘍と脳との間に、くも膜が存在します。だんだん大きくなると、腫瘍の静脈は脳の静脈に流れて交通したり、脳の動脈から栄養されたりするようになり、くも膜を破って脳に浸潤していく場合もあります。こうなると周囲の脳浮腫を合併して症状が出やすくなります。

治療

治療には、手術と定位放射線治療(ガンマナイフ)があります。悪性のものでは分割照射の放射線治療を行うこともあります。残念ながら薬で効果のあるものはありません。顕微鏡手術でできる限り摘出するというのが治療の基本です。しかし、神経や静脈、脳にくっ付いていて、全摘出すると症状が悪化するおそれがある場合は、状況に応じて腫瘍を意図的に残す場合もあります。最近では、手術後に神経麻痺を起こさないため、海綿静脈洞に入り込んだ腫瘍を摘出することは少なくなりました。腫瘍は灰赤色で、大小の結節を有し、硬さはいろいろです。硬い腫瘍の手術は難しくなります。骨に浸潤している場合もできる限り摘出し、骨に穴が開けば、薄いチタンの代用骨で覆ってきます。

また、血管が豊富な腫瘍で、手術中の大量の出血が予想される場合には、手術に先立って塞栓術を行います。この治療ができる場合は、手術は容易になり出血も少なくてすみます。ただし、塞栓術後に脳浮腫が強くなることがあるため注意が必要です。

手術の摘出率にはシンプソンの分類を用います。これはどれくらい摘出できたのかを示す指標で、これによって再発率がことなります。以下に示すとおりです。

グレード1:腫瘍の全摘出と、硬膜付着部、異常な骨を除去したもの:再発1割
グレード2:腫瘍の全摘出に、硬膜の付着部を凝固したもの:再発2割
グレード3:腫瘍は全摘出を行うが、静脈洞や神経・脳に付着した部分をそのままにする:再発3割
グレード4:部分摘出:再発4割
グレード5:単に減圧を行ったもの

このグレードをみると多いと再発が多いと思われるかも知れません。今では画像診断も進歩し、小さい再発であればガンマナイフでコントロール可能です。髄膜腫のガンマナイフ治療効果は確立されています。残存腫瘍が大きくなった場合にはまず選択する治療方法です。大きくなる前に照射することもあります。部位によっては手術しないでガンマナイフ照射することもあります。ただし、部位や大きさにより、期待される効果が得られないこともあるため、全ての髄膜腫を治療できるわけではありません。腫瘍周囲の脳浮腫が強くなったりすることもあり注意も必要となります。

病理検査

症状なく発見された場合や治療後にも経過観察は必要です。手術を行った場合には病理組織を検査します。世界保健機関(WHO:http://www.who.or.jp/)により、良性、非典型、退形成(悪性)の3種類に分類され、さらに全部で15種類に細かく分類されています。当院ではさらに、手術で摘出された髄膜腫について、その増殖能の評価を免疫組織染色のMIB-1という指標で診断します。この値が3%以上ですと再発しやすいと報告されています。非典型、退形成(悪性)や、良性でもMIB-1が高値の腫瘍は長期に亘り慎重に経過をみる必要があります。

性ホルモンとの
関係

最近、髄膜腫にエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)のレセプターが発現していることが分かってきました。エストロゲンが発現しているタイプは再発が多いとの報告があります。乳がんの治療でプロゲステロンを用いることがありますが、髄膜腫を合併している場合、プロゲステロンが発現しているタイプでは、髄膜腫が大きくなることがあり、注意が必要です。当科では、これを踏まえて、手術で摘出した髄膜腫のホルモンレセプターを調べています。



患者さんからの声

この度は、東医療センターさんで手術をして頂き本当にありがとうございました。3年程前より左足に力がはいりにくい症状がありましたが年齢のせいだと思い特に気にしていませんでした。昨年バランスを崩し転倒して近くの病院へ救急車で運ばれました。その時、頭部の検査をしたところ脳に腫瘍があるのではないかと言われ、地元の病院を紹介されました。詳しい検査の結果、髄膜腫と診断されました。まさか自分が?と驚きました、どうしていいかわからなくなりました。腫瘍の大きさから手術をすすめられましたが難易度や後遺症の説明を受け不安な気持ちでいっぱいになり悩みました。
思い切って別の病院の先生の意見も聞きたく東医療センターさんの髄膜腫外来を受診しました。詳しい説明を受け自分の病気を理解し少し不安は消えました。いろいろ考えた末この腫瘍が大きくなっていくのも怖く、やはり手術しかないと思い、糟谷先生に手術をお願いしようと決心しました。
手術が無事に終わり退院することができました。病気がみつかったときは毎日悩んだのですが、今は気持ちも落ち着き趣味など楽しみながら暮らしております、糟谷先生をはじめ東医療センターの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

60代 女性

日頃より大変お世話になっております。
約3年前、めまいと頭が重く体調がすぐれなかったため内科のかかりつけの先生の検査してもらいました。その時髄膜腫とわかりました。
腫瘍の大きさも大きかったので手術をすすめられたのですが、他の方法がないかと考えセカンドセカンドオピニオンで髄膜腫外来の糟谷先生にみてもらいました。今はこのまま定期的な検査で様子をみていいのではないでしょうかとおっしゃってくださったので安心いたしました。年1回は頭の検査で通院しております。

70代 女性

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