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脳動脈瘤は決して珍しい病気ではありません。小さいものまで含めると40歳以上の成人の100人に5人くらいあると考えられています。では、脳ドックや、たまたまとったMRIなどで見つかった場合どうするか?脳動脈瘤が破裂した場合には、くも膜下出血となり、命に関わります。治療にもリスクを伴います。
私どもは、これまで脳動脈瘤の治療・研究に長く携わってきました。この経験から脳動脈瘤患者さんに正確な情報を伝え、不安を解消し、的確な生活指導・内科治療・外科治療方法をお伝えすることができると思っております。
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脳動脈瘤の 原因 |
他の病気と同様に、遺伝的な要因と環境要因があります。家族や家系内にいらっしゃる場合、脳動脈瘤の発症リスクは高くなります。また、環境要因としては、喫煙と高血圧、大量飲酒があります。まだ分かっていないことも多く、遺伝的要因にもなく、喫煙もせず、高血圧がない方にも脳動脈瘤ができる場合もあります。
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いろいろな タイプの 脳動脈瘤 |
これまでの研究成果から、いろいろなタイプの脳動脈瘤があると考えられています。@あっという間に脳動脈瘤が形成され出血してくも膜下出血を引き起こすタイプ(これは予防のしようがありません)、A脳動脈瘤がだんだんと大きくなり出血するタイプ、B脳動脈瘤が形成されるが、大きくもならず出血もしないタイプの3つに分けられます。脳動脈瘤の頻度(100人に5人)と、くも膜下出血の頻度(10万人に年間10人)の差から、大多数はBと考えられます。おそらく、ある時期に脳動脈瘤が形成されるのですが、破裂にいたらず、治癒機点が働いてそのままのかたちで留まってしまうのでしょう。
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脳動脈瘤の 組織 |
正常の脳動脈は内膜、一層の内弾性板、中膜筋層、薄い外膜から構成されています(左)が、脳動脈瘤の壁は内弾性版が欠如し、結合織が増え、中膜筋層がなくなり、平滑筋細胞が減少し、炎症細胞が浸潤しています(右)。
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どのようにして 出血するか? |
出血した脳動脈瘤と、出血しない未破裂脳動脈瘤とを比較すると、出血した脳動脈瘤は長細いというデータがあります。つまり、長細いと、脳動脈瘤の先端に、血液の循環が悪い部分ができて、そこに血液が滞り、炎症物質が産生され、脳動脈瘤の壁が弱くなって、血圧も直接かかるようになり、破裂します。脳動脈瘤がいびつな場合も同様な機序が考えられています。最近、抗血小板剤を服用していて固まりにくい血液の未破裂脳動脈瘤は破裂が少なかったという報告もあります。脳動脈瘤の破裂のメカニズムには、血液の流れ、凝固、炎症、血圧がからんでいるようです。最近、脳動脈瘤のなかの血液の流れを可視化して破裂のリスクを予見しようとの試みがなされています。 |
脳動脈瘤があると診断された時 |
まず、脳動脈瘤の出血率はそれほど高くはないと思うべきです。どのような報告でも、大きな脳動脈瘤でも、年間の出血率はせいぜい2%ほどです(100人の脳動脈瘤患者さんのうちに年間に2人)。脳動脈瘤の大きさが出血のリスクと大きく関係しますので、5mm以下であれば、リスクは極めて低いと考えてよいでしょう。
環境要因のリスクは3つです。喫煙、高血圧、大量飲酒。そのため、すべきことは3つあるでしょう。喫煙しているのであれば、止めること。そして、もうひとつのリスクは高血圧ですので、生活習慣を改め、降圧剤を調整して、できる限り正常値に安定させることです。そして、お酒の好きな方は控えることです。これらは、一般的に、健康な生活習慣として、よく言われていることですから、そう難しくはありません。
破裂しないような薬を欲しいと言われることがありますが、まだ十分な科学的根拠はありませんので、このために処方することはありません。 |
外科的治療 を選ぶ時 |
10mm以上の大きな脳動脈瘤は外科的治療を選んだほうがよいと考えられます。しかし手術リスクが極めて高い場合には、選択しないこともあります。4mm以下の場合には上記の生活指導や内科治療を受け、基本的には経過観察でよいと考えます。その場合でも定期的な画像の経過観察は必要です。外科的治療を選択するかどうかは、年齢、家族歴、生活レベル、仕事、脳動脈瘤がひとつ以上ある場合、手術の難易度、持病、本人の強い希望などさまざまな要素が関与するといってよいでしょう。 |
外科的治療 の実際 |
治療の主体は脳動脈瘤の破裂防止となります。破裂防止のためには外科的治療が必要で、大きく分けて開頭によるクリッピング術(顕微鏡下に動脈瘤の頚部をチタン製のクリップで遮断する方法)と、足の付け根から動脈にカテーテルを挿入し、動脈瘤内にさらに細いカテーテルを挿入し、金属の細い針金(コイル)を詰めていく脳血管内治療の2種類があります。つまり動脈瘤の外側からと、内側から治療する方法です。どちらを選択するかは、脳動脈瘤の部位、形、大きさなどによります。誰しも頭を開かれたくありませんので、脳血管内治療を第一選択としています。2つの治療法を組み合わせたり、バイパス術を併用したりする場合もあります。 |
当科の ポリシー |
10mm以上の大きな脳動脈瘤は原則的に外科的治療を勧めます。4mm以下の場合には生活指導・内科治療を行い、原則的に経過観察を行います。一方、5-10mmの場合には、年齢、家族歴、生活レベル、仕事、脳動脈瘤がひとつ以上ある場合、手術の難易度、持病、本人の強い希望などで総合的に判断して決めます。経過観察する場合には、4mm以下の場合には主にMRI、MRAで(左)、それより大きい場合には、主に3D脳血管撮影(右)で経過観察します。3カ月、6か月、1年、以降1年毎に検査しています。大きくなるようであれば、外科的治療を考慮します。

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