IEMAS (Intraoperative Examination Monitor for Awake Surgery)

言語中枢に近接した脳腫瘍の摘出手術のうち、覚醒下で患者の脳を電気刺激しながら言語機能検査を行った症例において、術後に検査結果の記憶が術者と助手の間で食い違うという事態が生じた例があります。この検査は、(1)術者が脳のある箇所を刺激した時に、(2)検査担当者がどんな言語タスクを患者に与えて、(3)患者がどう反応したか、によって脳の言語機能部位を探すものです。もしも検査結果を術者が誤認していたとすると、術後に言語機能障害が生じる可能性があります。そこで、手術イベント情報解析ワークベンチ上で記録をレビューしたところ、検査の時点で術者がどう判断したかが映像と音声で確認でき、以後の手術は正しくその判断に基づいて行われたことがわかりましたが、検査内容の詳細まではわかりませんでした。

そこで、

  1. 電気刺激した場所の情報(手術顕微鏡画像・手術ナビゲーション画面)
  2. 患者に提示したタスク(文字・絵・音声)
  3. 患者の反応(表情・音声・脳波)
  4. 判断結果(術者・助手音声)

をひとつのビデオ画像・音声として取りまとめる装置を開発いたしました。これがIEMASです。

現在我々は、IEMASを用いて覚醒下手術における術中言語機能検査を行っています。

このシステムは

(1)検査がやりやすく、
(2)手術室内の全員がその場でまとまった結果を見られ、
(3)必要ならいつでもVTRを使って検査内容・結果を見直すことができ、
(4)術後に手術記録を整理するのにも便利であり、かつ
(5)手術における潜在的な危険源(術中検査結果の誤認)を解消することができます。

IEMAS画面:(1)患者表情および提示タスク(左上)、(2)覚醒度モニタ(右上)、(3)刺激位置情報(手術ナビゲーション画面)(左下)、(4)刺激位置情報(手術顕微鏡画像)(右下)

IEMAS構築方法

IEMASは手作りの実験装置です。下の参考文献1.にてIEMAS構築方法を詳しく解説しております。また以下のリンクよりさらに詳細なIEMAS作成マニュアルをダウンロードできます。 なお当然のことながらPL法・薬事法承認外の機器となりますので、運用は医師の裁量の範囲で適否を判断し、行ってください。 

IEMAS作成マニュアル ダウンロード(pdf、7,348KB)

術中言語機能検査用タスク提示ソフトウェア「IEMAS.jar」

IEMASで試用している患者提示タスク表示ソフトウェア(JAVA版)を公開いたします。下のリンクよりダウンロードし、解凍してご利用ください。

IEMAS.jar ダウンロード (zip圧縮、820,610byte)

参考:
1.伊関洋、南部恭二郎、覚醒下手術記録システムIEMAS、脳神経外科、33(10):1028-1031、2005
2.南部恭二郎、桜井康雄、伊関洋、苗村潔、手術安全のためのプロセス改善システム、医科器械学、75(5):282-287、2005
3.村垣善浩、丸山隆志、伊関洋、髙倉公朋、堀智勝、覚醒下手術と機能マッピング、日本臨床、Vol63、Suppl9、330-340、2005