心筋チューブグループ

不全心筋への細胞浮遊液の注入に次ぐ第二世代の心筋再生医療として組織工学技術を用いて作製した心筋グラフトの心臓への移植が追求されている。本研究ではさらに効果的と考えられる第三世代の心筋再生医療として補助ポンプとなり得るようなチューブ状の心筋組織、すなわち臓器を開発することを着想し小動物を用いた基礎検討を行いその可能性を追求した(図1)。

ラット心筋細胞シートを管状化することで心筋チューブを作製し、in vitro ならびにin vivoにおいてその形態・機能を解析した。作製した再生心筋チューブは生体に類似した組織構造を示し、ラット腹部大動脈に置換移植を行うことで自律拍車によるチューブ単体の内圧(約6mmHg)が発生することを示した。
移植された心筋チューブに心臓補助ポンプとしての機能を持たせるためにはホスト心拍と同期させることが重要であるため、自己心拍心電同期ペースメーカーと血圧計測テレメトリーシステムを組み合わせラット体内へ埋め込み、電気生理学的解析により評価を行った。
これにより心筋チューブの拍動とラット自己心拍(約300bbm)は同期することが明らかとなり、さらに覚醒下においての血圧データの取得も可能とした。さらなる機能向上を目指し心筋チューブへ逆止弁となる生体心臓弁の付加を行い、血流の一方方向性を持たせる試みを行った。この心臓弁付き心筋チューブを腹部大動脈へ置換移植しペースメーカーにて電気刺激することにより、心臓弁を付加しない場合と比べホストの全身血行動態に影響を与えることが明らかとなり、補助ポンプとなりうる可能性が示唆された。


図1. 心筋組織再生から心臓再生にむけて
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また心筋チューブのさらなる収縮率強化を図るために、温度応答性培養皿表面にパターン状の加工を施し、心筋細胞の収縮方向が一方向性に配向した心筋チューブの作製を試みている(図2)。


図2. 細胞の配向性を付与した心筋チューブ作製の試み
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業績リスト

  • Kubo H,Shimizu T,Yamato M,Fujimoto T,Okano T,Creation of myocardial tubes using cardiomyocyte sheets and an in vitro cell sheet-wrapping device.Biomaterials.2007;28:3508-16.
  • Sekine H,Shimizu T,Yang J,Kobayashi E,Okano T.Pulsatile myocardial tubes fabricated with cell sheet engineering.Circulation.2006;114:187-93.